行政手続のオンライン化が進む自治体|オンライン申請と来庁予約を使い分ける窓口設計

自治体では、住民がスマートフォンやパソコンから申請できる行政手続のオンライン化が進んでいます。デジタル庁も、自治体の行政手続をオンライン化し、住民の利便性向上と行政業務の効率化を図る取り組みを推進しています。

一方で、すべての行政手続をオンラインだけで完結できるとは限りません。本人確認や原本確認、書類の受け取り、個別事情を含む相談など、来庁が必要となる手続もあります。また、オンライン申請に不慣れな住民へのサポートも必要です。

そこで重要になるのが、「オンラインで完結させる手続」と「来庁予約を組み合わせる手続」を適切に分けることです。オンライン申請と来庁予約を役割ごとに使い分けることで、住民の移動・待ち時間を減らしながら、自治体側も窓口対応を計画的に進めやすくなります。

本記事では、行政手続のオンライン化が進むなかで、オンライン申請と来庁予約をどのように使い分けるべきか、自治体の窓口設計に必要な考え方を解説します。

この記事のポイント

・行政手続のオンライン化が進んでも、対面確認や個別相談が必要な窓口業務は残ります。
・手続を「オンライン完結」「オンライン申請+来庁」「来庁相談」に分類すると受付方法を整理しやすくなります。
・来庁が必要な場合は、手続内容や所要時間に合わせて予約枠を設定します。
必要書類や受付場所を予約時・来庁前に案内すると、確認不足による再来庁を防ぎやすくなります。
・Webだけに限定せず、電話・窓口などの受付方法も残すことで、デジタルに不慣れな住民にも配慮できます。

自治体で行政手続のオンライン化が進んでいる

行政手続のオンライン化とは、これまで自治体の窓口などで行っていた申請・届出を、スマートフォンやパソコンから行えるようにする取り組みです。

デジタル庁では、自治体の行政手続についてオンラインで申請可能な手続を拡大し、住民の利便性向上と行政運営の簡素化・効率化を進めています。子育てや介護など、住民に身近な行政手続についてもオンライン化が進められています。

また、次期オンライン申請サービスでは、住所や氏名などを申請のたびに繰り返し入力する負担を減らすことや、自治体が保有する情報を申請フォームへ反映すること、申請内容の補正や通知をオンラインで行うことなどが検討・推進されています。

参考:デジタル庁「行政手続のオンライン化」

オンライン化しても来庁窓口が不要になるとは限らない

オンライン申請が利用できるようになれば、住民が申請書を提出するためだけに庁舎へ足を運ぶ機会は減らせます。しかし、オンライン化によってすべての窓口業務がなくなるわけではありません。

行政手続の内容によっては、本人確認、原本の提示・確認、証明書等の受け取り、複雑な制度についての説明など、対面での対応が必要になる場合があります。

  • 本人確認や対面での確認が必要な手続
  • 原本や現物の確認が必要な手続
  • 申請後に証明書・カードなどを受け取る手続
  • 個別事情に応じた説明や相談が必要な手続
  • オンライン申請の操作支援が必要なケース
  • 複数の制度や部署にまたがる相談

そのため自治体DXでは、「すべてをオンラインへ移行する」という考え方だけでなく、オンラインで済ませられる部分はオンライン化し、対面が必要な部分は来庁予約によって効率化するという考え方が重要です。

オンライン申請と来庁予約の違い

オンライン申請と来庁予約は、どちらも自治体のデジタル化に活用されますが、役割は異なります。

項目オンライン申請来庁予約
主な目的申請・届出そのものをオンライン化する窓口へ来る日時・手続内容を事前に確定する
住民側の行動スマートフォン・PCなどから申請空いている日時を選んで来庁
向いている業務定型的な申請・届出本人確認、受け取り、相談など
主な効果来庁そのものを減らす来庁時間の集中や待ち時間を抑える
職員側の準備オンライン申請内容を確認来庁予定者と手続内容を事前に確認

オンライン申請と来庁予約は競合する仕組みではありません。それぞれが異なる役割を持っているため、ひとつの行政手続の中で組み合わせて活用することもできます。

行政手続を3つに分類して受付方法を決める

オンライン申請と来庁予約を使い分ける際は、まず自治体が扱う手続を、対応方法に応じて分類すると整理しやすくなります。

分類想定される手続受付方法
オンライン完結型オンライン上で必要事項を入力・提出し、対面確認を必要としない手続オンライン申請
オンライン申請+来庁型申請はオンラインでできるが、本人確認・原本確認・受け取りなどで来庁が必要な手続オンライン申請+来庁予約
相談・対面型個別事情の確認や詳しい説明、相談が必要な手続来庁予約・オンライン相談など

実際にオンラインのみで完結できるか、来庁が必要かは、各制度の法令、手続要件、自治体の運用によって異なります。まずは既存の手続を棚卸しし、「なぜ来庁が必要なのか」を整理することが重要です。

「オンライン申請+来庁予約」で手続を分ける

行政手続の中には、申請内容の入力は自宅からできても、その後の確認や受け取りで来庁が必要なものがあります。この場合、オンライン申請と来庁予約を組み合わせる方法があります。

例えば、住民があらかじめオンラインで必要事項を申請し、その後、都合のよい日時を予約して来庁する流れです。窓口では申請内容を一から聞き取るのではなく、必要な確認や受け取りなど、対面でしかできない対応に集中できます。

オンライン申請+来庁予約の流れ
1.自治体Webサイトなどから対象手続を確認
2.オンラインで申請・届出
3.来庁が必要な場合は日時を予約
4.予約時・来庁前に必要書類や受付場所を確認
5.予約日時に来庁
6.本人確認、原本確認、受け取り、個別相談などを実施

このように手続を分けることで、窓口では「申請書を書く時間」ではなく、「確認や相談に必要な時間」を中心に予約枠を設計できます。

手続内容によって来庁予約の所要時間を変える

来庁予約を導入する際は、すべての手続に同じ長さの予約枠を設定するのではなく、対応内容に応じて所要時間を分けます。

手続例予約枠の考え方
書類・証明書などの受け取り本人確認と受け渡しを中心とした短時間枠
原本確認を伴う申請書類確認に必要な時間を確保
一般的な手続相談制度説明や申請内容の確認時間を確保
複雑な個別相談通常より長めの相談枠を設定

対応時間が大きく異なる手続をひとつの予約メニューにまとめると、予定より早く終わる枠と長引く枠が混在し、後続の予約に影響する可能性があります。

手続別に予約メニューと所要時間を設定し、同じ時間帯に受け付ける人数や職員配置もあわせて決めることで、来庁者数を平準化しやすくなります。

予約時には必要最低限の情報を確認する

来庁予約では、予約日時だけでなく、住民が何のために来庁するのかを事前に確認すると、窓口側で準備しやすくなります。

確認項目目的
手続・相談内容担当窓口や必要な対応を確認する
オンライン申請の有無申請済みか、窓口で申請するのかを把握する
申請番号など必要な場合に申請情報を確認しやすくする
来庁人数待合スペースや対応人数を把握する
配慮・サポートの希望窓口対応に必要な準備を行う

一方で、オンライン申請ですでに取得している情報を、来庁予約フォームでもすべて入力してもらうと、住民の負担が増えます。

予約時に取得する項目は、窓口での対応準備や予約管理に必要な範囲へ絞り、詳細な申請情報は正式な行政手続の仕組みで管理するなど、役割を分けることが重要です。

必要書類を事前案内して再来庁を防ぐ

来庁予約をしていても、必要書類や本人確認書類が不足していれば、その日に手続きを完了できない場合があります。

手続ごとに必要な持ち物を整理し、予約画面や予約完了通知、来庁前のリマインドなどで案内すると、住民が準備したうえで来庁しやすくなります。

  • 本人確認書類
  • 自治体から送付された通知書
  • 申請に必要な原本
  • 委任状
  • 申請番号・受付番号
  • 手数料などの支払いに関する案内
  • 窓口の場所・庁舎内の案内
  • 代理人手続の条件

来庁前の情報提供を充実させることで、窓口での説明時間を短縮するだけでなく、持参物不足による再来庁を減らすことにもつながります。

オンライン申請と来庁予約の二重入力を減らす

オンライン申請と来庁予約を別々のシステムで運用する場合は、住民が同じ情報を何度も入力することにならないよう注意が必要です。

例えば、氏名や住所、申請内容の詳細をオンライン申請ですでに登録している場合、来庁予約では予約日時や申請番号など、予約管理に必要な項目だけを入力する運用が考えられます。

また、自治体Webサイトでは、「先にオンライン申請する」「次に来庁日時を予約する」「予約日に窓口で確認する」といった手順を明示し、住民が次に何をすればよいかわかる導線を整えることが重要です。

デジタルに不慣れな住民の受付方法も残す

行政手続のオンライン化では、スマートフォンやパソコンを使える住民だけを前提にしないことも重要です。

デジタル庁は、行政手続のオンライン化に加え、窓口に来た住民の負担を減らす「書かないワンストップ窓口」の取り組みも進めています。デジタルに不慣れな人が来庁した場合でも、デジタル技術を活用しながら住民サービスと職員の業務効率を向上させる考え方です。

来庁予約についても、Webだけに限定するのではなく、自治体の利用者層や窓口の特性に応じて、電話や窓口からの予約を併用する方法があります。

受付方法想定される利用者・場面
Web予約スマートフォン・PCから自分で日時を選択
電話予約Web操作が難しい場合に職員が予約を登録
窓口予約別の手続で来庁した際に次回の予約を受付
予約なし受付緊急性や業務特性に応じて一定枠を確保

「オンライン化=すべてWeb限定」とするのではなく、複数の受付方法から入った予約情報を一元的に管理できる体制を整えることが、利用しやすい窓口につながります。

参考:デジタル庁「自治体窓口DX『書かないワンストップ窓口』」

オンライン申請と来庁予約を組み合わせる窓口設計例

オンライン申請と来庁予約を組み合わせる場合は、申請の前後で住民がどのように行動するかを整理します。

段階住民自治体
1.手続を探す自治体Webサイトで対象手続を確認オンライン・来庁の必要性を明示
2.申請するオンラインで必要事項を入力申請内容を受け付ける
3.来庁日時を予約空き日時から予約手続別の予約枠を公開
4.来庁準備持ち物や受付場所を確認予約通知・リマインドで案内
5.来庁予約時刻に窓口へ予約・申請内容を確認して対応
6.手続完了確認・受け取り等を実施必要な行政処理を行う

この流れをWebサイト上で示しておくと、住民が「オンライン申請だけで終わるのか」「その後に来庁が必要なのか」を判断しやすくなります。

窓口設計を見直す際のチェックリスト

  • オンラインで完結できる手続を整理した
  • 来庁が必要な理由を手続ごとに整理した
  • オンライン申請後に来庁が必要な手続を明確にした
  • 個別相談が必要な手続を分類した
  • 手続ごとの所要時間を確認した
  • 窓口の対応人数・職員配置に合わせて予約枠を設定した
  • オンライン申請と予約で重複する入力項目を減らした
  • 必要書類や来庁場所を事前案内できる状態にした
  • Web以外の予約受付方法を検討した
  • 予約なしで対応するケースを決めた
  • 予約情報として取得する個人情報を必要な範囲に絞った
  • 運用開始後に予約件数や待ち時間を見直せる体制を整えた

自治体の来庁予約管理に「RESERVA lg」

自治体向け予約システムRESERVA lgサイトのトップ画面
画像引用元: RESERVA lg 公式サイト

RESERVA lgは、各種申請窓口、相談窓口、公共施設、健康診断・予防接種、イベント・講習会など、自治体のさまざまな予約業務に活用できる予約管理システムです。

行政手続そのものをオンライン申請する仕組みとは役割が異なり、オンライン申請後に必要となる来庁日時の予約や、対面相談の受付などに活用できます。

RESERVAでは見積もりや相談が可能

24時間Webから来庁予約を受付

住民は窓口の受付時間にかかわらず、スマートフォンやパソコンから空いている日時を確認して予約できます。職員が電話で候補日時を一つずつ案内する必要がなくなり、予約受付業務の効率化につながります。

手続ごとに予約メニューを設定

手続や相談内容ごとに予約メニューを分けることで、住民は目的に合った窓口を選択できます。自治体側も、予約段階で来庁目的を把握し、担当者や必要な資料を準備しやすくなります。

予約時アンケートで来庁目的を事前確認

予約アンケートのカスタマイズを利用すると、予約時に独自の質問項目を設定できます。オンライン申請の有無、相談内容、来庁時に必要なサポートなど、窓口準備に必要な内容を事前に確認できます。

アンケートは選択式や自由記述などから回答方法を設定でき、回答内容を予約情報とあわせて管理できます。

予約通知・リマインドで必要書類を案内

予約完了時や来庁前に、予約日時、窓口の場所、持ち物、変更・キャンセル方法などを案内できます。手続ごとに必要書類を事前に伝えることで、持参物不足による確認作業や再来庁を減らすための導線を整えられます。

多言語の予約サイトにも対応

RESERVA lgの多言語表示では、日本語のほか英語、中国語、韓国語、タイ語などに対応した予約サイトを作成できます。外国人住民が利用する相談・申請窓口の予約導線を整える際にも活用できます。

※自治体が独自に入力する説明文などは、必要に応じて各言語で設定します。

自治体の来庁予約・窓口業務を効率化する「RESERVA lg」を詳しく見る

※利用できる機能や条件は料金プランなどによって異なります。最新の利用条件はRESERVA lg公式サイトをご確認ください。

予約システムは行政手続そのものを代替するものではない

オンライン申請と来庁予約を組み合わせる際は、それぞれのシステムの役割を明確にする必要があります。

行政手続に必要な正式な申請や本人確認、審査などは、各制度・自治体が定める方法で行います。予約システムは、それらの手続自体を代替するものではなく、来庁日時や相談内容を整理し、窓口対応を効率化するための仕組みです。

予約時に取得する情報と正式な行政申請で取得する情報を分け、必要以上の個人情報を予約フォームへ入力させないなど、情報管理を前提とした運用設計も求められます。

よくある質問

行政手続のオンライン化とは何ですか?

これまで窓口などで受け付けていた申請・届出を、スマートフォンやパソコンなどから行えるようにする取り組みです。住民が庁舎へ行く負担を減らし、自治体側でも申請受付や審査などの業務効率化につなげることが目的です。

オンライン申請ができれば来庁予約は不要ですか?

必ずしも不要ではありません。オンラインで申請できても、本人確認、原本確認、証明書等の受け取り、個別相談などのために来庁が必要な手続があります。その場合は、オンライン申請後に来庁日時を予約できるようにすると、窓口の混雑や待ち時間を抑えやすくなります。

オンライン申請と来庁予約はどのように使い分ければよいですか?

対面確認が不要な定型手続はオンライン完結、申請後に本人確認や受け取りが必要なものは「オンライン申請+来庁予約」、個別事情に応じた説明が必要なものは来庁予約やオンライン相談とする方法があります。実際の対応方法は各手続の要件に沿って判断します。

Web予約を利用できない住民にはどう対応しますか?

Web予約だけに限定する必要はありません。電話や窓口で職員が予約を登録する方法や、業務内容に応じて予約なしで対応する枠を残す方法があります。複数の受付経路を用意しながら、予約情報を一元管理できる体制を整えることが重要です。

予約時に申請内容をすべて入力してもらう必要がありますか?

必ずしも必要ありません。すでにオンライン申請で提出している情報を予約フォームでも入力させると、住民の負担が増えます。来庁日時、手続区分、必要に応じた申請番号など、予約管理と窓口準備に必要な情報へ絞ることが基本です。

来庁予約を導入すると窓口の待ち時間をなくせますか?

来庁者の集中を抑えやすくなりますが、待ち時間を完全になくせるとは限りません。手続内容、所要時間、職員配置、当日の相談状況などによって対応時間は変わります。予約データを確認しながら、予約枠や同時受付人数を継続的に調整することが重要です。

関連記事

行政手続オンライン化のメリットや課題、自治体DXの全体像については、行政手続きのオンライン化|デジタル技術で支える自治体DXの未来で詳しく紹介しています。

複数の行政手続をひとつの窓口で対応する仕組みについては、ワンストップ窓口×予約管理システム|混雑緩和と利便性向上のための必須ツールもあわせてご覧ください。

戸籍・住民票など具体的な窓口予約の設計については、戸籍・住民票窓口の来庁予約をオンライン化するには|待ち時間削減と窓口業務の効率化で解説しています。

まとめ

自治体で行政手続のオンライン化が進むことで、住民は窓口へ行かずに申請できる手続が増え、自治体職員にとっても申請受付や確認業務を効率化しやすくなります。一方で、本人確認、原本確認、受け取り、個別相談など、対面での対応が必要な窓口業務は残ります。

そのため、「オンライン申請」と「来庁」のどちらか一方へ統一するのではなく、手続を「オンライン完結」「オンライン申請+来庁」「相談・対面」に分類し、それぞれに適した受付方法を設計することが重要です。

来庁が必要な手続では、手続内容ごとの予約枠、必要書類の事前案内、予約時に取得する情報、Web以外の受付方法などを整理することで、住民にとってわかりやすく、職員にとっても対応しやすい窓口につながります。

RESERVA lgでは、24時間Web予約、手続別の予約受付、予約時アンケート、予約通知・リマインド、多言語表示などを組み合わせて自治体の来庁予約を管理できます。行政申請のオンライン化と来庁予約をそれぞれの役割に応じて活用し、住民と職員双方の負担を減らす窓口設計を進めましょう。

参考情報

矢印 Facebook X