【2025年最新】全国各地で続々導入!自動運転バス実証実験の実施状況

日本では少子高齢化が進んでおり、厚生労働省が発表した「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)」によれば、2023年8月から2024年7月の出生数は736,362人で、前年(2023年)の784,264人から47,902人減少しました。出生率(人口1,000人あたりに出生した子どもの数)は5.7で、前年の6.0より0.3ポイント低下、合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率)は1.15と、前年の1.20より0.05ポイント減少し、過去最低を記録しました。

人口減少や少子高齢化が急速に進む中、高齢者の移動手段の確保が重視されており、バスなどの公共交通機関を充実させることが求められます。しかし、若年層の都市部への流出による利用者数の減少や、運転手・搭乗員の高齢化により交通サービスの運用が難しくなっているのが現状です。

そこで注目されているのが、自動運転の電動(EV)バスやオンデマンド交通をはじめとする次世代の交通サービス「MaaS(Mobility as a Service:マース)」です。本記事では、自動運転バスの導入・実証実験を実施している自治体や企業の最新情報を紹介します。

参考元:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況

自動運転バスとは

自動運転バスとは、運転手がいなくても自動で運転が行われるバスです。自動運転バスには、GPSや周囲の状況を把握するセンサー、高精度な地図などが搭載されているため、安全で正確な走行を実現します。車両タイプも多様化しており、30人~50人まで乗車可能なバスタイプや、大学キャンパス内や大型商業施設などの移動に適したカートタイプなど、大きさや機能は導入場所や目的に応じてさまざまです。

また、自動運転バスと並んで関心が高まりつつあるのが、EVバスです。EVとは電気を燃料として走る電気自動車を指します。EVは、従来のガソリン車と異なり、二酸化炭素などの排気ガスの排出を抑えられるため、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点で注目が集まっています。

今後、EVバスと自動運転バスが掛け合わされ、利便性の向上と環境への配慮が両立した新しい移動手段の普及が期待されます。

参考元:西日本鉄道株式会社「一度は体験してほしい!“自動運転バス”の最先端技術を徹底解説!
    国土交通省「基幹的なバスにおける自動運転導入に関する検討中間とりまとめ

自動運転バスがもたらすメリット

自動運転バスを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 運転手不足に対応し、雇用コストも削減
  • 移動に送り迎えが必要だった高齢者の自立した移動を実現
  • ダイヤやルートを充実させ、市民の利便性向上と訪問者・利用者増加を両立
  • 居眠りやドライバーの操作ミスが起きないため、事故を抑制
  • 道路状況をリアルタイムで確認し、渋滞を緩和

山間部や電車が止まらない地域に住む高齢者は、通院や買い物に出かけるには家族の送り迎えが必要でした。そのため、外出のハードルが高く外に出る機会が減少し、体力の低下や、活力を失う人が多くなります。自動運転バスの導入により気軽な外出が実現し、高齢者の活発化や地域活性化に繋がります。

EVバスがもたらすメリット

EVバスを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 地球温暖化の原因となる排気ガスの排出を抑制
  • エンジンではなくモーターで走るため、走行中の騒音や振動を減少
  • 走行コストを軽減
  • 災害時、電源として利用可能

EVバスでは、大気汚染や地球温暖化の原因となっている排気ガスの排出を抑えることが可能です。また、災害時には電源供給ステーションの代替が可能であり、冷暖房完備の避難所としても利用できます。

参考元:ビーワイディージャパン株式会社

2025年11月現在、実証実験を実施した事例紹介

1.山口県周南市

画像引用元:周南市「周南市自動運転EVバス実証

山口県周南市は、住みよく活気のあるまちづくりと、公共交通機関の運転士不足への対応に向けて、2025年11月20日から12月19日の期間で自動運転EVバスの実証運行を行います。

実証実験は昨年(2024年)から行われていますが、今年は初となる夜の運行も追加され、さらなる実証実験効果が期待されます。バスは自動運転レベル2で走行し、実証運行にはオペレータが同乗するため、危険を察知した場合は手動操作に切り替えが可能です。初めての運行となった昨年は、自動運転EVバスの出発式の開催や、徳山高専祭に自動運転EVバスを出展するなど、地域全体からの期待が高かったことがうかがえます。

運行ルートは、JR徳山駅から徳山動物園前間の往復路であり、乗車予約はRESERVA予約サイトにて受け付けています。

参考元:周南市「周南市自動運転EVバス実証
         「周南市自動運転EVバス 実証運行
    デジテック for YAMAGUCHI 事務局Note「(まとめ②)周南自動運転EVバス実証に関する詳細情報

2.北海道小樽市

北海道小樽市は株式会社マクニカと連携し、2025年8月18日から8月31日にかけて自動運転EVバスの実証運行を行いました。

小樽市ではバスの乗務員不足が課題となっており、将来的にバス路線を維持していく手段の一つとして、小樽市初となる公道での自動運転EVバスの試運転・試乗会が実現しました。今回の実証は自動運転レベル2での実施となるため、基本的には自動運転で走行しますが、車両にはドライバーが乗車し、その監視下で運行します。また、小樽市と連携協定を結んでいる北海道科学大学と連携し、車両には学内公募によるラッピングデザインが施されています。

試乗会では、小樽国際インフォメーションセンターから小樽運河ターミナル、堺町本通り周辺を循環する3.7kmのルートにて、1日7便が運行しました。偶数便は先着順で乗車でき、奇数便は小樽市民限定でRESERVA予約サイトにて予約を受け付けました。

参考元:小樽市「自動運転EVバスの体験試乗会について
    株式会社マクニカ「北海道小樽市とマクニカ、将来的なバス路線維持を目指し小樽市初の自動運転EVバス実証運行を開始!
    日本経済新聞「北海道小樽市とマクニカ、将来的なバス路線維持を目指し自動運転EVバス実証運行を開始
    国土交通省「自動運転のレベル分けについて

3.多摩田園都市エリア

神奈川県川崎市・横浜市・大和市、東京都町田市の4市に広がる多摩田園都市エリアでは、2023年3月7日から3月13日に自動運転車両の遠隔監視により運行管理する実証実験を実施しました。

多摩田園都市エリアは、地域の高齢化やコロナ禍以降のライフスタイルの変化に伴う移動に関するサービスの充実化に向け、2020年より遠隔監視と自動運転を掛け合わせた実証を続けてきました。今回の実験では、1人の遠隔監視者が1台の自動運転車両を管理することは可能かが検証され、将来的には1人の監視者が複数の車両を管理し、移動サービスを拡大していく予定です。

参考元:東急株式会社「多摩田園都市エリアで自動運転モビリティを遠隔監視により運行管理する実証実験を実施~遠隔監視×自動運転で、移動ニーズへの対応やドライバー不足など社会課題の解決を目指します~
    日本経済新聞「東急と東急バス、多摩田園都市エリアで自動運転モビリティを遠隔監視により運行管理する実証実験を実施

4.北海道東川町

画像引用元:東川町「自動運転バス実証実験の実施について」

北海道東川町では、2023年3月6日から3月10日にかけて自動運転バスの試運行を実施しました。

本実験は雪道での実施となるため、2022年12月から定常運行が行われている北海道上士幌町でのノウハウを基に、除雪した道や雪道を想定したルート構築・オペレーションを検証し、降雪地帯での自動運転バス実装に向けた取り組みが進められてきました。3月は融雪による水たまりの発生や路面凍結が起こりやすくなるため、試運行では環境や気温に応じて道路を整備し、安定した走行の実現を目指す必要があります。

東川町は今後自動運転バスの定常運行を目指し、交通事業者や商工会などと連携しながら取り組みを進めていく予定です。

参考元:東川町「自動運転バス実証実験の実施について」

5.HANEDA INNOVATION CITYと羽田空港第3ターミナル間

鹿島建設株式会社BOLDLY株式会社と連携し、羽田空港に隣接する大型施設HANEDA INNOVATION CITYと羽田空港第3ターミナル間の公道で、2023年1月5日から3月31日にかけて長期実証実験を実施しました。

今回の実施実験では毎日8便を運行させ、定常運行に近い環境での実験が行われており、事前予約制でだれでも無料で利用が可能でした。鹿島建設株式会社とBOLDLY株式会社は、2021年から自動運転バスの実証実験をしてきましたが、2023年2月27日時点で累計88日599便、無事故での運行を実現しています。

参考元:鹿島建設株式会社「公道で自動運転バスの長期実証実験を実施「HANEDA INNOVATION CITY」と羽田空港第3ターミナル間において
    日本経済新聞「鹿島、BOLDLYと公道で自動運転バス「NAVYA ARMA」の長期実証実験を実施
    HANEDA INNOVATION CITY「2023年1月5日~3月31日の期間限定で自動運転バスが羽田空港第3ターミナルまで運行!
    Sinumy株式会社「羽田イノベーションシティの自動運転バスの実証実験において、非接触デジタルゲート認証/決済プラットフォーム「SpeeIDy」が導入されています

6.沖縄県北谷町

沖縄県北谷町では、経済産業省および国土交通省による高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業を活用し、2017年度から無人自動運転移動サービスの社会実装に向けた実証実験を進めています。2021年には、観光施設やホテルが並ぶ海沿いのルートを巡る無人自動運転サービス「美浜シャトルカート」の運用が始まり、観光客や高齢者の移動手段として活用されてきました。

2023年2月1日から3月31日には、シャトルカート事業の有料化による事業モデルの検討に向け、有料での実証実験が行われました。

参考元:国立研究開発法人産業技術総合研究所「無人自動運転移動サービスが沖縄県北谷町で観光地モデルとして運用を開始-遠隔監視・操作型自動運転の新しい事業モデルによる民間事業者運行―
    ヤマハ発動機株式会社「ヤマハ発動機が出資し、沖縄県北谷町で「美浜シャトルカート」の運行事業に参画
    北谷町「北谷町地域公共交通網形成計画

7.群馬県前橋市

画像引用元:前橋市「自動運転バスの実証実験を実施します

群馬県前橋市は、2018年から群馬大学日本中央バス株式会社との連携により自動運転バスの社会実装に向けた実証実験に取り組んできました。これまでの実験では、マイナンバーカードと顔写真を紐づけることで小児料金や障がい者割引など独自の運賃割引が適応されたり、乗降時に料金の支払いが不要な顔パス乗車のテストが行われました。

5回目の実証実験では、2023年1月16日から3月19日まで火曜・水曜を除いた毎日、研究用車両ではなく自動運転システムを搭載した日本中央バスの営業用車両が用いられました。

参考元:前橋市「自動運転バスの実証実験を実施します
    日本経済新聞「前橋市などが自動運転バスの実証実験、3月19日まで
    前橋市交通政策課「自動運転バス実証実験について

自動運転バスの実証実験でもっとも使われているRESERVA

画像引用元:RESERVA lg公式サイト

スマートモビリティへの関心が高まりつつありますが、自動運転と聞くと危険なイメージを持つ人は少なくありません。本格的に社会に実装していくには、地域の人々の理解を得ることが必要不可欠であると言えます。

そこで効果的なのが試乗体験会です。実際に体験する場を設けることで受け入れやすくなり、自動運転への理解も深まっていくでしょう。また、実際に利用していく利用者の意見を聞くことで、各自治体や区域にあった運用法が見えてきて、更なる利便性向上が期待されます。

試乗体験の予約におすすめなのが、実際の現場でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。

まとめ

少子高齢化やライフスタイルの変容が急速に進む現代において、スマートシティ化は欠かせません。今回は、自動運転バスの導入・実証実験を実施している自治体や企業を5個紹介しました。立地や人口を問わず、自動運転バスの導入が進められていることから、スマートシティ政策のなかでも、MaaSへの関心が高まっていることが伺えます。

RESERVA lgでは、今後もスマートシティ施策・MaaSに関する国内事例を取り上げていきます。

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