【2024年】日本の自動運転バスの実証実験事例|新しい移動を実現するMaaSについて解説!

【2024年】日本の自動運転バスの実証実験事例|新しい移動を実現するMaaSについて解説!

更新

総務省統計局の発表によると、2024年3月時点の総人口は、2023年3月より56万5千人減少した1億2400万3千人でした。総人口は減少し続けている一方で、75歳以上の高齢者人口が前年に比べ約71万4千人増加していることから、現在の日本において人口減少・少子高齢化は大きな課題となっていることが分かります。

近年は、高齢者による運転は控える傾向も強くなっているため、バスなどの公共交通機関を充実させることが求められます。しかし、若年層の都市部への流出による利用者数の減少や、運転手・搭乗員の高齢化により交通サービスの運用が難しくなっているのが現状です。

そこで注目されているのが、自動運転の電動(EV)バスやオンデマンド交通をはじめとする次世代の交通サービス「MaaS(Mobility as a Service、マース)」です。

本記事では、自動運転バスの導入・実証実験を実施している自治体や企業を紹介していきます。

参考ページ:総務省統計局「人口推計(2024年(令和6年)3月確定値、2024年(令和6年)8月概算値) (2024年8月20日公表)

自動運転バスとは

自動運転バスとは、運転手がいなくても自動で運転が行われるバスです。自動運転バスには、GPSや周囲の状況を把握するセンサー、高精度な地図などが搭載されているため、安全で正確な走行を実現します。車両タイプも多様化しており、30人~50人まで乗車可能なバスタイプや、大学キャンパス内や大型商業施設などの移動に適したカートタイプなど、大きさや機能は導入場所や目的に応じてさまざまです。

また、自動運転バスと並んで関心が高まりつつあるのが、EVバスです。EVとは電気を燃料として走る電気自動車を指します。EVは、従来のガソリン車と異なり、二酸化炭素などの排気ガスの排出を抑えられるため、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点で注目が集まっています。

今後、EVバスと自動運転バスが掛け合わされ、利便性の向上と環境への配慮が両立した新しい移動手段の普及が期待されます。

参考記事:西日本鉄道株式会社「一度は体験してほしい!“自動運転バス”の最先端技術を徹底解説!
参考記事:トヨタカローラ博多株式会社「「EV」って何?トヨタのEVってどんな車?

自動運転バスがもたらすメリット

自動運転バスを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 運転手不足に対応し、雇用コストも削減。
  • 移動に送り迎えが必要だった高齢者の自立した移動を実現。
  • ダイヤやルートを充実させ、市民の利便性向上と訪問者・利用者増加を両立。
  • 居眠りやドライバーの操作ミスが起きないため、事故を抑制。
  • 道路状況をリアルタイムで確認し、渋滞を緩和。

山間部や電車が停まらない地域に住む高齢者は、通院や買い物に出かけるには家族の送り迎えが必要でした。そのため、外出のハードルが高く外に出る機会が減少し、体力が低下したり活力を失ってしまう人が多くなります。自動運転バスの導入により気軽な外出が実現し、高齢者の活発化や地域活性化に繋がります。

EVバスがもたらすメリット

EVバスを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 地球温暖化の原因となる排気ガスの排出を抑制。
  • エンジンではなくモーターで走るため、走行中の騒音や振動を減少。
  • 走行コストを軽減。
  • 災害時、電源として利用可能。

EVバスでは、大気汚染や地球温暖化の原因となっている排気ガスの排出を抑えることが可能です。また、災害時には電源供給ステーションになったり、冷暖房完備の避難所としても利用できます。

参考サイト:アルファバスジャパン株式会社
参考サイト:ビーワイディージャパン株式会社

事例紹介

1.香川県土庄町

香川県土庄町は、小豆島にて自動運転バスの走行実証実験を、複数の民間企業と共同で2024年9月12日(木)から9月17日(火)に実施します。この実験は、アクセルやハンドルを自動で制御してドライバーをサポートする「レベル2」の段階での実験です。

この期間、自動運転バスは小豆島の主要港である土庄港から人気観光地のエンジェルロード間を走行し、島民以外の人にもバスの乗車を提供します。土庄町は、島民や観光客からの需要が多いこのルートの実際のニーズを把握することで、小豆島の交通課題の解決を目指しています。

参考記事:JTB「瀬戸内の離島における初の自動運転バスの走行実証を開始~20年先の小豆島をつくるプロジェクト~

2.愛知県・常滑市

愛知県と同県常滑市は、未来の交通を形作る試みとして、2024年8月19日から9月6日までりんくう町周辺で自動運転バスの実証実験を共同で行いました。バスは予約が不要かつ運賃も無料だったため、夏休みの思い出作りや日常の通勤、通学などに気軽に利用されました。

この実証実験では、常滑駅、ボートレースとこなめ、イオンモール常滑、りんくう常滑駅、ウィンボとこなめといった主要な停留所で乗り降りが可能でした。実験は8月19日から8月31日までは愛知県の事業として、9月1日から9月6日までは常滑市の事業として行われました。

3.北海道岩見沢市

岩見沢市は、2023年10月7日から13日の間、株式会社マクニカ岩見沢地区ハイヤー協会と協働して、公道走行実証実験を実施しました。バスはハンドル操作なしの自動走行となりますが、安全のためオペレーターと保安員が同乗しました。市はこの取り組みを通じ、先進的な交通インフラの実現を目指しました。

このイベントの予約管理には、RESERVA予約システムが使用されていました。予約サイトでは、予約方法や停留所、運行情報が写真付きで紹介されたため、乗車予約から実際の乗車までをスムーズに行えました。

参考記事:北海道新聞「<岩見沢>自動運転バスの走行実証に携わる 田中義一さん(48)

4.茨城県常陸太田市

茨城県常陸太田市は、持続可能な交通体系の確立に向け、2023年2月17日から2月23日の7日間、公道を使った自動運転バスの実証実験を実施しました。走行区間は、JR常陸太田駅から市役所までの約1.3kmで、ルート途中にも停留所が設置されました。利用された車両には複数のセンサーがついており、常に周囲の状況を把握しながらの走行が可能です。

乗車後にはアンケートが実施され、現在はアンケートで把握した利用者のニーズや課題を基に、本格的な導入に向けた取り組みが進められています。

当イベントは予約制で、予約管理にはRESERVAが使用されていました。RESERVAは、28万社が導入、500以上の政府機関・地方自治体も導入したという実績がある国内No.1予約システムであり、イベントをスムーズに運営するには最適です。

参考記事:毎日新聞「運転手不足解消の助っ人なるか 自動運転バス運行へ実証実験

5.東京臨海副都心地区

東京都は、デジタルの力を活用して都民の生活をより良いものにするスマート東京の実現に向け、デジタルイノベーションシティプロジェクトに取り組んでいます。

台場地区・青海地区・有明北地区・有明南地区から成る臨海副都心エリアでは、デジタルテクノロジーの実装とスタートアップの集積が進められています。その一環として、2023年1月18日から2月6日の期間で「自動運転EVバスで移動しよう!お台場回遊プロジェクト」が実施されました。

参考記事:「“次世代モビリティ”の一般参加型体験イベントを開催します!
参考サイト:東京都Digital innovation city project

6.福岡県福岡市

参考:福岡県福岡市「FUKUOKA Smart EAST

福岡県福岡市は、FUKUOKA Smart EASTの取り組みとして、公道におけるハンドルのない自動運転小型バスの試乗会を実施しています。2022年8月25日から8月28日にはJR箱崎駅を起点とし、松島・筥松校区周辺の3.5kmを走行しました。

参考記事:福岡地域推進協議会「公道においてハンドルのない自動運転小型バスの試乗会を行います!

7.茨城県日立市

茨城県日立市は、経済産業省が進める自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクトの一環として、2022年12月16日から2023年2月28日の間、ひたちBRTバス専用道を利用した中型自動運転バスの実証実験を行いました。本市は2019年度に「中型自動運転バスによる実証実験」に取り組むバス運行事業者に選定されて以来、自動運転バスの社会実装に向け、自動運転の制御方法の開発・検証を進めています。

参考記事:株式会社KDDI総合研究所「ひたちBRTでの自動運転バス実証開始のお知らせ
参考ページ:経済産業省「「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」について

8.羽田空港

2023年1月5日から3月31日の間、羽田空港に隣接する大規模複合施設HANEDA INNOVATION CITYと羽田空港第3ターミナル間、往復3.9kmの公道で自動運転バスの実証実験が実施されました。

またHANEDA INNOVATION CITY内では、2020年9月18日から移動の利便性向上に向けて自動運転バスの定常運行が開始されています。2024年9月12日時点で、70431人がこの自動運転バスを利用しており、新しい移動手段の定着が進んでいることがうかがえます。

参考資料:「 スマートシティのモデルプロジェクトに選定された「HANEDA INNOVATION CITY」で自律走行バスの定常運行を開始~特別装置自動車が自律走行バスとして定常運行するのは国内で初めて~

9.埼玉県さいたま市

埼玉県さいたま市は、自動運転サービスの受容性の検証・シェアモビリティとの連携による移動性向上の検証を目的とし、2021年4月25日から28日の間、さいたま新都心駅周辺の公道に自動運転バスの実証実験を行いました。

さいたま市スマートシティ推進事業の取り組みで市内に設置されているシェアサイクルやシェアEV、シェアスクーター、電動カートと連携することで、更なる利便性向上を目指しています。

10.島根県飯南町

参考:飯南町「バス運行情報

国土交通省は2017年より中山間地域における移動手段確保のため、道の駅を拠点とした自動運転サービスの実証実験を進めています。島根県飯南町では、2021年より自動運転車両「い~にゃん号」の本格的な導入が行われました(2024年9月現在、運行休止中)。

本町は飯南町観光協会と共同でい~にゃん号をPRするかわら版を作成するなど、町民に受け入れやすい環境づくりに尽力していることが確認できました。

参考記事:朝日新聞「無人の自動運転車・い~にゃん号、中山間地域で公道走る全国4例目
参考ページ:国土交通省「中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス道の駅「赤来高原」(島根県飯南町)で本格導入へ(中国地方初)

11.茨城県境町

茨城県境町は、2020年11月26日に自治体で初めて自動運転の定常運行を開始しました。2024年9月時点で停留所は17カ所に設置されており、運行ルートは町民のニーズに応じて拡大されていく予定です。

停留所の中には、自動車シェアリングサービスや自動車シェアリングサービスと乗り継ぎができる所もあり、新しい交通の形を体現していると言えるでしょう。

参考資料:「ビッグデータ・自動運転バスを用いた地域経済活性化
参考資料:「全国初の行動常時運行!自動運転バス「誰もが足に困らない町」を目指します!

12.神奈川県横浜市

神奈川県横浜市では、本市の強みであるものづくり・IT産業の集積を活かしてIoTを活用したビジネス創出を促進するI・TOP横浜の取り組みとして、路線バス自動運転プロジェクトを開始しました。

2020年10月には、日本で初となる大型バスの運転席無人、遠隔監視・操作による実証実験が実施され、イノベーション都市・横浜を推進しています。

参考記事:横浜市「I・TOP横浜「路線バス自動運転プロジェクト」~日本初大型バスによる遠隔監視・操作での自動運転を実施~
参考記事:横浜市「山下公園で景色を楽しみ移動できる自動走行モビリティが9/21(木)から4日間限定で市内初走行!
参考記事:横浜市「Partnershipで創る未来~SDGs未来都市横浜旭区の挑戦~
参考記事:横浜観光情報「神奈川県内初!駅に接続自動運転バスを9/20(月・祝)から5日間限定で営業運行!
参考サイト:I・TOP横浜

13.愛知県日進市

日進市は、2022年12月に自動運転技術を活用した新しいモビリティサービスの実装とスマートシティの実現に向け、自動運転実装コンソーシアムを設立しました。

2023年1月にコンソーシアムを構成する日進市BOLDLY株式会社名鉄バス株式会社株式会社セネック株式会社マクニカ名城大学の連携により、自動運転バスの実証実験が開始されました。2024年10月現在、火曜~土曜日の間で公道実走実験が継続して行われています。

LINE公式アカウント「にっしんアルマ」では、自動運転バスの運行状況やダイヤの確認することができます。

参考資料:「愛知県日進市で自動運転バスの定常運行を見据えた公道実走実験を開始~産官学の自動運転実装コンソーシアムにより、2024年に自動運転レベル4での定常運行開始を目指す~

自動運転バスの実証実験でもっとも使われているRESERVA

画像引用元:RESERVA公式サイト

スマートモビリティへの関心が高まりつつありますが、自動運転と聞くと危険なイメージを持つ人は少なくありません。本格的に社会に実装していくには、地域の人々の理解を得ることが必要不可欠であると言えます。

そこで効果的なのが試乗体験会です。実際に体験する場を設けることで受け入れやすくなり、自動運転への理解も深まっていくでしょう。また、実際に利用していく利用者の意見を聞くことで、各自治体や区域にあった運用法が見えてきて、更なる利便性向上が期待されます。

試乗体験の予約におすすめなのが、今回紹介した事例でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは、操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。

RESERVAの詳細は、こちらをご覧ください。

まとめ

少子高齢化やライフスタイルの変容が急速に進む現代において、スマートシティ化は欠かせません。今回は、自動運転バスの導入・実証実験を実施している自治体や企業を13個紹介しました。立地や人口を問わず、自動運転バスの導入が進められていることから、スマートシティ政策のなかでも、MaaSへの関心が高まっていることがうかがえます。

RESERVA Digitalでは、今後もスマートシティ施策・MaaSに関する国内事例を取り上げていきます。

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RESERVA.lgは、自治体向けのクラウド予約システム。官公庁、自治体における導入実績は500以上。公共施設予約、自治体のイベント、窓口予約など様々なシーンで導入されています。