近年の日本では、自然災害の発生頻度とその影響が増加しています。都市化、高齢化など、多くの要素が複雑に絡み合い、防災対策の重要性は日に日に高まっています。近年では異常気象による災害も増加しています。2020年に熊本県南部を襲った豪雨や、台風、大雨によりほぼ毎年発生する河川氾濫は、気候変動が日本の防災環境に新たな課題をもたらしている証拠です。
そんな中で注目を集めているのが、デジタルトランスフォーメーション（DX）を活用した防災対策です。本記事では、各地の自治体がどのように最先端のデジタル技術を用いて防災活動を強化しているのかを紹介します。スマートフォンアプリの活用やVRによる高度な防災訓練などの多角的な取り組みを通じて、デジタル化が防災対策にどのように貢献するのかを解説していきます。
防災対策の重要性
防災対策の重要性について、以下に詳細を紹介します。
防災対策の目的
防災対策の目的は、災害時に危機管理能力を高め、被害を最小限に抑えることです。災害は予測が難しく、被害が拡大することもあります。そこで、事前の対策が必要です。防災対策の重要なポイントは、人命の保護・安全確保、被害の軽減、復旧・復興の円滑化などです。
これまでの防災対策の課題
これまでの防災対策にはいくつかの課題がありました。
まず、情報の不足や遅れが考えられます。例えば2018年の西日本豪雨において、ある自治体が災害危険区域に避難指示を出したのは、該当区域の川の堤防が決壊するわずか数分前でした。結果として堤防が一部決壊し、40人以上が亡くなりました。災害時の避難指示の速報が遅いと被害が拡大する原因となります。
また、防災計画の策定や訓練の不足も問題でした。2011年の東日本大震災では、大津波が発生し、多くの市町村で甚大な被害を受けました。津波の想定の不足や、避難訓練の不十分さが被害が拡大した原因の一つと言われています。適切な計画と訓練がないと、防災対策の効果が十分に発揮されません。
防災DXとは
デジタル技術はを導入し、防災DXを推進することは防災対策において重要な役割を果たしています。以下に概要を示します。
防災DXの概要
防災DX（デジタルトランスフォーメーション）は、災害時の情報収集・共有・分析・活用をデジタル技術を駆使して行うことを指します。具体的には、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能（AI）などの技術を活用して、災害時の情報収集や予測、避難ルートの最適化、救助活動の効率化などを行います。
防災対策へのデジタル技術の適用
防災DXのメリットは多岐に渡ります。まず、デジタル技術の活用によって、リアルタイムで正確な情報を収集・共有することができます。これにより、災害時の情報の迅速な伝達や意思決定が可能となり、被災者の救助や避難の効率化が図れます。また、ビッグデータ解析やAIの導入によって、災害時の被害予測や避難ルートの最適化、資源の適切な配分などができるため、災害のリスクを最小限に抑えることができます。
日本では、東日本大震災や熊本地震などの過去の災害を教訓に、防災DXが注目されています。自治体では、災害時の被災者支援や復興のために、防災DXを積極的に取り入れる動きが盛んです。具体的な取り組みとしては、地震速報や避難所情報のオープンデータ化、災害時の医療機関の情報共有、避難経路の可視化などが挙げられます。防災DXを推進させることで、同時に自治体DXも推進させることができます。
これらの取り組みによって、被災者の救助や避難の効率が向上し、災害時の被害を最小限に食い止めることができます。
防災DXの実施事例
防災DXを実施している自治体の事例として、以下の2つの市町村を紹介します。
神奈川県横浜市「横浜市避難ナビ」
参考：横浜市公式サイト「横浜市避難ナビ」
神奈川県横浜市は、スマートフォンアプリ「横浜市避難ナビ」を提供しています。このアプリには、ARを活用した浸水時の疑似体験機能、ハザードマップや避難所などの情報のほか、「マイ・タイムライン」と呼ばれる、各人の家族構成や地域環境に合わせた避難行動計画が作成できる機能が搭載されています。災害時には、マイ・タイムラインと連動して避難情報がプッシュ通知され、開設している避難場所やルートが確認できる仕組みになっています。
このアプリの活用で、災害時に市民が適切な行動をとれるような効果が期待されています。
また、横浜市には「横浜市民防災センター」もあり、防災意識が極めて高い自治体と言えます。本施設では地震・火災体験ツアーなど、さまざまな防災体験などを行うことができます。RESERVAを使った便利な予約サイトもあるので、ぜひ足を運んでみてください。
宮城県仙台市「せんだい災害VR」
参考：仙台市公式サイト「せんだい災害VR」
宮城県仙台市では、VR（バーチャルリアリティー）による災害体験ができる「せんだい災害VR」という防災学習を提供しています。具体的には、地域や各団体の防災に関する研修会等に専門スタッフを派遣し、仮想現実による疑似体験を行うことで、災害への備えや対応方法などを説明する取り組みです。地震や津波などの災害を、デジタル技術であるVRを使って非常にリアルに体験できることがポイントです。
体験には事前予約が必須で、電話で予約を行い利用申請書を提出することで予約を完了させることができます。
成果と課題
まだ試行中の施策も多くありますが、防災対策をデジタル化することで、以下の有用な成果が得られると考えられます。
1. 即時性と正確性の向上：デジタル技術の導入により、災害発生時に、リアルタイムでの情報提供や緊急通知が可能になります。これにより、市民が速やかに適切な行動を取れるようになり、安全な避難の実現が期待されます。
2. 避難情報の共有：デジタル化により、避難情報の収集・共有が円滑化されました。自治体内の関係部署や関係機関との連携がスムーズになり、迅速な対応が可能になりました。
3. コスト削減：紙ベースや人手による作業からデジタル化することで、長期的にはコスト削減も期待できます。その結果、有益な防災対策にさらに予算を割くことが可能になります。
一方、防災対策のデジタル化には以下のような課題も残っています。
1. データセキュリティ：デジタル技術の導入に伴い、個人情報や災害に関する機密情報などのセキュリティリスクが増加しました。適切なセキュリティ対策が求められます。
2. 技術的な課題：デジタル技術の導入には専門知識や高度な技術が必要です。自治体の技術力や人材の不足が課題となっています。
3. 住民の理解：デジタル化による防災対策の効果やメリットを住民に理解してもらうことも課題となっています。十分な情報提供や啓発活動が必要です。
防災DXの推進には予約システムRESERVA
防災DXの推進において、予約システムは重要な鍵のひとつといえます。防災体験学習の予約にシステムを導入することも、防災DX、自治体DXの取り組みだと言えるためです。
利用者はオンラインで防災体験を予約できるため、利便性が向上します。運営側にとっても、予約情報をもとに最適なスタッフの配置や体験準備を行うことができ、運営の効率化が図れます。さらに、利用者の予約情報などのデータを収集することによって、利用者の需要傾向や施設利用時間帯の把握、サービスの改善点の特定などが可能になります。収集したデータは、将来の運営改善や戦略立案に役立ちます。
防災体験の施設、イベント予約におすすめなのが、実際の現場でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。
防災DXの推進に最適なRESERVAの詳細は、こちらをご覧ください。
まとめ
今回は、防災対策のDXを行っている自治体の事例を紹介しました。
デジタル技術を活用した先進的な取り組みは、地域社会における災害リスクを低減し、市民の命と財産を守る上で極めて価値のあるものです。テクノロジーの進化とともに、今後もさらなる防災DXの展開が期待されます。デジタルとリアルが連動することで、従来の方法では考えられなかった革新的な防災対策が可能になります。その結果、より多くの人々が安心して生活できる持続可能な社会の構築が進むでしょう。
デジタル化によって防災対策の効果が向上し、自治体DX、防災DXが進展していくことに期待が高まります。