総務省の「情報通信白書」によると、「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続のオンライン利用率」は2019年度で47.5%と上昇傾向にあります。業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進み、各自治体では、SNSでの情報発信やAIチャットボットなど、サービス提供の場でデジタル技術を活用することが増えました。なかでも公共施設の管理では、多くの自治体が施設予約のオンライン化を推進しています。予約をシステム化することで、市民はいつでもどこからでも公共施設の予約を行うことができ、利便性と公平性が保たれます。
自治体が管理する公共施設は、スポーツ施設や公民館、会議室など、特定の目的のもとに集まる場所だけでなく市民の活動の幅を広げる多目的な空間でもあります。このような施設の予約をかんたんにすることは、気軽に施設を使いたい利用者と、効率よく施設を貸し出したい自治体の双方にとってメリットがあるといえます。本記事では、オンライン化する地方自治体の施設予約の事例を紹介します。
参考ページ:総務省「令和3年度情報通信白書 第2部基本データと政策動向」
市区町村による施設の貸し出し
施設のオンライン予約とは、ウェブサイトやアプリ、予約プラットフォームを通じて施設を予約することを指します。現在は、ホテル、レストラン、映画館、スポーツ施設、美容院、診療所、会議室など多種多様な施設でインターネット予約が利用できます。
施設利用者は予約したい施設のサイトにアクセスし、利用希望日時、人数、部屋の種類、特別な要望など、予約に必要な詳細を入力します。事前にオンライン決済を利用すれば、利用日に支払い手続きをすることなく入室が可能となります。予約が完了した場合はメールやSMSで確認メッセージが送られることが多いため、予約者へのリマインドも自動で行うことができます。
このように、オンライン予約は24時間利用可能で自宅や外出先から手軽に予約を行うことができ、非常に便利です。さらに、電話での予約や直接訪問による予約と比べて手間や時間を大幅に削減できます。
施設予約がオンライン化している背景
施設のオンライン予約が増えている背景には、いくつかの主要な要因があります。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
ビジネスプロセスをデジタル化するDX化は、自治体でも進んでいます。施設のオンライン予約もDX化の一環で、業務を自動化することで政策立案や質の高いサービス考案などに時間を割けるようになります。 - ユーザビリティの向上
ウェブサイトやアプリの設計は日々改善されており、予約プロセスがかんたんで直感的になっています。また、多言語対応が進んでいるため、さまざまな言語話者が利用しやすくなっています。 - オンデマンド経済
近年、電子的なサービスが普及するにつれて、市民は自分の都合に合わせてサービスを利用するというオンデマンドの経済が普及しています。これにより、自分のスケジュールに合った施設を予約できるウェブ予約にも需要が高まっています。 - 情報の量と質
ウェブサイトには施設の詳細な情報が掲載されていることが多く、これをもとにユーザーはサービスを選定、判断します。レビューや評価、インターネット上での施設比較などから、ユーザーは他のユーザーの体験を参考にし、自分のニーズに最も適した施設を選択していきます。
このように、インターネットを通じた施設の予約は、消費者にとって利便性が高く、施設の運営者にとっても効率的な運営を可能にします。このことから、予約システムはますますデジタル化、多様化し、ウェブ予約の体験はさらに便利でパーソナライズされたものになるでしょう。
市区町村の施設予約を受け付けている事例
1. 栃木県那須塩原市:スマート公民館
那須塩原市では、公民館を「地域の幅広い世代の市民が集う憩いの場」と位置づけ、デジタル技術を活用した「スマート公民館」の構築に取り組んでいます。その第一歩として西那須野公民館でモデル事業を行っており、利便性向上のためオンライン予約システムとスマートロックを導入しています。
予約サイトは施設の写真が多く、収容人数の記載もあるため、予約者はニーズにあった施設を選ぶことができます。また、会員制となっているため、セキュリティ対策も万全です。
2. 香川県小豆郡:公共施設予約システム
香川県小豆郡では、町内公共施設の予約について、利用者の利便性向上や事務の効率化を図るため、「小豆島町公共施設予約システム」の運用を2023年4月より開始しました。
ここでは、スマートフォンやパソコン等で町内公共施設の空き状況の確認や利用予約が、体育施設は6ヶ月・公民館は2ヶ月先まで可能です。毎月1日の20時に先の予約が取れるようになっているため公平性が担保されているシステムといえます。
3. 島根県安来(やすぎ)市:公共施設等予約システム
島根県安来市では公共施設等予約システムのページを設置しており、「公園、保健センター等の予約」と「相談、健(検)診等の予約」に分けてオンラインで予約を受け付けています。
予約サイトにアクセスすると、はじめに施設名あるいは目的を選択する画面が表示され、利用区分や施設名などのカテゴリに沿って予約を進められるため、よりミスが少なく見やすいサイトとなっています。
4. 山形県村山市:Link MURAYAMA(リンク ムラヤマ)
山形県村山市のLink MURAYAMAは、旧県立高校を改修して建てられた「にぎわい創造活性化施設」です。校舎の面影を残し、「にぎわい」と「なりわい」を生む場所を目指しています。
コワーキングスペース、シェアキッチン、和室、キッズラボなど、もとの学校の施設をリノベーションしたからこその施設を提供し、予約を自動化しています。コワーキングスペースは月額プランが用意されており、定期的に利用する市民にとって有用なシステムが構築されています。
5. 神奈川県横浜市:都筑区民活動センター
横浜市都筑区では、区役所に登録して地域で活動する団体がさまざまなイベントを開催しています。そのような団体のために貸し出している施設が区民活動センターです。
予約はミーティングスペースだけでなく、印刷機やイベント用品の貸し出しも予約制となっています。さらに、相談やコーディネートの依頼といった、物理的なかたちのないソフトなサービスの予約も可能となっています。
6. 三重県三重郡菰野(こもの)町:オンライン施設予約
三重県菰野町では、公式ホームページに「オンライン施設予約」のタブを設け、町内の各施設の予約をオンライン化しています。
予約は「全日」「午前」「午後」「夜間」の枠から選択できるようになっており、まとまった時間での利用が可能です。また、事前決済機能を導入しているため、予約から決済まで一度に完結し、当日窓口に向かう手間が省けます。
7. 富山県高岡市:公営スポーツ施設
富山県高岡市では、スポーツ施設に特化した予約サイトが設置されています。スポーツ施設だけでも、球技、陸上競技場、プール、ジムなど複数あり、予約1件1件を人の手で処理していくのは現実的ではありません。
高岡市では1つの予約サイトで複数のスポーツ施設を管理し、1時間単位で予約できるシステムを作っています。予約時に最低利用時間とキャンセル締め切りを設けており、市民が確実に予約できる工夫がされています。
多様な施設予約の自動化にはRESERVA
自治体が管理する施設は多様化・多目的化し、市民のくらしや活動を支える場所となっています。業務のDX化が進み、複数ある施設の予約を職員の手ですべて管理するのは、市民と自治体双方にとって非効率であることが考えられます。
そのため、施設予約の管理者は、予約業務を自動化するためにオンラインの予約システムを導入し、無理なく運用していくことが有用です。予約サイトのデザインや、自治体ならではの予約条件を盛り込むことも必要になってくるでしょう。このように、円滑に施設予約を受けられるようにするために予約システムを導入すれば、いつでもどの媒体からでも予約が可能となり、さまざまな施設において質の高いサービスを提供できるようになります。
自治体の施設予約におすすめなのが、実際の現場でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。
自治体の施設予約に最適なRESERVAの詳細は、こちらをご覧ください。
まとめ
業務効率化の動きによって、自治体でも業務のオンライン化が進んでいます。今回は、自治体が関わる施設予約のオンライン化の事例を7つ紹介しました。今後も市民向けの施設が増え、それにともなって予約のオンライン化が進むことが予想されます。
予約DX研究所では、今後も自治体のDX化、官民連携に関する国内事例を取り上げていきます。