高齢化社会の現代において、自身の健康状態を把握する健康診断は、労働安全衛生法第66条にもとづき、労働者は毎年1回以上受けなければならないことが定められています。それだけでなく、2006年6月に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」により、地域住民も特定健診や保健指導等を受けることが求められ、厚生労働省をはじめとするさまざまな医療団体が受診を呼びかけています。
なかでも自治体で行われる健康診断は、住民の健康管理や予防医療を促進するための重要な取り組みです。健康診断を行う医療機関との連携も必要となるため、予約管理は医療機関に受託する場合もあるでしょう。本記事では、自治体が推奨する健康診断について改めて解説し、請け負っている医療機関の事例、さらにはオンライン化への取り組みについて探っていきます。
参考ページ:厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」
自治体が主催する健康診断とは
自治体で行われる健康診断は、住民の健康状態をチェックする自治体主導の保健事業です。住民が無料または低コストで受診できる機会を提供し、健康相談や健康検査、血液検査、がん検診などのサービスを提供することで、住民の健康意識の向上や早期発見・治療の機会提供を目指しています。
そのうち特定健診は、生活習慣病の予防のため、40歳~74歳の住民を対象にメタボリックシンドロームに着目した健診を行います。そして、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる住民に対しては、保健師や管理栄養士などが生活習慣を見直すサポートとして、特定保健指導を行います。
がん検診は2007年に「がん対策基本法」が施行されたことにともない、国の「がん対策推進基本計画」にもとづいて各自治体ががん対策に取り組むことになっています。
参考ページ:厚生労働省「特定健診・特定保健指導について」
健康診断の予約を取り巻く状況
ここまで紹介してきたとおり、国の定めた法律が背景となり、労働者だけでなくすべての市民が健康診断を受けることが推奨され、健康志向が高まりつつあります。しかし、そのような状況下で新型コロナウイルスパンデミックの影響が広まり、対面での接触を最小限に抑えることが必要となりました。
そこで加速したのが、健康診断予約のオンライン化です。遠隔での医療相談や健康管理が可能になった現在、利便性とアクセシビリティの向上により、住民は時間や場所に制約されずに健康診断を受けることができるようになりました。
健康診断の予約システム導入によるメリットを整理すると以下が挙げられます。
- 対面での接触を最小限に抑えられ、都合にあわせて予約ができ、待ち時間のない受診が可能に
- データの利活用と統合により、医療機関側は結果にもとづいた個別の予防プログラムやアドバイスを提供
- 医療現場の人手不足に貢献し、市民の効率的な診断を実現
自治体主催の健康診断は、住民の健康意識の向上や早期発見・治療の機会提供、健康格差の縮小などに貢献しています。自治体主催の健康診断と予約のオンライン化の取り組みは、住民の健康と福祉に貢献する重要な取り組みとして今後も注目されるでしょう。
健康診断に予約システムを導入している事例
1. 神奈川県大和市:中央林間病院 健診センター
神奈川県大和市の中央林間病院健診センターでは、大和市の特定健診を請け負っています。
市から届いた受診券を持っている市民が対象となり、協力医療機関で受診できるようになっています。当センターでは、特定健診専用の予約ページが用意され、予約者は個人健診、人間ドック、特定健診から選択できるようになっています。
参考:中央林間病院健診センター「オンライン健診予約」
参考:神奈川県大和市「年に一度、健康診断(特定健診・長寿健診等)を受けましょう!」
2. 東京都目黒区:厚生中央病院 健康管理センター
厚生中央病院の健康管理センターでは、人間ドックやがん検診の予約ができるだけでなく、女性医師と女性技師が対応するレディースがん検診、60歳以上限定のシニア健診のメニューも用意されています。加えて、全国土木建築国民健康保険組合加入者は海外勤務者健診を受けることもできます。
メニューが複数用意されている当センターですが、予約サイトはカレンダーから選択できるほか、希望するメニューに絞って検索することもでき、スムーズに予約を確定させることができます。
参考:厚生中央病院健康管理センター「各種健診コースのご案内」
3. 愛媛県松山市:エヒメ健診協会
愛媛県松山市にあるエヒメ健診協会は、健康診断と健康増進事業を柱に、市民の健康づくりをサポートする団体です。
一般的な健康診断のほか、健診車を走らせた巡回健診も実施しています。また、健康増進事業として体力年齢の判定、筋肉量測定、脳年齢測定等を実施し、ヘルスケアトレーナー、ヘルスケアリーダー、健康運動指導士等が個別・集団での指導を行います。さらに健康教室を開いて、生活に取り入れやすい効果的な運動や活動を提案したり、「健康動画」を作成したりといった、健康情報の発信にも積極的に取り組んでいます。
参考記事:エヒメ健診協会「事業内容」
4. 愛知県丹羽郡:さくら総合病院
さくら総合病院では、「健康チェック」として各種健康診断や人間ドックのメニューを提供しています。
健康チェックはAからFの6コースに分類され、希望に適した健診もしくは人間ドックを予約することができます。ホームページ、予約サイトともにそれぞれの所要時間と料金が記載され、特にホームページには各コースのポイントまで明記されているため、安心してオンライン予約をすることができます。
参考:さくら総合病院「健康チェック」
参考:愛知県丹羽郡大口町「特定健診・特定保健指導」
5. 群馬県高崎市:西岡医院
群馬県高崎市の西岡医院では市の特定健診を受けられます。高崎市では胸部レントゲンの個別検診が始まっており、これまでの検診車での集団検診に代わり医院で撮影することで、受診者へのサポートをより丁寧に行うことができます。
また、西岡医院の予約サイトでは初診の予約を受け付けており、利用者は来院前に希望の時間帯を選択して予約します。また、予約時に症状について記入する欄が設けられているため、医療機関側は適切な問診を行えるようになり、利用者は混雑を避けて健診や問診を受けられます。
参考:西岡医院「特定健診を受け付けております」
参考:群馬県高崎市「特定健診・特定保健指導・後期高齢者健診」
6. 東京都足立区:梅島ハートクリニック
梅島ハートクリニックでは、「足立区特定健診・後期高齢者健診」「2023年度がん検診」を請け負っています。加えて、肺がん健診、大腸がん健診、就職時健診、企業健診、在宅診療等も行っており、地域医療に貢献しています。
予約時には初診と再診とで予約画面が分かれます。連絡事項や来院目的を記入して予約すれば、事前に予約者の情報を収集できるため、信側・問診側双方にとって安心して健診を受けることができます。
参考:梅島ハートクリニック「健診・予防接種について」
参考:東京都足立区「特定健診・後期高齢者医療健診」
市民の健康管理、サポートにはRESERVA
健康診断予約のオンライン化は、対面での接触リスクの低減、利便性の向上、管理データの活用可能性などのメリットをもたらします。また、計測データを独自に蓄積することで、医療専門家が適切な診断やアドバイスを提供できるようになります。
その一方で、自治体が主催する健康診断は提携先の医療機関に健診予約を委託することが多く、市民にとってわかりやすい予約導線づくりが必要です。市民の健康を継続的かつ安定的にサポートするためには、誰でもアクセスできるユーザーフレンドリーな予約システムが有効といえるでしょう。
自治体、医療機関による健康診断の予約におすすめなのが、実際の現場でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。
健康診断の予約に最適なRESERVAの詳細は、こちらをご覧ください。
まとめ
自治体主催の健康診断は、住民の健康管理と予防医療を支援する重要な取り組みです。今回は、健康診断の予約をオンライン化している事例を6つ紹介しました。自治体や医療機関は、住民の利便性やアクセス性を向上させながら健康な地域社会の実現を目指していけるといえるでしょう。
予約DX研究所では、今後も自治体のDX化、官民連携に関する国内事例を取り上げていきます。