小・中学校の施設開放事業は、地域コミュニティへの貢献と教育資源の有効活用の面で重要な役割を果たしています。しかし、この事業の運営には多くの課題が伴い、特に資金不足や管理の煩雑さが問題となっています。そこで近年、注目されるのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した運営の効率化です。DXは、情報技術を駆使して業務プロセスを改善し、より良いサービスを提供するために必要な手段です。施設開放事業においては、スマートロックの活用と予約システムの導入が、DXの例として挙げられます。
本記事では、小・中学校の施設開放事業においてDXを取り入れ、運営を円滑にするための具体的な事例を紹介します。
小・中学校の施設開放事業の実態
まずは、小・中学校の施設開放事業の実態について解説します。
学校施設開放事業とは
文化庁は、『地域での文化活動を推進するための「学校施設開放の方針」について』において、学校施設開放事業を以下のように定義しています。
文化やスポーツに親しむことを目的に、地域で活動を行う団体に対して学校施設を開放することを、学校施設開放事業と定義する。
このように、学校施設を開放して文化活動やスポーツ活動の拠点として活用することは、地域の健康増進やコミュニティづくりの推進につながります。小・中学校で地域市民が利用できる施設は、運動場や体育館、教室、講堂などです。利用者は、スポーツ活動や文化活動、学習会など多様な用途で施設を使うことができます。
学校の体育施設の減少
近年、学校の体育施設は、減少の一途をたどっています。
文部科学省の「平成30年度体育・スポーツ施設現況調査結果の概要」によると、1996(平成8)年度から2018(平成30)年度までの22年間で、体育・スポーツ施設の数は5万8,105か所、つまり23.7%減少しました。調査種別ごとに見ると、その中でも主に「学校体育・スポーツ施設数」が低減していることが見て取れます。
しかし、日本におけるスポーツ施設数において、学校の体育施設が依然として大きな割合を占めています。そのため、これらの施設をいかに有効活用するかが、今後のスポーツ環境の活性化における重要なカギとなります。
廃校の再利用
学校施設の減少に伴い、現在注目されている取り組みが、廃校の再利用です。厚生労働省の「廃校の発生状況」によると、少子化の影響により、毎年平均470校の廃校が発生しています。その廃校施設のうち約75%は、体育施設や教育施設・文化施設、福祉施設などに活用されています。一方、約20%の廃校施設は、活用の用途が決まらず放置されており、その維持管理費などが、自治体にとっては負担となっているのが現状です。
小・中学校の施設開放事業の課題
小・中学校の施設開放事業は様々な課題を抱えています。
学校側の負担の大きさ
施設開放を小・中学校が主導して運営する場合、学校側の負担は大きくなります。利用スケジュールの調整や施設の維持管理、利用規則の策定など、施設開放事業の運営に必要な業務量は多いです。また、施設内で起きる事故や事件などの責任問題もあいまいであるため、学校側は事業の推進に消極的になってしまいます。
資金不足
施設開放は、日常的な維持管理費用、特に老朽化した設備の修繕や更新に、多大なコストがかかります。さらに、開放時間外のセキュリティの強化、スタッフの配置や研修に関わる人件費なども発生します。また、施設を利用する地域住民に対して高額な利用料を請求することは、教育機関としては難しいため、大きな収入は望めません。このように施設開放の運営に大きな費用を要する上に、収入も少ないため、施設開放事業により資金不足に陥る自治体は多いです。
手続きの煩雑さ
小・中学校の施設を利用するために、利用者は煩雑な手続きをしなければなりません。団体登や使用券の購入、学校への申請、鍵の貸し借りなど作業が多く、窓口へ実際に行かなければならない場合も少なくないです。また、学校側に求められる業務量も多いです。予約受付の管理や利用者情報の管理、スケジューリング、鍵の貸し出しなどは、学校側が担う業務であり、教員が担当する場合もあります。
DXによる効果的なアプローチ
施設開放事業の課題解決には、DXによるアプローチが効果的です。
スマートロックの活用
スマートロックを学校の施設に活用することで、入室管理を遠隔化できます。これにより、教員が鍵の貸し出しを行う必要がなくなるため、学校側の負担が軽減されます。その上、オートロック機能搭載タイプを設置した場合、扉が閉まると同時に自動で施錠されるため、鍵の閉め忘れを防止することも可能です。
また、スマートロックの活用は、セキュリティの強化にも効果的です。実物の鍵ではないため、紛失する心配はありません。そのため、鍵を複製されるリスクはなくなり、学校側は不法侵入等のトラブルも回避しやすくなります。
予約システムの導入
予約システムを導入することで、予約受付やスケジューリング、支払い対応まで自動で行なうことができます。オンラインで空き状況を可視化し、紙での対応を減らすことで、手続きが煩雑ではなくなり、管理者や教職員の負担軽減はもちろん、地域住民の利便性向上が実現します。また、予約システムに累積されたデータを基に、マーケティングを強化し、資金不足の解消につなげることも可能です。以下に予約システムを導入するメリットをまとめました。
業務効率化:予約システムは予約受付や利用者情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な施設開放事業の運営が実現します。
費用削減:予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や参加者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。
利用者の利便性向上:予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、利用者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、利用者は気軽に小・中学校の施設を利用できます。
マーケティングの強化:予約管理システムを通じて集められる利用者のデータを分析し、ターゲット市場の動向や地域住民の需要を把握することができます。このデータを基に、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。
また、予約システムの中にはスマートロックと連携できるものがあります。そういった予約システムを導入することで、さらに効率的に施設開放事業を運営できます。
小・中学校施設の予約システム導入事例
ここでは、小・中学校施設における予約システム導入事例を紹介します。
大松市|大村市小・中学校施設
参考:大村市 公式サイト
使用されている予約サイト:https://reserva.be/omurasigakkousisetu
大松市は、市内の小学校を15校、中学校を6校開放しています。開放に当たって、大村市教育委員会は、施設使用規則を公布しており、事故や事件などの責任の所在なども明らかにしています。全ての施設における使用料は無料ですが、それぞれ電気料金は自己負担です。
予約サイト上では、すべての学校の空き状況を画面に一括表示できます。学校ごとに予約の状況を確認する必要がないため、利用者は円滑に手続きを進められます。
横浜町|旧横浜町立南部小学校施設
参考:横浜町 公式サイト
使用されている予約サイト:https://reserva.be/nambuschooljwd/
1999年に廃校となった青森県横浜町の南部小学校は、現在、町民交流室として活用されています。地域コミュニティの活性化と地域住民のふれあいの場の提供を目的に開放されており、職員室や校長室、体育館など5つの施設を横浜町の住人のみが使用可能です。
Webでの予約では現在の日付の1週間後から利用可能日時を選択できます。また、電話による予約の場合は3日目までに連絡する必要があるため、注意が必要です。
小・中学校施設の予約はRESERVA
現在多数の予約システムがありますが、効率的に小・中学校の施設開放事業を運営するためには、実際に導入事例もあるRESERVAを推奨します。RESERVAは、30万社と500以上の政府機関・地方自治体も導入したという実績がある国内No.1の予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、施設開放事業をより効率的に行えます。特にスマートロック連携機能を搭載しているため、施設にスマートロックを導入する場合は、より効果的に機能します。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる小・中学校にもおすすめです。
まとめ
今回は、小・中学校の施設開放事業の課題を解決し、運営を円滑にするDX事例を紹介しました。施設開放事業に予約システムを導入することで、業務効率化や費用削減、利用者の利便性向上やマーケティングの強化が期待できます。また、国内No.1の予約システムであるRESERVAは、スマートロック機能を含めた100種類という機能の豊富さにも関わらず初期費用が0円なため、予約システムに慣れている人から不慣れな人までおすすめです。小・中学校の施設利用事業の課題に悩んでいる人は、ぜひ本記事を参考にしてください。RESERVA.lgでは、今後も自治体のDX化に関する国内事例を取り上げていきます。