和歌山県田辺市では年々人口が減少しており、そのスピードは全国平均よりも早く、今後10年間で総人口が8000人減少すると予測されています。事実、2022年8月時点での総人口は2015年(7万4770人)より4696人少ない7万74人となっています。
人口減少、新規就業者の伸び悩みを解決すべく、田辺市では熊野古道を活かした観光産業の回復、地域を守り育てていくビジネスリーダーの育成に力を入れています。
和歌山県田辺市の基本情報
人口 | 7万0074人(2022年8月時点) |
面積 | 1,026.91k㎡(2022年8月時点) |
公式サイト | 未来へつながる道 田辺市 |
観光サイト | わたしのたなべ 和歌山県田辺市田辺観光協会 |
市役所住所 | 和歌山県田辺市新屋敷町1番地 |
特産品・グルメ | 梅、みかん、イサギ、めはりずし、あがら丼 など |
観光名所 | 熊野古道、熊野本宮大社、天神崎、元嶋神社の海上鳥居 など |
田辺市は、和歌山県南部に位置しており、都市の90%近くを森林が大半を占めています。豊かな自然を活かした林業や農業が盛んですが、近年では自然が作り出した絶景を活かした観光業にも力を入れています。自然信仰を起源に神道・仏教・修験道の聖地として信仰を集めた、熊野三山への参拝道である熊野古道、熊野本宮大社は、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。
スマート農業
田辺市は、梅やみかんをはじめとする柑橘類の生産地として知られており、農業が盛んな地域ですが、少子高齢化や後継者不足による農業従事者の高齢化、耕作放棄地が問題となっています。そこで本市は、農業にロボット技術やICTを活用するスマート農業に取り組み、作業の効率化・負担軽減を目指しています。
スマート農業とは?
スマート農業とは、AIやロボット、IoTなど先端技術を活用した農業のことです。スマート農業は作業の効率化・自動化、データ分析による収穫量の上昇などを実現します。
スマート農業の中心となっているのは、地方との格差をなくすべく地域住民たち489人で設立された農業法人株式会社秋津野です。具体的な取り組みとしては、リモコンで操縦可能な草刈り機、気温や降水量・風速・土壌の温度・紫外線などを測定する観測装置の導入、クラウド型の農業日誌による情報共有などが行われています。今まで長年の勘が必要だった作業も、データに基づいて対応することが可能なため、作業効率アップと無駄の削減が実現しています。
参考記事:AGARA紀伊民報「最先端の技術を体験 田辺市でスマート農業講座」
参考記事:朝日新聞DIGITAL「スマート農業で地域の農業守る 田辺・上秋津」
参考記事:SoftBank「「熊野米」への挑戦。6次産業化した新しい米づくりを支えるデジタルシフト 和歌山県田辺市e-kakashi導入事例」
参考サイト:「和歌山果樹農業スマート実証コンソーシアム」
参考サイト:農研機構「スマート農業実証プロジェクト令和2年度スタート課題の概要 株式会社きてら(和歌山県田辺市)」
参考サイト:「秋津野ガルデン」
公式サイト:「農業法人株式会社秋津野ゆい」
秋津野カルデン
秋津野カルデンとは、地域住民たちの出資により設立された、都市と農村の交流を目指したグリーンツーリズム施設です。
廃校となった学校をリノベーションして生まれた本施設には、地元のお母さんたちが田辺市の新鮮な食材を活用した料理を提供するスローフードレストラン「みかん畑」や、秋津野でとれたみかんや柑橘類を活かしたお菓子作りが体験できる「バレンシア畑」、そして2019年に新設された65インチモニター・プロジェクター・ウェブカメラなどが完備されたワーキングスペース、都会の喧騒を忘れリラックスして仕事に向き合えるサテライトオフィス「秋津野グリーンオフィス」が設置されています。
参考サイト:「秋津野ガルデン」
参考サイト:「秋津野グリーンオフィス」
参考サイト:「和歌山でワーケーション」
参考サイト:「スイーツとお菓子体験工房 バレンシア畑」
ローカルイノベーター創生
田辺市では人口減少に歯止めをかけるため、地域課題をビジネスで解決するCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という考え方に注目しています。地域課題を解決しながら企業利益に結びつけ、地域と企業の両方が利益を手にする関係の構築に向けて、本業を活かせるビジネスモデルの創出、ビジネスリーダーの育成を目指すたなべ未来塾の設立をしました。
本塾では、30代を中心とした地域を担う異業種従事者が生徒となり、講義やディスカッション、演習により、ビジョン構築力・リーダーシップ・意志力・行動力の育成とプロジェクト創出による地域経済の活性化・課題解決に向けて活動しています。たなべ未来塾の修了生が発表したビジネスプランは約7割が実現しており、新しい価値の創出や環境保護、フードロスの削減、市外とのつながり作りに大きく貢献していることが確認できました。
参考記事:未来をつくるSDGsマガジン「「たなべ未来創造塾」から生まれる、もっとおいしい田辺。」
参考記事:未来をつくるSDGsマガジン「コラボ型ローカルイノベーターが続々と誕生する、和歌山県田辺市へ!」
参考サイト:「たなべ未来塾」
熊野REBORN PROJECT(リボーンプロジェクト)
世界遺産にも選ばれている熊野古道ですが、現在林業従事者の不足による山の荒廃、農業従事者の高齢化にともなう耕作放棄地の増加、新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド客の減少などの問題を抱えています。そこで田辺市では、登山情報アプリ「YAMAP」を中心に登山・アウトドアに関する事業を展開している株式会社ヤマップと連携し、都会に住む登山者と農業・林業・狩猟・観光に従事する地元の人々をつなぎ、新たな観光モデルを作る熊野REBORN PROJECTに取り組んでいます。
このプロジェクトでは、登山者の目線で熊野の自然と文化を楽しみ新たな魅力を見つけ、その魅力を多くの人に楽しんでもらえるようワークショップやフィールドワーク、アイディアの共有、プレゼンテーション等を実施しています。
参考記事:YAMAP MAGAZINE「登山者が熊野古道を救う! 「熊野REBORN PROJECT」 第1回イベントレポート」
参考記事:YAMAP MAGAZINE「熊野林業の新たな挑戦! 「熊野REBORN PROJECT」 第2回イベントレポート」
参考記事:YAMAP MAGAZINE「熊野に芽吹いた農業の新しいカタチとは? 「熊野REBORN PROJECT」 第3回イベントレポート」
参考記事:YAMAP MAGAZINE「熊野古道にYAMAPユーザーが新たな旅の魅力を創造! 「熊野REBORN PROJECT」アイデア発表会レポート」
参考サイト:「熊野REBORN PROJECT」
RESERVAで自治体DXを推進
和歌山県田辺市でも積極的に進められているDX化の第一歩としておすすめなのが予約システムの導入です。予約システムを導入すると、電話対応やExcelでの予約管理が解消され、業務の効率化と省人化が実現します。無料で利用可能なシステムもあり行政サービスに取り入れやすく市民も効果を感じやすいため、役場のデジタル化のファーストステップに最適です。
当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/)は、20万社以上の事業者や官公庁に導入されている国内最大級のSaaS型予約システムです。人口20万人を超える大規模な自治体から人口5万人以下の小規模な市町村での導入実績もあるため、自治体の規模を問わず、利用可能です。
【豊かな森林を生かした事業への導入事例】
・RESERVA活用事例|サウナンヤルケン【施設・キャンプ場】
・RESERVA活用事例|フォレストパークおいらの森【宿泊施設・キャンプ場】
【自治体で活用されている予約サイト紹介】
・ワーケーションの予約システム
・コワーキングスペースの予約システム
・宿泊施設の予約
・観光ガイド・ツアーの予約
・公共施設の予約システム
まとめ
今回は、地元住民たちが一丸となり、本市ならではの価値を創出している和歌山県田辺市の地方創生事例を紹介しました。田辺市の取り組みからは、行政に任せきりにならず、住民が地方創生の中心となり復興を目指す姿勢が確認できました。
各自治体ではDX化に向けた動きはさらに活発化し、さまざまな業務のデジタル化が検討されるでしょう。時間の有効活用・市民の利便性向上のために、予約システムの導入など分かりやすいところからDX化に着手するのがおすすめです。