日本における保育DXは、こども家庭庁が主体となって進めており、保育士の事務作業の削減や保育の質向上、保護者とのコミュニケーション強化など、さまざまなメリットをもたらすことが期待されています。その一方で、導入にあたっては初期投資やセキュリティ対策などの課題も存在します。
本記事では、保育園におけるDXについて、その概要やメリット、おすすめのシステムなどについて解説します。
DX化とは
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略であり、デジタル技術を活用して組織の運営やサービスを根本から変革する取り組みです。DXのプロセスでは、古い手法やシステムを見直し、最新のデジタル技術を活用して業務の効率化や利便性の向上を目指します。近年、DXはさまざまな業界で推進されており、保育園の運営にもその波は押し寄せています。
保育園にDX化が求められている理由
保育園においては、いまだに手書きやアナログの業務が多数存在し、保育士の業務全体を圧迫しています。そのため、本来の保育の仕事に集中できないのみならず、残業も多く発生するなどし、その過酷さから離職率も高い傾向にあります。
また、保育園に子供を預ける保護者の側も、保育入所申請において必要な情報収集や施設見学予約、窓口申請など事務負担が大きく、時間もかかることが長年の課題となっています。
保育園をDX化するメリット
保育士の業務効率化
保育園をDX化することによって、保育士の行うあらゆる業務を効率化することが可能です。例えば、子供たちの登降園記録や各保護者への連絡帳記入、おたよりの作成と配布などがオンライン上で完結できるようになり、保育士は煩雑な事務作業から解放されます。それにより、保育士は本来の保育の仕事に集中できるようになるため、モチベーションアップにつながるほか、保育の質の向上にも大きく寄与します。
保育士不足を解消
近年、働く女性が増え、保育園の利用ニーズが高まることにより、保育の担い手が足りない状況が続いています。加えて、給与が労働内容に見合わない低賃金であることなども、人材確保を困難にしている要因です。保育園のDX化は、あらゆる業務が効率的に行えるようになるため、こうした課題の解決に貢献し、保育士不足解消につながります。
保護者の負担軽減
保育園のDX化は、保護者にとっても大きなメリットがあります。オンライン上で気になる保育園の情報を収集できるほか、見学のアポイントメントや申し込みも一元的に行えるようになり、それらにかかっていた労力や時間を大幅に削減できます。それによって、育児により専念できたり、職場復帰への予定が立てやすくなったりと、心理的負担も減少します。
保育園をDX化する際の注意点
環境整備をする必要や導入コストがかかる
DX化にはあらゆるメリットがありますが、その導入はかんたんではありません。今までアナログだった環境をDX化に向けて整備するほか、導入にかかる費用も用意する必要があります。さらに導入後は、システムを利用し続けるためのランニングコストもかかってくるため、事前にどういった業務をDX化し、どの程度の予算までなら確保できるかなどを細かく決めておく必要があります。
保育士にITの知識やスキルが求められる
DX化によってデジタルデバイスやアプリなどを活用する際、ITの知識やスキルが求められる場合があります。特に初期設定やトラブルシューティングなど、通常の運用と異なる場合の知識や対処法については保育士が学ぶ時間を確保する必要があり、通常の業務を圧迫する可能性があります。
サイバー攻撃や情報漏洩の可能性がある
DX化によって、園児やその保護者の個人情報をデジタルデータとして扱うようになると、外部からのサイバー攻撃や情報漏洩を防ぐ取り組みが必要になります。そのため、園内での個人情報の取り扱いについてガイドラインを設定する、セキュリティ機能の高いITツールを利用するといったことが大切です。
実際の保育園のDX化事例
アプリで出欠管理できる「スマート保育」（広島県福山市）
福山市では、「スマート保育」というアプリが導入されています。このアプリを使うことで、これまで手書きの連絡帳で共有していた家庭での子どもの様子などのアナログ情報がオンラインで確認できるようになりました。
ほかにも、保護者がアプリから子どもの欠席や遅刻を申請したり、送り迎えのときに園内にあるQRコードを用いて登園・降園の打刻をしたりすると、情報が即座にクラウド上に反映されるようになり、保護者と保育園の連絡が効率化しています。
参考サイト：デジタル庁「自治体DXニュース：Vol.7（2025年1月）」
DX化によって現場がデジタル化へ意識改革（岩手県北上市）
北上市では、公立保育園への登降園、連絡帳、おたより等のシステム導入によって、非接触での登降園や保護者と園のやり取りが実現しています。それにより、保護者と保育園の双方で時間的、心理的な負担が大幅に削減されており、現在では重要な連絡基盤となっています。
加えて、導入後には保育士の意識改革が起こり、紙で行っていた既存業務をデジタルへ移行するよう現場とDX推進部が取り組むようになったという報告もあります。
参考サイト：北上市公式ホームページ「北上市 保育園DXの取組み」
保育園のDX化の第一歩に予約システムRESERVA
ここまで保育園のDX化について解説してきましたが、急なシステムの導入や環境整備は現場に負担がかかります。そこでおすすめしたいのが、予約システムRESERVAの導入による段階的なDX化です。
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まとめ
本記事では、保育園のDX化について、その概要やメリット、注意点などについて解説しました。
保育園をDX化することで、保育士の業務効率化を図れるのみならず、保育の質向上が可能です。加えて、生まれた時間で本質的な保育の仕事ができるようになり、モチベーションアップにもつながるなど、多くのメリットが存在します。保護者も保育園とのやり取りが簡潔化し、満足度が向上します。
本記事が、保育園のDX化について悩んでいる職員の方の参考になれば幸いです。
