以前より日本では、地方住民の高齢化や東京の一極集中が問題視されており、これまでに地方自治体ではさまざまな取り組みがなされてきました。特に最近では、新型コロナウイルスの感染拡大や、政府が掲げる働き方改革などにより地方移住への動きが活発化してきています。多くの自治体では現在の社会動向を契機に、ワーケーションやテレワーク環境の整備などに力を入れ、地域創生を目指しています。
今回は、地域の活性化を目指すべく、新たな地域共創型のワーケーションプランを打ち出している愛媛県今治市の事例を紹介していきます。
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人口 | 155,422人 |
面積 | 419.14㎢ |
公式ホームページ | https://www.city.imabari.ehime.jp// |
市役所住所 | 〒794-8511 愛媛県今治市別宮町1-4-1 |
主な観光地 | 今治城、 大山祇神社、 よしうみバラ公園の花だよりなど |
本社を置く企業 | ありがとうサービス、サンケイ設計株式会社 など |
大正9年に、日吉村と合併して現在の今治市が生まれ、タオル、縫製、造船などの地場産業として発展を遂げてきました。今治城や大山祇神社などの歴史遺産があり観光都市としてにぎわっている一方、建造集積数が国内の2割を占めている、また、日本の海運企業の外航船の4割が今治の船主であるなど、造船、海運都市としても栄えています。
最近では、2012年ゆるキャラグランプリ1位のパリィさんやご当地グルメである今治焼き豚玉子飯、今治やきとり、世界的な建築家でもある伊東豊雄氏が作った伊東豊雄建築ミュージアムなどがあり、全国での知名度が上昇しています。
今治市では、デジタル戦略室未来づくり課が設置されています。市民へのアンケート機能を使用し、デジタル化による地域課題の解決や新たな価値の創造を目指しています。
今治市の取り組み
ただのワーケーションではない「出会いを重要視した」地域共創型プラン
今治市では、株式会社エイチ・アイ・エスと提携して今の仕事×今治の仕事をテーマにワーケションプランを提供しています。「ニーズにあわせて、つながりをコーディネート」をコンセプトにコーディーネーターがそれぞれに合わせたプランを設計してくれます。地元企業とのつながりを重視したプランとなるため、参加者の興味のある企業や現在働いている企業との関連性を考慮に入れ、地元企業とのコミュニケーションの場が提供されます。地元企業との関わりや、仕事の合間の地域観光によって、新しい学びや今治市の魅力を感じ、ワーケーション後も地域に関わっていきたいと思う人が多くいます。
コーディーネーターによって作成された6泊7日プラン例
えひめオンライン移住フェアへの出展
今治市は、定期的に開催されるえひめオンライン移住フェアへの出展を行なっています。前回は、2021年11月6日(土)、11月13日(土)、11月14日(日)に開催されました。移住フェアでは、愛媛県内の移住受け入れを行なっている団体が集まっており、今治市の移住に興味のある人が多く参加しています。
愛媛県は2018年に女性のストレスオフランキングで1位になっているほど、子育て制度などに定評があるので、移住先として人気が高まっています。
*ストレスオフランキングとは:化粧品販売の株式会社メディプラスと株式会社メディプラス研究所が、全国の20~69歳の男女各7万人を対象に「ココロの体力測定」(ストレス指数チェック)を実施し、都道府県ごとに付けたランキングです。
愛媛県で初めて脱ハンコに向けた実証実験を開始
今治市とGMOグローバルサインホールディングス株式会社は、自治体業務の効率化に向けて「電子印鑑GMOサイン」を活用した実証実験を2021年6月に開始しています。これにより、税金や郵送費の削減、自治体業務量の軽減などを可能とします。自治体のDX化への取り組みは、役所業務の省人化へとつながり、職員の業務負担の軽減が達成されていきます。
地域未来チャレンジ塾が開校
今治市の高校では、「地域未来チャレンジ塾」が開校されました。地域未来チャレンジ塾は、今治市や地元の人たちが生徒たちの大学受験を支援するために作られています。生徒達は、放課後などにオンラインでリクルート株式会社が運営する「スタディサプリ」を利用して大学受験に向けて学習していきます。また、月に1回、芸能人やアーティストが特別を講義のために地域チャレンジ塾を訪れる予定で、特別講義を通して生徒たちは社会で生きていくための力を身に着けていきます。
下記サイトには、今治市の高校の取り組みについて詳細が記載されています。
市内観光地への交通アクセスの利便性向上に向けた実証実験
今治市では2022年2月中旬までの期間、市内の観光地を訪れる手段である交通アクセスに関する実証実験を行なっています。市内の事業者と連携しているので、船舶、周遊バス、タクシー、旅行会社が提供するツアーの料金が値引きされています。周遊バスでは、今治駅を出発して1日かけて市内の観光地を回ってくれるので、余すところなく今治市の自然や文化遺産を楽しむことができるでしょう。
サイクリングの聖地しまなみ海道にあるゲストハウス
今治市には、サイクリング好きな観光客が泊まるゲストハウス「シクロの家」があります。シクロの家のコンセプトは、しまなみ海道×自転車旅であり世界中からサイクリングを楽しむ人々が訪れています。ゲストハウスでは、個室、ドミトリーなど安価で泊まれる宿が提供されており、地域の人と自転車に関する話などを交えられるステキな空間です。
以下のページは、博報堂WEBマガジンで掲載されているシクロの家へのインタビュー記事です。
参照ページ:ブランドたまご 第23回 / まち全体がブランド!「素通りされるまち」が生まれ変わった。しまなみゲストハウス「シクロの家」
今治市における補助金制度
移住促進事業費補助金
今治市では、条件を満たす対象者が、新築・中古物件に問わず一戸建て住宅かマンションを購入する際に費用の一部を補助しています。加えて、中学生以下の子どもと同居する場合には、さらに子育て奨励金が支給されるなど家族での移住者を増加させる目的もあります。
対象者 | 対象住宅 | 補助金額 |
・市外から転入予定、または認定申請をする前1年間に転入した人 ・同居する家族の少なくとも1人以上が50歳未満 ・住宅を購入し、5年以上定住する人 ・転入以前5年間、今治市に住民登録していない人 | 一戸建て・マンション | ・上限額 50万(住宅所得費を超えない範囲) ・基礎額 住宅所得費の10%(上限30万円) ・加算額 同居する中学生以下の子ども1人につき10万円 |
参考ページ:移住者促進事業費補助金について
移住者住宅改修支援事業費補助金
平成28年4月1日以降に愛媛県外から今治市へと移住している人が、市内の空き家バンクに掲載されている住宅を購入・賃貸して改修する際に費用の一部が補助される制度です。この制度では、条件に年齢を入れることで、働き手世帯や子育て世帯の人を増やす目的があります。
対象者 | 対象住宅 | 補助金額 |
・県外から平成28年4月1日以降に移住、移住予定の人 ・働き手世帯(60歳未満が1人以上)、または子育て世帯(中学生以下の子どもがいる) ・取得または賃貸した空き家住宅を改修して5年以上定住する人 | 県・市空き家情報バンクなどを通して購入・賃貸した一戸建て住宅 | ・住宅改修・家財道具搬出費用の3分の2 ・上限額 住宅改修200万円(子育て世帯400万円) ・家財道具搬出20万円 |
参考ページ:移住者住宅改修支援事業費補助金について
今治市シェアオフィス等整備事業費補助金
ウィズコロナ、アフターコロナに対応するため、市内でシェアオフィス及び職住一体型シェアオフィスを新たに展開する事業者への補助制度です。現在は、受付が終了していますが今治市では、テレワーク環境の整備によってワーケーション、サテライトオフィスを促進につながっています。
補助内容 | 補助金上限 | 補助率等 |
シェアオフィス | 500万円 | 2分の1(遊休公共施設を活用する場合は6分の1を加算) |
職住一体化シェアオフィス | 1000万円 | 2分の1(遊休公共施設を活用する場合は6分の1を加算) |
参考ページ:今治市シェアオフィス等整備事業費補助金について
今治市サテライトオフィス等整備事業費補助金について
RESERVAでワーケーション・DXを推進
愛媛県今治市で行われている地域共創型ワーケーションが取り入れられていますが、これらの取り組みに必要不可欠なシステムが「予約システム」です。予約システムを導入することにより予約受付業務や会計業務を省人化、デジタル化できます。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/)は、20万を超える事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、最も選ばれている予約システムです。さらに、Zoomとの連携機能を搭載するなど、業務のデジタルトランスフォーメーションを図れるため、 スマートシティ化をさらに推進することができます。
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自治体で活用されている予約サイト紹介
まとめ
愛媛県今治市では、市内への訪問者増加だけを目的とするのではなく、地元の人との関わりや意見交換を重要視した地域共創型のワーケーションに取り組んでいます。ワーケーションを通じて、地域の魅力や地域の問題点を地元企業と共有して長く付き合っていける関係性を作っています。新しいコンセプトのワーケーションプランは、今後どのような結果が生まれてくるのか期待されています。また、今回紹介した今治市でもデジタル戦略室未来づくり課が設置されるなど、地方自治体のDX化への取り組みが重要になってきています。その中でテレワーク環境の整備や地域活性化イベントを催す際に使用されるシステムとして「予約システム」があります。システムの自動化や省人化を達成するためにも、予約システム導入を考えてみてください。