北海道上士幌町は、2014年に「消滅可能性都市」として挙げられ、2040年までに20~39歳の女性の人数が2010年の5割以下になると予想されていました。しかし、「ふるさと納税」を財源に、保育園無料化やサテライトオフィスの開設などの政策を次々と実行し、2016年を境に人口を増加させることに成功しました。また、地方創生を住民に意識させるセミナーを開くなど、町全体で地方創生に取り組もうとしています。
本記事では、人口のV字回復に成功した北海道上士幌町の地方創生や移住に関する取り組みについて紹介します。
北海道上士幌町の基本情報
人口 | 4978人 |
面積 | 696km² |
公式ホームページ | https://www.kamishihoro.jp/ |
町役場住所 | 〒080-1492 北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線238 |
主な観光地 | ぬかびら源泉郷、 タウシュベツ川橋梁 、 ナイタイ高原牧場など |
本社を置く企業 | 株式会社ノベルズ |
上士幌町は、北海道十勝地方の北部、日本一広い国立公園である大雪山国立公園の東山麓に位置しており、町内の約76%が森林地帯と自然豊かな町です。大自然の恩恵を受けた畑作、酪農などの農業や林業などの第一次産業と源泉かけ流し温泉であるぬかびら源泉郷や四季によって違った姿を見せるタウシュベツ川橋梁、日本一広い公共育成牧場のナイタイ高原牧場などの観光業が盛んです。
上士幌町は、物質的な豊かさだけでなく心の豊かさを目指す、スロータウンの理念のもと、地域資源を活用しながら、健康・環境・観光と子育て・教育をコンセプトにしたまちづくりを進めています。
2021年12月16日~25日には、上士幌町で国内最大規模300機のドローンクリスマスショーが開催されます。屋内の特別観覧席なども用意されており、多くの人が楽しめるイベントとなっています。
【参考ページ】
国内最大規模300機のクリスマスドローンショーが北海道上士幌にて12月16日~25日開催 地元の演奏家による生演奏も披露
ふるさと納税による財源確保
上士幌町はふるさと納税の特設サイトを設置し、寄付金の使い道や上士幌町についての説明など、安心して寄付ができるような工夫がなされています。上士幌町では、豊かな自然を生かした食肉や乳製品のほか、はちみつやアスパラガスなども返礼品となっています。
上士幌町は2016年にふるさと納税で約20億円の寄付を集め、その後も毎年10億円以上の寄付を集めています。この寄付金を基に、上士幌町は以下に示すような様々な政策に取り組んでいます。
生涯活躍 かみしほろ塾
「生涯活躍 かみしほろ塾」は2018年より年に3回、町民が生涯活躍していくための意識向上と、それによって町全体を元気にすることを目的として開講しました。企業の社長や内閣の地方創生総括官などを講演に迎え、地方創生に向けた現状を分析し、これからの基本的な考え方や方針を町民に伝えています。町民に直に語りかけることで、地方創生は町民自身の課題であり、町民の活躍が上士幌町の地方創生につながる、という意識を生んでいます。
かみしほろシェアOFFICE
上士幌町は新しく「かみしほろシェアOFFICE」を開設しました。シェアオフィスとしてだけでなく、テレワークのサテライトオフィスとしても利用できるようにオンラインミーティングルームも設置しています。
サテライトオフィスとは・・・
企業や団体の本社・本拠から離れた場所に設置されたオフィスのことをいいます。サテライトオフィスを設置する場所によって、都市型・郊外型・地方型の3つの種類に分けられます。
キッチンが完備されていたり、電動自転車・電動キックボードが貸し出されたりしているなど、仕事をしながら地方で休暇がとれる「ワーケーション」としての利用も可能となっています。
移住に関する取り組み
1.子育て支援
上士幌町は日本で初めて保育園の無料化を実施したことで有名でもあります。現在、上士幌町では政府に認められた「認定こども園」の幼稚園料・保育園料が無料です。さらに、高校卒業までの医療費全額負担や中学生以下の子ども1人あたり住宅の新築補助金を100万円支給するなど、子育て世代を支援する様々な取り組みを行っています。
2.職業紹介支援
上士幌町では「町に移住したい」という人向けに、町と企業が協力して、無料の職業紹介を行っています。職業を紹介するだけのサイトとは違い、募集している企業の詳細や社員の声を紹介し、より具体的に仕事を探せます。移住する前にあらかじめ仕事を探しておくことで、安心して移住ができます。
3.移住体験モニター
上士幌町では1週間~1ヶ月程度の短期と1ヶ月~1年程度の中期の2種類で上士幌町への移住を希望する人を対象に移住体験モニターを実施しており、実際に上士幌町である程度生活を体験してから移住するかどうか決断できます。
また、上士幌町では上記以外にも様々な支援・補助金制度を行っています。詳しくは上士幌町公式ホームページをご覧ください。
地方創生における予約システムの活用
今回紹介した、上士幌町のワーケーション施設・サテライトオフィスのような地方創生事業においても予約システムが利用されています。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/)は、26万の事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があります。
地方創生事業への導入事例(各項目概要ページにアクセスできます)
自治体で活用されている予約サイト紹介
まとめ
今回は、北海道上士幌町の地方創生の取り組みについて紹介しました。地方自治体が主体となって施設を開設したり、住民に地方創生の重要性を訴えたりすることが、地域全体の意識向上につながり、地方創生へとつながっていきます。人口をV字回復させた上士幌町を参考に、新たな施設や働き方を推進してみてはいかがでしょうか。