新型コロナウィルスの影響で広がりを見せているニューノーマルな生活様式や、政府による働き方改革が、私たちの生活に多大な変化をもたらしています。そして、多くの自治体がアフターコロナの新常態を見据え、移住者の獲得や市民サービス向上のためにDX化やワーケーションの推進に取り組んでいます。この動きは、元よりテレワークの導入やワーケーションに注目していた企業にとって、新たなワーキングスタイルを取り入れる良いきっかけとなるのではないでしょうか。
本記事では、企業と提携した市全体のDX化やワーケーション施設の活用を推進し、市民の過ごしやすい環境づくりにも努める福岡県田川市を紹介します。
福岡県田川市の基本情報
人口 | 45,794人 |
面積 | 54,55km² |
公式ホームページ | https://www.city.myoko.niigata.jp/home.html |
市役所住所 | 〒825-8501 福岡県田川市中央町1-1 |
主な観光地 | 石炭記念公園、 田川市石炭・歴史博物館、 中村美術館、岩屋鍾乳洞 |
本社を置く企業 | 松尾製菓株式会社、株式会社ティー・エル・エス |
高等教育機関 | 福岡県立大学 |
田川市は福岡市から車で70分、北九州市からは車で60分の福岡県中央に位置する地域です。昔から交通の要所として栄えており、産業革命の時代には石炭産業が盛んとなったことで全国から移住者が訪れ、地域の発展に貢献してきました。
同市は五大まつりの一つで福岡県の無形民俗文化財である「川渡り神幸祭」が催される観光地としても有名な地域です。また、国内初「世界記録遺産」に登録された「山本作兵衛コレクション」が、田川市の石炭・歴史博物館に展示されています。
田川市内のDX化を推進
田川市は2021年度から「第6次田川市総合計画」に基づいて「やっぱり田川で暮らしたい」という基本理念を実現、多様化する市民の人々のニーズに対応するために、市の施策にてICT(情報通信技術)の利用を推進しています。
2021年3月には、ソフトバンク株式会社と「庁内外のDXおよびICTの利活用に関する連携協定」を締結しました。田川市全体を対象として、5G・IoT・AIなどのソフトバンクが持つICTを活用することで業務効率化や地域課題を解決、市民サービス向上を通して、田川市の地域活性化に取り組んでいます。
(参考:田川市とソフトバンクが「庁内外のDXおよびICTの利活用に関する連携協定」を締結)
また、「たがわ情報センター」を中心に、田川市郡の企業・大学・各種教育機関・商業施設等におけるDX化を推進する取り組みも行われています。たがわ情報センターでは、パソコン講座の受講や無料でインターネットサービスを利用することが可能です。
田川市が地域体験&ワーケーションツアーを企画
田川市は場所に縛られないライフスタイルの実現を目的としたコミュニティ「LivingAnywhere Commons(リビングエニーウェアーコモンズ)」を運営する株式会社LIFULLと、同市の地域経済活性化を目的に、空き家等の利活用などを通じた地域活性化連携協定を結んでいます。
同市はその一環として、市が主催となりLIFULLが運営する2泊3日でのお試しテレワークツアーを開催しています。ツアーで経験できることは「廃校となった小学校を利用して作られたコワーキング・宿泊施設のいいかねPaletteでテレワーク体験」「商店街散策を通じての田川暮らし体験」「地域イベントや懇親会を通じての地域交流」など、多岐にわたります。参加費は無料で、開催場所までの往復交通費を補助してもえる点も魅力的です。
コワーキングスペース&宿泊施設「いいかねPalette」
田川市には、「いいかねPallet」という廃校となった小学校をリノベーションした施設があります。福岡市の天神から、約1時間の場所に位置しています。いいかねPalletは、上記でも登場した「月2.5万円の多拠点住み放題サービス」である「LivingAnywhere Commons」の拠点の1つでもあります。
この施設は「なんでもできる世界を作る」をコンセプトとして作られました。このコンセプト通り、宿泊・映画鑑賞・卓球・バーベキュー・レコーディングなど、多くのことにチャレンジできます。そして、テレワークやワーケーションの利用にも最適な施設です。コワーキングスペースは予約しなくとも無料で使用可能、高速なWi-Fi環境も整っています。館内どこでもWi-Fiの使用が可能なため、好きな場所で、どこでも仕事ができます。また、シェアライブラリーでは多くの本が並んでおり、本が読み放題。本好きの方にもピッタリな場所です。
みなさんもぜひ田川市の自然を感じながら、小学校の色を残した非日常空間であるいいかねPalletで、快適なテレワークやワーケーションの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
お仕事テラス「kaktete(カテテ)」
田川市では2017年1月に、ふるさとテレワーク&コワーキングスペースである「katete」がオープンしました。kateteではテレワークやコワーキングスペースの貸し出し、そして地域の雇用促進や起業家創出のための支援を行っており、地域活性化に寄与しています。「女性や若者が輝き働く、明るい街『たがわ』創生プロジェクト」を事業コンセプトとしており、このコンセプトは2016年に総務省の「ふるさとテレワーク推進事業」に採択されました。
(参考:総務省平成28年度予算「ふるさとテレワーク推進事業」に係る採択候補先の決定)
kateteとは、筑豊の方言で「仲間に入れて」という意味があるそうです。そんな心温まる名前の付いた施設で、kateteの行動指針でもある「テレワークを活用し、働くことをもっと楽しく」してみませんか。
田川市における助成金・補助金・支援金制度
移住者に関する支援金
田川市では市内における移住・定住の促進や中小企業等における人手不足解消のため、移住者に対しての助成金や支援制度が用意されています。
1. 田川市移住支援金
田川市では、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・愛知県・岐阜県・三重県から市内に移住、田川市移住支援金の支給要件を満たす方に支給する「移住支援金」があります。 支給額は表のとおりです。
単身世帯 | 60万円 |
2人以上の世帯 | 100万円 |
支給要件など、詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
田川市移住支援金について-田川市
2. 田川市移住・定住住まい助成金事業
田川市では、市内への定住を目的として市有地または民間事業者が販売する宅地購入、住宅を新築した方に土地取得金額の10%に相当する額を支給する「市有地等購入奨励金」と、市内業者を利用して住宅を建設した方または市内業者が建設した住宅を購入した方を対象に最大50万円を支給する「市内業者利用奨励金」を用意しています。詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
移住・定住世帯への奨励金制度について-田川市
3. ふるさと就職奨励金
田川市では、U・Iターン者の定住のために、同市内に定住かつ田川市内事業所に正規雇用される等の要件を満たす方に対して最大36万円の奨励金を用意しています。対象者など、詳しい情報は以下のサイトをご覧ください。
ふるさと就職奨励金-田川市
子育てに関する支援
1. 育児教育・保育の完全無償化
田川市では、令和元年10月から国の制度によって3歳以上児(3歳クラス以上に所属する児童)及び0~2歳の非課税世帯の保育料が無償化されたことに加え、独自に平成31年4月から児童の年齢、収入かかわらず保育料を完全に無償化しています。その他副食費の無償化や延長保育についての情報もありますので、下記田川市公式サイトもご覧ください。
育児教育・保育の完全無償化について-田川市
2. 田川市子育クーポン券
田川市では、おむつ関連用品や授乳関連用品に利用できる田川市子育てクーポン券を支給しています。支給額は表の通りです。
子どもの年齢 | 支給額 |
0歳 | 48,000円/年 |
1歳 | 36,000円/年 |
2歳 | 24,000円/年 |
支給要件やクーポン対象商品の情報は、下記のサイトをご覧ください。
田川市子育てクーポン券-田川市
3. 田川市子ども居場所づくり事業費補助金
田川市では、家や学校のほかに、子どもたちが自分の居場所と思えるような場所を提供する「子どもの居場所づくり」に取り組む団体に補助金を交付します。詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
「田川市子ども居場所づくり事業費補助金」を実施しています-田川市
4. 子ども医療制度
田川市では、福岡県田川市子ども医療証を持つ子どもに対し、通常小学生までのところ、中学生まで医療費の自己負担がなくなる制度を設けています。詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
子ども医療制度-田川市
企業に関する支援
田川市では同市内の企業や進出企業を対象として、多方面で助成金や支援制度が用意されています。
1. 特定創業支援事業
田川市は平成27年5月に、産業競争力強化法に基づいた「創業支援事業計画」の認定を国から受けています。創業を希望する人が、創業支援事業計画に定められた「特定創業支援事業」を受け同市が証明書を発行した場合、登録免許税の減免や信用保証枠の拡大などの支援を受けることが可能です。優遇措置の詳しい情報は、下記のサイトをご覧ください。
【特定創業支援事業】市内で創業する人を応援します(登録免許税の減免・信用保証枠の拡大等)-田川市
2. 田川市中小企業融資制度
市内で事業を営んでいる中小企業者及び組合に対し、事業資金と小口零細企業資金2つの区分から2,000万円を上限に融資を行っています。融資期間や利率などの情報は、下記サイトをご覧ください。
田川市中初期企業融資制度-田川市
3. 企業立地における助成制度
田川市では進出企業を対象として、人材採用やオフィスの賃料・改修、通信や開所までの旅費交通費への助成金が用意されています。補助金額などの詳しい情報は、下記のサイトをご覧ください。
補助制度とサポート体制-福岡県田川市
RESERVAでDX化・ワーケーションを推進
田川市でも推進されている、地方創生ためのワーケーションやコワーキングスペースで必要な予約受付業務や会計業務を、「予約システム」を導入することで省人化やデジタル化を実現することが可能です。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/)は、20万を超える事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村での導入実績があり、現在最も選ばれ注目されている予約システムです。さらに、Zoomとの連携機能を搭載するなど、業務のデジタルトランスフォーメーションを図れるため、ニューノーマルな地方創生を行えます。
地方創生事業への導入事例(各項目概要ページにアクセスできます)
自治体で活用されている予約サイト紹介
まとめ
今回は、福岡県田川市の地方創生への取り組みを紹介しました。地方自治体の主導でワーケーション施設やコワーキングスペースを作ることや、DX化を推進すること、そしてその情報を発信することで移住希望者や企業へ地域の魅力や暮らしやすさを伝えることが大切です。また、自治体における予約や会議などにおいてデジタル化を推進することで、先進的な取り組みを行うことができ、地域課題の解決が実現されます。新型コロナウィルスの感染拡大によってニューノーマルな生活様式が求められ、地方移住への関心が高まっている今、新たな働き方やそのための施設、システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。