自治体における観光DX事例集|新時代の観光モデルを紹介

自治体における観光DX事例集|新時代の観光モデルを紹介

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デジタル技術の進展は、自治体のあらゆる事業に変革をもたらしています。その中でも、観光事業は特に大きな変化を経験しており、新しい技術の導入により、観光体験がこれまでにない方法で豊かになっています。この記事では、デジタルトランスフォーメーション(以下、DXとする)が観光事業にもたらす影響と、それを活用して成功を収めている自治体の事例を取り上げます。これらの事例からは、デジタル技術がどのようにして旅行者の体験を向上させ、同時に地域経済の活性化に貢献しているのかが明らかになります。

観光DXとは

観光DXとは、観光産業にデジタル技術を導入し、業務の効率化と新しいビジネスモデルの創造を目指す取り組みです。これは、収集されるデータの分析によって、事業戦略を再検討することに重点を置いています。特に、1人の従業員によって生み出される付加価値が低い観光産業において、このようなデジタル変革を行うことは、観光地の課題解決において重要な役割を担っています。

観光DXを積極的に推進している観光庁は、Society5.0の時代に適応する新しい観光モデルを模索しています。このプロセスにおいて、5G高速通信、生体認証、GPSによる位置情報の取得などの技術が活用され、より豊かな観光体験が提供されることが期待されています。

Society5.0とは

Society5.0は、サイバー空間とフィジカル空間を統合することにより、経済成長と社会的な問題解決を同時に達成しようとする新しい社会の概念です。これは、人間中心の社会を目指しており、過去の社会の進化を続く次の段階です。これまでの社会の進化過程は、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society4.0)とされており、Society5.0はこれらに続く新しい時代を象徴しています。日本政府は、第5期科学技術基本計画において、このSociety5.0を目指す未来社会のビジョンとして掲げています。

参考サイト:内閣府「Society5.0

観光庁のサポート

自治体が観光DXを推進するうえで、観光庁が重要な役割を担っています。観光庁は、観光事業を行う自治体や企業への支援を積極的に行っており、その一環として、「観光DX推進プロジェクト」を通じて、観光事業を行う団体に対する実証事業を実施しています。

2023年度には、7つのDX事業が採択されました。これらの事業は全国各地の自治体を中心に組織された団体によって運営されており、観光庁の支援の下、地域ごとの観光DXを推進しています。

このプロジェクトの目的は、デジタル技術の導入を通じて、旅行者の利便性を向上させると同時に、観光産業の生産性を高め、観光地経営の高度化を図ることにあります。

観光DXのメリット

新しいビジネスモデルの構築が可能に

自治体は、観光DXによって市場のニーズや傾向を正確に把握することができ、データ駆動型の意思決定が可能になります。例えば、収集したビッグデータを分析し、ターゲット顧客の行動パターンを理解した上で、それに基づいてサービスや製品を改良できます。

また、オンライン予約システムやモバイルアプリの導入により、サービスの予約方法や提供方法もDX化されます。これにより、観光客はかんたんに観光地を訪れることが可能になり、自治体側も観光客とのコミュニケーションの機会を増やすことができます。

観光客のニーズに寄り添ったおもてなしが実現

観光DXは、観光客へのサービスを根本から変えました。自治体はデジタル技術を駆使して、観光客の個別の好みやニーズに合わせた体験を提供することが可能です。例えば、仮想現実を活用したオンラインツアーを通じて、利用者は遠隔地からでも様々な観光地を探訪し、新しい発見を楽しむことができます。このようなデジタル技術の導入は、人々が言語や地理的な制約を越えて観光地を楽しむ手助けとなっています。

さらに、デジタル化による業務効率化は、観光地のスタッフにとっても大きなメリットをもたらしています。業務の自動化や効率化により、スタッフは日々の雑務から解放され、観光客1人ひとりに対してよりパーソナライズされた対応や心温まるおもてなしに集中できるようになります。このような変化は、訪れる人々の満足度を高め、観光体験全体の質を向上させる重要な要素となっています。

ミスの予防が実現

観光DXにより、人為的なエラーやミスのリスクが減少し、より効率的かつ確実なサービス提供が可能になります。例えば、オンライン予約システムやデジタルチケットなどの技術を使用することで、手書きの記入ミスやダブルブッキングなどの問題が発生しなくなります。

また、デジタルコミュニケーションツールの利用により、情報の伝達過程での誤解や伝達ミスを防ぐことが可能になります。チャットボットや自動応答システムを使用することで、観光客からの問い合わせに対して迅速かつ正確に対応できるようになり、コミュニケーションに関連するミスが大幅に減少します。

全国の自治体が行った観光DXの成功事例

鹿児島県 屋久島・奄美大島オンラインツアー

画像引用元:あうたび「屋久島・奄美大島オンラインツアー

鹿児島県は、あうたび合同会社と協働して、2022年にオンラインツアーを開催しました。このツアーは、Zoom上で世界自然遺産である屋久島と奄美大島の魅力を紹介するツアーであり、参加者は2つの島の文化や伝統を深く体験できました。

ツアーは、「食文化」「焼酎」「伝統工芸」「街歩き」という四つの異なるテーマに分けられており、各テーマごとに屋久島と奄美大島の特色が解説されます。参加者には、それぞれのテーマに合った特産品が事前に自宅に届けられるため、オンラインでの体験をよりリアルに感じることが可能でした。例えば、食文化編では屋久島のたんかんや奄美大島のパパイヤ漬けなどの特産品が、焼酎編ではそれぞれの島の代表的な焼酎が提供されました。

石川県金沢市 金沢市観光デジタルマップ

画像引用元: 金沢旅物語(金沢市観光公式サイト)「スマホで使える!「金沢市観光デジタルマップ」

参考:金沢市観光デジタルマップ
参考:金沢旅物語(金沢市観光公式サイト)「スマホで使える!「金沢市観光デジタルマップ」

金沢市が提供する観光デジタルマップは、現代の技術を駆使した観光案内の新しい形です。利用者はスマートフォンを活用するだけで、金沢市内の観光名所や飲食店、イベント情報をかんたんに手に入れられます。このデジタルマップは、追加のアプリダウンロード無しで利用可能なため、観光客にとって大変便利です。

このデジタルマップでは、情報を「観光・体験」「グルメ・お土産」「寺社・史跡」「イベント」などのカテゴリーで整理しています。伝統的な紙の地図に存在した情報の読みにくさはなく、利用者が欲しい情報を迅速かつかんたんに検索できるのが利点の1つです。また、ワード検索機能やハッシュタグ検索機能も実装されているため、利用者が特定の興味に合わせて情報を絞り込めます。

さらに、マップ上の各スポットをクリックすると、その場所の詳細情報が表示され、営業時間や料金などの基本情報がすぐに確認できます。これにより、観光地に関する疑問を手軽に解消できるため、観光客は金沢市の魅力をより深く、かつ効率的に探索することが可能です。

東京都府中市 VR360度バーチャルツアー

東京都府中市は、VR技術を駆使した新しい観光の形、VR360度バーチャルツアー動画を一般に公開しました。このツアーは、府中市役所と株式会社SeiRogaiが共同で制作したもので、国内外の人々に府中市の魅力を間近に感じさせることを目的としています。このプロジェクトは、新型コロナウイルスの流行が観光業界に与えた影響に対応し、地域活性化の一環として推進されています。

このVRの中心は、府中市にある大國魂神社を中心としたツアーです。約1900年の歴史を持つこの神社は、東京五社の一つとして知られる、府中市の象徴的存在です。ツアーでは、この歴史ある神社の奥深いストーリーや教育的な価値を、VR技術を活用して伝えています。

株式会社SeiRogaiのオリジナルプラットフォーム「Global Virtual Travel」を通じて提供されるこのバーチャルツアーは、まるで現地にいるかのような体験を可能にし、利用者を魅了しています。

福島県 デジタルスタンプラリー

福島県は新しい形の観光促進活動として、2022年からデジタルスタンプラリーを実施しています。

LINEを通じてかんたんに参加可能なこのスタンプラリーでは、参加者が訪れた各スポットに掲示されたQRコードをスキャンすることでスタンプを獲得できます。この企画は、福島県内のさまざまな観光地や飲食店、特産品店などが対象となっているため、参加者はこれらのスポットを訪れてスタンプを集めることで地域の多様な魅力を体験できます。

このデジタルスタンプラリーは、参加者にとって福島県の魅力を幅広く知る機会を提供するだけでなく、地元経済の振興にも寄与しています。さらに、このスタンプラリーはスマートフォン1つで参加できるため、若年層を含む幅広い層の参加者を引きつけています。

北海道ニセコエリア データ集約による消費行動促進

北海道ニセコ町・俱知安町・蘭越町では、2022年に独自の観光データ統合プロジェクト「ALLニセコ」を展開し、地域の観光関連施設の稼働状況をリアルタイムで提供するシステムを構築しました。この取り組みは、観光客の旅行体験を「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という各フェーズでサポートし、地域内消費の拡大を促進することを目指しています。

このプロジェクトの中核となるのは、「ニセコデジタルマップ」と「トレイルマップ」です。これらは、街中の観光スポットや店舗、ゲレンデ内のリフトやシャトルバスの稼働状況などをオンラインで可視化し、観光客が必要な情報を効率的に入手できるように設計されています。

また、行政、観光DMO、地域内事業者が共同で利用できる「データ収集分析プラットフォーム」を構築し、宿泊データや予約情報などのデータを集約して可視化しました。このプラットフォームにより、ニセコエリアのデジタル化とDX化が加速度的に進展しました。

観光DXにはRESERVA

画像引用元:RESERVA公式サイト

自治体が観光DXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらに集客に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、自治体の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、自治体が効率的に観光DXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAを推奨します。RESERVAは、26万社が導入、500以上の政府機関・地方自治体も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、自治体の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる地方自治体にもおすすめです。

まとめ

観光DXは、自治体が持続的に観光事業を実施するうえで不可欠です。この記事では、観光DXを推進するメリット、自治体の成功事例などについて紹介しました。また、予約システムを導入することで、観光DXを効率的に推進できることも示しました。DXを推進するにあたって課題を抱えている自治体の職員は、ぜひ本記事を参考にしてください。

RESERVA.lgでは、今後も自治体DXに関する学び、挑戦を取り上げていきます。

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RESERVA.lgは、自治体向けのクラウド予約システム。官公庁、自治体における導入実績は500以上。公共施設予約、自治体のイベント、窓口予約など様々なシーンで導入されています。