自然・歴史・文化など豊富な資源を活かした観光産業や、米や酒、漆器等の名産地として地場産業に取り組んできた会津若松市ですが、他県同様に人口減少・少子高齢化が問題となっています。本市は現状を打開すべく、ICT技術を活用し様々な角度から打開策を講じています。
本記事では、そんな会津若松市のスマートシティ化に向けた取り組みを紹介します。
市の概要
会津若松市は、福島県西部の会津盆地のほぼ中央に位置し、磐梯山や猪苗代湖など豊かな自然に恵まれた市です。その歴史は古く『古事記』にも「相津」の名が記録され、新政府軍の猛攻に耐えた「難攻不落の名城」として知られる鶴ヶ城などを有し、レトロな街並みを残す本市は、日本有数の観光地として知られています。
人口 | 11万2,698人(2023年12月時点) |
面積 | 382.99k㎡ |
市役所住所 | 福島県会津若松市東栄町3番46号 |
市役所ホームページ | 会津若松市 |
市がかかえる課題
本市の人口は、1995年の13万7066人をピークに年間1000人のペースで人口が減少を続けており、2022年10月1日時点で11万4687人となっています。また、出生率は年々減少している一方で、高齢化率は国平均を超え要介護者数も増加しています。
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
「スマートシティ会津若松」とは
上記のような課題を抱える会津若松市ですが、その一方で、市内には最高レベルのコンピューター環境を有するICT専門大学会津大学があります。そこで本市は、市民のICT技術への理解の素地があることを活かし、情報通信技術を活用しながら地域活性化を目指しています。
「スマートシティ会津若松」は、健康・福祉、防災、エネルギー、交通、環境など様々な分野にICT技術を活用し、
1.地域活力の向上:地域経済の活性化
2.市民生活の利便性向上:安心して快適に生活できるまちづくり
3.市民との情報共有の促進:「まちの見える化」
を実現し、地域活性化を促して地方創生を達成することを目標としています。
参考記事:会津若松市「「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について」
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
「スマートシティ会津若松」実現に向けた取り組み例
会津大学との連携
本市は、ICT専門大学である会津大学と連携し、市民ニーズを起点に地域課題解決を目指すAOI(会津・オープン・イノベーション)会議や社会人を対象にデータ分析人材育成、セキュリティ人材育成、ロボット人材育成、女性IT人材育成などを実施しています。
人材育成では、2015年から2020年の間で3000人以上の人材を排出し、スマートシティ会津若松を推進しています。
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
オンライン診療の推進
会津若松市は、医師少数区域であり、市内が比較的広域である点・高齢化が進んでいる点などが問題となっているため、地域医療支援病院である竹田綜合病院と連携し、神経内科疾患を中心にオンライン診療を進めています。
2020年にはiPad77台を導入し約60名の患者に対して、オンライン診療を実施しています。
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
SmartCityAiCT(スマートシティアイクト)
会津若松市は、スマートシティ会津若松の取り組みの一環として、ICT関連企業を招く拠点として、スマートシティAiCTを開所しました。スマートシティAiCTを設置することにより、首都圏から新しい人の流れを生み出し、新たな雇用の機会を創出することで、若年層の地元定着や地域活性化を目指しています。
2022年10月1日現在、スマートシティAiCTには、ソフトバンク株式会社やNEC(日本電気株式会社)をはじめ、以下の企業が入居しています。
企業の垣根を超え、入居企業・地元企業・会津大学が連携していく中で、バーチャルカンパニーのように一体となって、スマートシティを推進しています。
参考サイト:「SmartCityAiCT」
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
参考ページ:会津若松市「「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について」
参考ページ:会津若松市「スマートシティAiCT-ICT関連産業の集積-」
会津若松+(プラス)
会津若松+とは、地方創生およびスマートシティの実証の一環として開始された地域情報ポータルサイトです。本サービスではデータを活用することで、各市民のニーズや生活様式に合った地域の情報や行政に関する情報を配信しています。
会津若松+は、除雪車の位置をリアルタイムで確認できる「除雪車ナビ」や、市で保有する情報と連携して、乳幼児健診や予防接種の接種予定日などを確認できる母子健康情報サービス「OYACO plus」、市内の飲食店情報をマップ上で探すことができる観光者向けサービス「Visitory 一期一会、会津の旅へ」、子どもたちの学校での様子や学校だよりなど市立幼稚園・小中学校と教育委員会の情報を閲覧できる「あいづっこWeb」などと連携しています。
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について」
参考ページ:「会津若松+公式サイト」
デジタル防災
本市では、住所や家族情報などの市民属性情報や位置情報を活用することで、避難誘導やリアルタイムでの家族の安否確認サービス、平時での高齢者見守りなどの市民に応じた防災サービス「マイハザード」を提供しています。
今後は、マイハザードと避難所管理システムである「Quaitrics」、要支援者の体調や服薬状況を連携することで、更なる機能向上を推進していく予定です。
2022年10月31日より先行提供が開始された「デジタル防災」では、年齢や性別、家族構成に合わせた防災用品の設定や、防災マップ・ハザードマップの確認、災害情報の通知、避難ルート確認が可能です。
参考記事:会津若松+「位置情報を活用した「デジタル防災」サービス提供開始」
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
みなとチャンネル
本市では、中山間地域である湊町に対し、各世帯にあるテレビで地域・市役所からお知らせや防災情報、暮らしの便利情報等の閲覧や、オンデマンドバス「みなとバス」の予約や、その日の体調を民生委員に連絡できる生活支援システム「みなとチャンネル」を提供しています。
この機能により、山間部の利便性向上、高齢者支援が実現しています。
参考資料:「「スマートシティ会津若松」の取組とビジョン」
スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」
スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。
集客、予約、決済、来店といった一連のビジネスフローをRESERVAを導入することによって自動化を実現し、従来の予約管理方法から脱却し、店舗ビジネスのDXを実現します。
近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。
まとめ
今回は、企業と自治体の連携によって地域のDX化の実現を目指す事例として、福島県会津若松市の「スマートシティ会津若松」を取り上げました。本市は市内にICT企業を集約する施設を設置し、大学や企業と連携しながら交通・観光・防災など幅広い分野でスマートシティ化を推進していることが確認できました。
今後も、RESERVA Digitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。
自治体で活用されている予約サイト紹介
・確定申告の予約システム
・公共施設の予約システム
・行政サービスの予約システム