日本国内では、急速に進む少子高齢化にともない、住民ニーズの多様化・高度化への対応が求められています。さらに、持続可能な社会の実現に向けて、再生エネルギーの活用など「エネルギーの地産地消」に時代が変化しています。
そんな中、先進的な取り組みが民間企業と自治体の間でスタートしています。今回紹介する、神奈川県藤沢市ではパナソニック株式会社と協業し「スマートシティ事業/Fujisawa サスティナブルスマートタウン(SST)」に取り組んでいます。本記事では、パナソニックのスマートシティ事業について解説していきます。
藤沢市の概要
神奈川県の湘南地域東部に位置する藤沢市。湘南・江の島、富士山の眺望スポットなど自然に囲まれながらも、交通網が充実していることから都心のベッドタウンとして発展を遂げてきました。
そんな藤沢市は年々人口が増加しており、神奈川県の市町村の中でも藤沢市の人口増加数はトップとなっています。2021年には人口が44万人を超え、将来人口推計の見通しを4年前倒しで到達しました。
人口増加の背景としては、湘南エリアの知名度や都心へのアクセス利便性といったブランド力の高さにあります。加えて、コロナ禍により都心からの移住加速が主な理由とみられています。
住所(市役所) | 〒251-8601 神奈川県藤沢市朝日町1-1 |
面積 | 69.57 km² |
人口 | 443,827人(令和6年1月1日) |
路線 | JR東海道本線、JR湘南新宿ライン、江ノ島電鉄、小田急江ノ島線 |
主なランドマーク | 江の島、新江ノ島水族館、 テラスモール湘南など |
かつては大手企業の工場が進出
近年では都心のベッドタウンとして栄える藤沢市ですが、戦後の1957(昭和32)年より、工場誘致が進められ、大手企業の工場進出が続きました。「松下電器産業(現 パナソニック)」が関東初となる工場を開設し、冷蔵庫やテレビを中心に製造するなど、日本の高度経済成長期を支えました。
労働者の増加にあわせ団地をはじめとした住宅地も整備されたことで、藤沢市は住宅都市としての一面も持つようになりました。しかし、製造拠点の海外移転などに伴い、次第に工場は閉鎖していきます。パナソニック藤沢工場も、2009(平成21)年に撤退し、その役目を終えました。
Fujisawaサスティナブル・スマートタウンとは
パナソニック藤沢工場の閉鎖以降、工場跡地の活用について藤沢市とパナソニック社の間で協議が行われました。その結果、多くの人々が居住し、再び地域発展への貢献が見込める街づくりとして、Fujisawa SST(サスティナブル・スマートタウン)構想が発表されました。
Fujisawa SSTは、パナソニックを中心とした複数企業によるコンソーシアムと、藤沢市の官民一体の共同プロジェクトで、「生きるエネルギーがうまれる街」をコンセプトに開発が進み、2014年に街びらきとなりました。
パナソニックの技術をスマートシティに結集
世界を代表する家電メーカーであるパナソニックは、これまでに数多くの省エネ家電や設備を創ってきました。元々は個人向けの省エネ家電や省エネ住宅の普及への取り組みから、ソーラーパネルの普及や商業施設への省エネの導入促進といったエネルギーマネジメントの普及まで手掛けた実績があります。
このように、個からコミュニティ、地域全体へと再生可能エネルギーの活用やエネルギーマネジメントを連携させながら、「エネルギー地産地消のくらし」を実現を目指しているのがFujisawa SSTです。
新たなスマートタウン像の実現と展開
Fujisawa SSTでは、単にスケールの大きい街づくりを行うのではなく、汎用性の高い街づくりの発想とプロセスに焦点をあてています。最大の特徴としては、技術やインフラといった「技術起点」ではなく、街に住む人の快適性や未来の暮らしといった「くらし起点」の発想とプロセスでスマートタウン形成に取り組んでいます。
具体的なプロセスとしては、最初にエネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネスといったあらゆる角度から住人の快適性や地域特性、未来のくらしを考えてスマート・コミュニティライフを提案。それを踏まえて、最適な住居や施設といった街全体を設計し、最後に新しいくらしを支えるスマートインフラを最適構築しました。
これらのプロセスを「Fujisawaモデル」とし、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)、大連ベストシティ(中国)といったように、スマートシティ事業の水平展開が進んでいます。
スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」
Fujisawa SSTは、ICT/IoTをはじめとした、先端技術・サービスを実装したスマートシティの先駆けでもあります。注目すべきは、デジタル技術そのものではなく、街全体および地域住民にデジタル活用が根付いていることでしょう。
デジタル活用が地域や人々に受け入れるためには、企業や店舗、行政機関が積極的にデジタルツールを導入し、地域へ浸透を促すことが大切です。
デジタルツールの普及に向けて役立つのがSaaS型サービスです。SaaS型は高機能でありながら、リーズナブルに利用できることが特徴です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、あらゆる業界・業種でも導入されているSaaS型サービスです。
RESERVAを導入することで、集客・予約・決済・来店といった一連のビジネスフローを自動化し、従来の予約管理方法から脱却するなど店舗ビジネスのDXを実現します。
近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。
まとめ
今回は、DXを情報政策における最重要戦略に掲げる、神奈川県藤沢市の「Fujisawa SST」を解説しました。少子高齢化に伴う労働力減少や持続可能な社会の実現に向けたエネルギー消費の課題は、今後多くの自治体が直面することでしょう。そうしたときに、民間一体となり実現したFujisawa SSTの取り組みは参考になることも多いのではないでしょうか。
今後も、RESERVA Digitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。