【スマートシティ政策事例】静岡県藤枝市「ふじえだスマートコンパクトシティ」を解説

【スマートシティ政策事例】静岡県藤枝市「ふじえだスマートコンパクトシティ」を解説

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静岡県中部に位置し、南北に長い地形をもつ藤枝市は、自然豊かで過ごしやすい街として知られています。そんな藤枝市では、情報化の取り組みやICT(情報通信技術)の利活用によるまちづくりを推進しています。

とりわけ単なるデジタル活用にとどまらず、業務や組織までも大胆に変革する「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を、情報政策における最上位の戦略に掲げ、行政ではその実現に向けた動きが活発化しています。本記事では、藤枝市のDX戦略の概要から具体的な取り組みについて解説します。

藤枝市の概要

藤枝市は静岡県の中央部に位置する市です。その歴史は古く、古墳にはじまり、江戸時代には東海道21・22番目の宿場町として繁栄をしていました。また、現代でも江戸時代の藤枝宿と変わらない街並みを保持しており、歴史を感じさせる街となります。

お茶どころとしても名高く、藤枝かおりや藤枝めぐみなどを始めとして多くの種類のお茶が生産されています。また、藤枝ではお茶取引などで朝早くから仕事を始める人が多く、朝早くからラーメン屋が営業していたことから、朝ラーメンも独自の文化です。

住所(市役所)〒426-0026 静岡県藤枝市岡出山1丁目11番1号
面積194km²
人口14万1,911人(2024年6月末時点)
市内のランドマーク蓮華寺池公園郷土博物館・文学館

市がかかえる課題

65歳以上人口割合を指す高齢化率において、平成28年(2016年)3月末には27.6%であった藤枝市における高齢者の割合は、令和5年(2023年)11月末には31.3%まで上昇しました。社会の高齢化が進行する中で、同市の人口減少や労働力不足が懸念されています。

「ふじえだスマートコンパクトシティ」とは

上記のような課題を抱える藤枝市ですが、その一方で市内にはICTを活用した街づくりが推進されています。本市が策定したふじえだスマートコンパクトシティの計画をもとに、市民が安全に暮らせ、持続可能な社会形成を目指しています。

ふじえだスマートコンパクトシティは、健康、教育、環境、危機管理に重点を置き、さまざまな地域課題の解決に取り組んでいます。具体的な取組として、下記が挙げられます。

1.交流動向データ等の分析、及び健康マイレージの利用
2.オンデマンド交通による拠点間ネットワークの強化
3.藤枝版クラウドソーシングシステムの構築・運用
4.テレワーク環境の推進
5.AIによる河川水位の予測

参考資料:国土交通省「ふじえだスマートコンパクトシティの概要(藤枝ICTコンソーシアム)

スマートシティ実現に向けた取り組み

ふじえだmobi

藤枝市では、2024年7月より市民や来訪者が相乗りできるAIオンデマンド交通「ふじえだmobi」の実証運行を行っています。利用者はスマートフォンのアプリ経由または電話で予約することが可能です。

2023年11月上旬から12月末まで同取組の実験が行われた際は、各利用者のニーズに沿った運行を実現でき、配車の効率性が向上した結果となりました。今後は同市の地域経済の活性化や地域住民の利便性向上が期待されています。

参考サイト:藤枝市「AIオンデマンド交通「ふじえだmobi」実証運行を行います

藤枝くらシェア

画像引用元:藤枝くらシェア

藤枝版クラウドソーシングシステムの構築・運用の一環として実施されている「藤枝くらシェア」は、業務を発注したい顧客とそれを受注したい市民のマッチングを目的としたクラウドソーシングサービスです。仕事内容としては、チラシ・サイトデザイン、ICT活用サポート、動画制作・SNS運営などが挙げられます。

藤枝市はICTを活用した同システムを活用することで、地域住民の働き方を多様化することができ、地域雇用の創出も期待されています。

参考サイト:藤枝市「藤枝くらシェア

藤枝市水位AI予測実証実験

藤枝市は、市内における自然災害リスクの拡大、人口減少による自治体職員の不足を課題として捉えられており、その解決に向けて「藤枝市水位AI予測実証実験」を実施しました。

同取組には、IoTとAIを活用した防災の仕組みが反映されています。具体例として、対象河川に水位計センサーを実装することで、河川水位の可視化が挙げられます。また、3時間単位で水位を測定できるため、スムーズな避難準備としての効果も期待されています。

参考サイト:藤枝市「【終了】県内初!AIを活用した河川水位予測実証実験
参考資料:国土交通省 提供「藤枝市水位AI予測実証実験(藤枝ICTコンソーシアム)

スマートロックの導入

藤枝市は、株式会社電通総研と株式会社電通東日本ならびに株式会社構造計画研究所と連携することで、同市の体育館や指定緊急避難所などの公共施設にスマートロックを整備しました。スマートロックの実装により、各施設の鍵の受け渡しを省略化でき、住民の利便性向上を図っています。

少子高齢化による労働力不足の解消にもつなげられ、安全で便利なまちづくりの実現を目指しています。

参考サイト:藤枝市「公共施設予約システムをリニューアル!
参考サイト:電通総研「電通総研、電通東日本、構造計画研究所の連携で藤枝市の公共施設にスマートロックを導入、安全・便利なまちづくりへ

スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」

スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。

集客、予約、決済、来店といった一連のビジネスフローをRESERVAを導入することによって自動化を実現し、従来の予約管理方法から脱却し、店舗ビジネスのDXを実現します。

近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。

まとめ

今回は、企業と自治体の連携によってスマートシティの実現を目指す事例について、静岡県藤枝市の「ふじえだスマートコンパクトシティ」を取り上げました。本市は高齢化促進に対し、ICT技術を活用しながら公共交通機関の利便性向上や地域雇用の拡大を進めることで、市民が便利で働きやすいまちづくりを進めていることが確認できました。

今後も、RESERVA.lgではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。

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