さいたま市は都心に近いこともあり、現状は人口は増加傾向にありますが、2025年を目途に他県と同様に人口減少・高齢化が進行していく見込みです。
そこで本市は、安定した行政サービス提供に向け、市民生活を取り巻く様々な分野に最先端技術を取り入れ、スマートシティ化を進めています。
市の概要
さいたま市は埼玉県の南東部、関東平野のほぼ中央部に位置しています。東京都心部とは複数の交通機関で結ばれ、東北新幹線・北陸新幹線をはじめとする6つの新幹線が通っているため、東日本の交通拠点となっています。
その一方で、本市は古くから中山道の宿場町として発達してきた歴史を持ち、2000年以上の伝統を誇る武蔵一宮氷川神社や今から1500年以上前に建立された久伊豆神社などを有しています。
人口 | 134万5,012人(2024年1月1日時点) |
面積 | 217.43k㎡(2024年1月1日時点) |
市役所住所 | さいたま市浦和区常盤六丁目4番4号 |
市役所ホームページ | さいたま市 |
市がかかえる課題
本市の人口は、2010年の123万4274人から2022年11月にかけて増加を続けていますが、「さいたま市都市計画マスタープラン」によると人口は2025年にピークを迎え、2050年には高齢者単独世帯数が増加していくと予測されています。
現在は少子高齢化の波は緩やかであるとは言え、将来的には人口減少・高齢者増加による行政サービスの低下が見込まれます。そこで本市はデジタル技術を活用しながら課題解決に取り組んでいます。
「スマートシティさいたまモデル」について
「スマートシティさいたまモデル」とは、生活を構成する様々な分野にAIやICT技術等を活用し、課題解決と人と人のつながりを創出するコミュニティ形成を平行して進め、市民生活の質の向上を目指す事業です。本事業は、市の副都心である美園地区を中心に進められていますが、美園地区で誕生した生活支援サービスは市内全域に展開されていく予定です。
参考記事:さいたま市「スマートシティさいたまモデルの推進」
スマートシティ実現に向けた取り組み
UDCMi(アーバンデザインセンターみその)
スマートシティさいたまモデルは、まちづくりの拠点施設「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」を拠点として、産学官が連携しながら地域課題解決に向け、生活支援サービスの企画検討、社会実装に取り組んでいます。
UDCMiでは大きく分けてまちのメンテナンス・まちのデザイン・まちのサービス・まちのプロモーションの4つのプロジェクトを推進しています。
参考記事:さいたま市「スマートシティさいたまモデルの推進」
参考記事:さいたま市「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」
参考ページ:「UDCMi」
シェア型マルチモビリティ
さいたま市は、さいたま市スマートシティ推進事業の取り組みの1つとして、2020年にOpenStreet株式会社、ENEOSホールディングス株式会社の3者で「さいたま市シェア型マルチモビリティ等の実証実験に関する基本協定書」を締結し、スマートフォンからかんたんに自転車や超小型EVのレンタルができるHELLO CYCLINGやHELLO MOBILITYの実装を進めています。
「さいたま市スマートシティ実行計画の推進」は令和3年度国土交通省スマートシティモデルプロジェクトにも選定されており、2022年8月には市内埼京線沿線へのマルチモビリティステーションの設置、11月には株式会社Luupと新たに連携し、電動キックボードLUUPの追加など精力的にスマートモビリティの導入を進めていることが確認できました。
参考記事:さいたま市「さいたま市スマートシティ推進事業の取組に関連してシェア型マルチモビリティ等の実証実験に関する基本協定書を締結します」
参考記事:「シェア型マルチモビリティの実証実験」
参考記事:HELLO CYCLING「「さいたま市スマートシティ実行計画の推進」が「令和3年度国土交通省スマートシティモデルプロジェクト」に採択されました」
参考記事:HELLO CYCLING「【リリース】さいたま市内の埼京線沿線にマルチモビリティステーションを新設」
参考記事:HELLO CYCLING「【リリース】さいたま市のシェア型マルチモビリティ実証実験に電動キックボードが参加」
参考記事:ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社「超小型EVシェアリングサービス実証実験の開始について〜シェア型マルチモビリティによる新たな移動環境の実現〜」
参考記事:内閣府「令和3年度のスマートシティ関連事業の選定結果」
参考記事:LUUP「さいたま市のシェア型マルチモビリティ実証実験に電動キックボードが参加〜電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP」を加えて、より便利に〜」
スマート・ターミナル・シティ
本市は、駅を核としたスマート・ターミナル・シティの実現に向け、
①モビリティサービスの充実
②ライフサポート型MaaSの構築
③スマートプランニングによるウォーカブルな都市空間・環境の形成
を進めています。具体的な取り組みとしては、AIがリアルタイムで最適な配車を行うオンデマンド交通サービスの導入、複数のモビリティのシェアリングサービスの展開、既存の公共交通機関とモビリティの連携、3Dモデルを活用した都市基盤の整備などに取り組んでいます。
参考資料:「スマート・ターミナル・シティさいたま実行計画」
参考資料:「スマート・ターミナル・シティさいたま(埼玉県さいたま市)」
参考資料:「スマート・ターミナル・シティさいたま実行計画(さいたま市スマートシティ推進コンソーシアム)」
流行予測AIを活用した感染症予報サービス
本市は、株式会社日立製作所と損害保険ジャパン株式会社と連携し、日本医師会ORCAの罹患患者数統計データ、日立のAI技術を用いた予測エンジンを用いて、インフルエンザの流行予測情報の配信実験を行いました。
2020年度の実証に参加した人は、インフルエンザ予報を認知後、手洗い・うがい(60.9%)、マスクの着用(52.1%)、予防接種(35.6%)の行動変容があったとの記録が出ています。
参考記事:さいたま市「【令和元年度】AIを活用したインフルエンザ予報サービスの実証を実施しました」
参考記事:さいたま市「「インフルエンザ予報」の実証実験を行いました(令和2年度)」
参考記事:さいたま市「AIを活用した「インフルエンザ予報サービス」の実証を行いました(令和3年度)」
さいたまルーム
さいたま市は、株式会社日本旅行と「さいたま市と株式会社日本旅行とのメタバースを活用した実証実験に関する基本協定書」を締結し、メタバース上にさいたまルームを構築しています。さいたまルームには、マイナンバーカード・マイナポイントに関する広報や観光情報などをはじめとする10個以上の部屋があり、中央スペース・大画面モニターでは新型コロナウイルスのワクチン情報の確認、イベントルームでは各種イベントの生配信などが閲覧可能です。
参考記事:さいたま市「 株式会社 日本旅行 さいたま市と「メタバースを活用した実証実験に関する基本協定書」を締結 」
参考記事:東京新聞「仮想空間に「さいたまルーム」市など情報発信の実証実験」
スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」
スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。
紙の台帳で予約管理をしていたり、予約管理と顧客管理を別々のシステムなどで管理している場合、新規の予約が入った際には手動で記録をする必要があります。また、既存の予約情報を探すにも時間と手間がかかってしまうため、効率的であるとは言えません。
RESERVAなら、予約受付・利用者管理はもちろん、決済や集客も1つのシステムで完結するため、予約関連業務の一元化が実現します。市民も施設の予約やイベント参加のたびに個人情報を書類に記入したり、予約確定までに職員と何度もやりとりする必要がなくなるため、予約管理者・予約者の両社の負担を軽減することが可能です。
近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。
まとめ
今回は、企業と自治体の連携によってスマートシティの実現を目指す事例について、埼玉県さいたま市の「スマートシティさいたまモデル」を取り上げました。本市は、市民サービスや生活支援にAIや最先端技術を取り入れることで、市民が抱える社会課題の解決・生活の質向上に努めていることが確認できました。
今後も、RESERVADigitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。
自治体で活用されている予約サイト紹介
・確定申告の予約システム
・公共施設の予約システム
・行政サービスの予約システム