高齢者の増加・出生率低下にともなう少子高齢化や、人生100年時代の到来など社会情勢が変わりゆく中、新型コロナウイルス感染拡大により行政のデジタル化の遅れや市民のライフスタイルの変化への対応など様々な課題が明らかになりました。
本市は、市民が市内のあらゆる地域に住み続けられるように、交通や防災など幅広い分野にICT技術を取り入れることで、スマートシティ化を推し進めています。
市の概要
山口市は山口県の中央に位置しています。市内には豊かな自然と歴史遺産が多く、重要文化財に選ばれている瑠璃光寺五重塔や明治維新ゆかりの史跡、美肌の湯として知られる湯田温泉などがあります。
室町時代から愛されている外郎や大内塗り、山口萩焼など、長い伝統を持つ特産品が有名です。
人口 | 19万819人(2024年1月1日時点) |
面積 | 1023.23k㎡(2024年1月1日時点) |
市役所住所 | 山口市亀山町2番1号 |
市役所ホームページ | 山口市 |
市がかかえる課題
本市の人口は2015年の19万7442人から減少し、2022年11月時点では19万2100人となっており、このまま減少を続けると、2060年には16万18人となる見通しが立っています。出生率が低下する一方で、高齢者人口は増加を続けています。
そこで本市は、人口が減少しても安心して生活できるような都市基盤の整備、元気な高齢者を社会の担い手とした社会構築に向け、ICT技術を活用した取り組みに励んでいます。
「山口市スマートシティ推進ビジョン」とは
本市は、デジタル技術を用いて地域課題の解決や地域経済の活性化を進め、地方創生を更に加速すべく「山口市スマートシティ推進ビジョン」を策定しました。
本ビジョンは、「誰もがいきいきと豊かに暮らせる持続可能なまち山口~スマート“ライフ”シティ山口~」のスローガンのもと、人と人のつながりに重きを置きつつ、デジタル化を通じて生活や時間のゆとり、新たな人とのつながりを創出し、自分らしく活き活きとして暮らせるまちづくりを目指しています。
スマートシティ実現に向けた取り組み例
NTTとの連携協定の締結
山口市は、2022年3月28日にNTT西日本(西日本電信電話株式会社)、NTTビジネスソリューションズ株式会社と「山口市のスマート”ライフ”シティの実現に向けた連携協定」を締結しました。本市とNTT西日本は、これまで市内防災強化に向けてNTTアノードエナジー株式会社の3者で「山口市スマートエネルギー活用事業の共同検討に関する覚書」を締結し、太陽光パネル及び蓄電池の設置の実証実験などを実施してきました。
今後は更に連携を深め、市内のスマートシティ化を精力的に進めていく予定です。
参考記事:山口市「山口市、西日本電信電話株式会社及びNTTビジネスソリューションズ株式会社による山口市のスマート“ライフ”シティの実現に向けた連携協定の締結について」
参考記事:山口市「地域防災拠点の強化に向けた「山口市スマートエネルギー活用事業」の実証開始について」
参考記事:NTTビジネスソリューションズ株式会社「山口市、NTT西日本山口支店及びNTTビジネスソリューションズによる山口市のスマート”ライフ”シティの実現に向けた連携協定の締結について」
参考資料:「地域防災拠点の強化に向けた「山口市スマートエネルギー活用事業」の実証開始について」
山口市スマートシティ(スーパーシティ)連携事業者の公募
本市は取り組みを進めるにあたり、民間事業者や大学、研究機関などと連携し、様々な領域に最先端のサービスを取り入れ強力にスマートシティ化を推進していくために、連携事業者の公募を実施しました。2024年時点では、ソフトバンク株式会社やGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社をはじめとする30以上の事業者と連携しています。
参考記事:山口市「山口市スマートシティ(スーパーシティ)連携事業者を公募します」
参考記事:山口市「山口市スマートシティ(スーパーシティ)連携事業者の選定について」
参考記事:株式会社LEBER「山口市がスーパーシティ構想の連携事業者に株式会社リーバーを採択」
MaaS
本市は「移動がスムーズなまちプロジェクト」として、以下の取り組みを実施しています。
1.バスロケーションシステム
バスロケーションシステムとは、出発地と目的地を入力することで、今バスがどのあたりを走っているか、どれくらいでバスが来るかをスマートフォンや携帯からかんたんに確認できるシステムです。このシステムでは、地図上で最寄りのバス停を探したり、時刻表を確認することも可能です。
また、JR新山口駅バス待合所やJR山口駅バス切符売り場、ファミリーマート山口泉都町店には、バスの運行情報が表示されるデジタルサイネージが設置されています。
参考記事:山口市「バスの到着時間がわかる!バスロケーションシステムのご紹介」
参考サイト:「BUSit」
参考サイト:「広島公共交通ナビ くるけん」
参考サイト:「うべバスナビ」
2.シェアサイクル
シェアサイクルとは、市内各所に設置されたステーションであれば、どこでも自転車をレンタル・返却することが可能なシステムです。専用アプリをインストールし、会員登録後自転車のQRコードを読み取るだけで利用が可能です。
利用料金はクレジットカードもしくはキャリア決済での支払いが可能で、2024年時点で市内27カ所にステーションが設置されています。
参考記事:山口市「「移動がスムーズなまち」プロジェクトの取組」
参考サイト:「ecobike 山口市シェアサイクル実証事業」
3.やまぐちMaaS用Webアプリ「ぶらやま」
「ぶらやま」とは、電車、バス、乗合タクシー、超小型モビリティ、シェアサイクル、電動バイクなど様々な交通手段を検索・予約・決済ができるアプリです。その他、お得なデジタルチケットの販売や観光・食事・お土産の検索などの機能を搭載しているため、回遊性の向上に加え、地域復興や経済の活性化が期待されます。
参考記事:山口市「「移動がスムーズなまち」プロジェクトの取組」
参考サイト:「やまぐちMaaS用Webアプリ ぶらやま」
4.スマート空港タクシー
スマート空港タクシーとは、山口市と山口宇部空港間を直通で結ぶ乗合タクシーです。通常のタクシーより安価な値段で乗車でき、クレジットカード決済にも対応しています。事前の予約はもちろん、到着直前も予約できるため、急な出張や帰省でも交通手段に困ることはありません。
参考記事:山口市「「移動がスムーズなまち」プロジェクトの取組」
参考サイト:「スマート空港タクシー」
逃げ遅れ“ゼロ”プロジェクト
本市は、「山口市防災ガイドブック」を活用した防災意識の向上、デジタル防災無線の整備などを通じて防災体制の強化に尽力してきました。「逃げ遅れ“ゼロ”プロジェクト」では、防災に関する情報のデータ化・利活用を進め、市民に分かりやすい防災情報の発信、迅速かつ的確な避難支援体制を構築していきます。
具体的な取り組み内容としては、高齢者や障がい者などの避難行動要支援者の避難マイプラン作成支援・データ連携による介護事業者や自治会への避難マイプランの共有、3D都市モデルを活用したバーチャル避難訓練、AIを活用した個々に応じた避難情報の配信などを推進していく予定です。
参考記事:山口市「山口・小郡地域のデジタル防災行政無線の運用を開始しました」
参考資料:「山口市スマートシティ推進ビジョン」
スマートシティにより近づく、予約管理システム「RESERVA」
スマートシティの実現には市民の意識を高めることも重要です。各企業、店舗、個人でも始められるスマートシティへの実現に向けて、近年注目を集めるのが「SaaSシステム」の導入です。例えば、オンライン予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、どのような業界・業種でも導入しやすく、オンライン予約サイトを手軽に構築できます。
集客、予約、決済、来店といった一連のビジネスフローをRESERVAを導入することによって自動化を実現し、従来の予約管理方法から脱却し、店舗ビジネスのDXを実現します。
近年では、自治体や官公庁、大学などの導入実績も増えており、官民連携を果たした実例も多いのが特徴です。導入実績の詳細は、予約システムRESERVA(レゼルバ)ホームページをご覧ください。
まとめ
今回は、企業と自治体の連携によって地域のDX化の実現を目指す事例として、山口県山口市の「山口市スマートシティ推進ビジョン」を取り上げました。本市は、スマートシティ化を推進するために連携事業者を募集し、外部の事業者とも積極的に連携することで、精力的に市内のデジタル化を推進していることが確認できました。
今後も、RESERVA Digitalではスマートシティ施策に関する国内事例を取り上げていきます。他の地方自治体のレポートについては、こちらよりご覧ください。
自治体で活用されている予約サイト紹介
・確定申告の予約システム
・公共施設の予約システム
・行政サービスの予約システム