デジタル技術の進化により、自治体の業務は大きな変革を迎えています。特に、データ活用は政策立案や住民サービスの改善に欠かせない要素となっています。少子高齢化や人口減少といった社会課題に直面する中で、自治体は効率的かつ効果的な施策を実現するために、膨大なデータを活用する必要があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、オンライン化やデジタル化が急速に進んだことも自治体にとっての大きな転機となりました。しかし、データ活用の重要性が叫ばれる一方で、どのように具体的な活用を進めるべきかについての課題も多く残っています。
本記事では、データ活用による自治体DX化の目指す方向性、そのメリットと抱える課題、そして実際にデータ活用に成功した自治体の事例を通じて、その具体的な成果や取り組みについて紹介します。
自治体DXとは
自治体DX（デジタルトランスフォーメーション）は、自治体業務の効率化や住民サービスの向上を目的として、デジタル技術を活用する取り組みを指します。このDXの概念は、従来の手作業中心の業務から、データやテクノロジーを活用した効率的な運用へと移行することを目指しています。具体的な取り組みには、ペーパーレス化やオンライン申請の導入、住民データの管理・分析を通じたサービス改善が含まれます。
総務省が発表した「自治体DX推進計画」では、行政手続きの簡素化やデジタル技術を活用した業務効率化、市民の利便性向上が主要な柱となっています。例えば、電子住民票の発行や、AIを活用した問い合わせ対応の導入などが実例として挙げられます。このようなDXの取り組みは、人口減少や高齢化に直面する自治体にとって、限られたリソースを最適化しながら住民サービスを向上させる鍵となっています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会全体でオンライン化が加速し、自治体にも迅速な対応が求められるようになりました。これにより、データ活用を基盤とした施策の重要性が一層高まっています。自治体DXは、単なる業務効率化の手段にとどまらず、住民一人ひとりのニーズに応えるための基盤として、今後ますます重要になることが予想されます。
自治体がデータ分析を行うメリット
データ分析は、自治体業務のさまざまな場面で活用されており、そのメリットは多岐にわたります。
①業務効率化とコスト削減
データ分析ツールの導入により、自治体の業務プロセスを可視化し、効率化を図れます。例えば、窓口対応データを分析することで、ピーク時間帯を特定し、職員配置を最適化することが可能です。また、紙の書類や手動入力を削減することで、運用コストの低減も期待できます。
②サービス品質の向上
データ分析を活用することで、住民ニーズに基づいたサービス提供が可能となります。例えば、健康診断データを分析することで、高齢者向けの健康支援プログラムを充実させたり、交通事故の発生状況を基に安全対策を強化したりすることができます。また、データに基づく政策立案は、住民からの信頼を得るための重要な手段でもあります。質の高いサービスは、住民満足度の向上に直結します。
③住民とのコミュニケーション強化
データ分析を通じて、住民の声を的確に把握することができます。アンケートデータや問い合わせ内容を分析し、それに基づいた政策を立案することで、住民の期待に応えることが可能となります。例えば、SNSや専用アプリを活用した意見収集は、住民との接点を増やし、透明性のある行政運営につながります。行政に対する住民からの信頼感を高めることは、自治体運営の成功に欠かせません。
自治体によるデータ分析の課題
データ分析の導入には、多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。
①データ収集・管理の難しさ
自治体が扱うデータは多岐にわたるため、形式や品質が統一されていない場合があり、異なる部門間でのデータ共有の難しさが問題になるケースもあります。このため、データの整理や一元管理が重要となりますが、専門知識を持つ人材が不足していることがしばしば障害となります。
また、データの正確性を保つためには、定期的な更新や管理体制の整備が必要です。これを怠ると、分析結果が誤解を生む可能性があり、政策の効果が損なわれるリスクもあります。
②プライバシー保護と住民の信頼
住民データを扱う際には、個人情報の漏洩リスクに十分配慮する必要があります。近年ではサイバー攻撃のリスクが増加しており、自治体が保有するデータが標的となることも珍しくありません。そのため、情報セキュリティの強化や、データ利用に関する住民への明瞭な説明が欠かせません。
さらに、住民がデータ活用に対して不安を抱いている場合、自治体の取り組みに対する信頼を損なう可能性があります。そのため、プライバシー保護に関するポリシーや具体的な取り組みを明確に示し、住民の理解を得ることが重要です。
③ツール導入のコストと技術的なハードル
高度なデータ分析ツールの導入には、初期投資が必要となります。また、ツールを効果的に活用するためには、職員がツールの操作方法や分析手法を習得する必要があります。しかし、研修コストや技術的なハードルが高いため、導入が進まない自治体も少なくありません。
加えて、導入後の運用においても、分析結果を実際の政策に結びつけるための専門知識が求められます。このため、外部の専門家と連携する必要がある場合も多く、さらなるコストが発生する可能性があります。
自治体におけるデータ分析ツール導入事例
福島県会津若松市：ヘルスケアパスポート
会津若松市では、「スマートシティ会津若松」の一環として、デジタル技術を活用したヘルスケアサービスの構築に取り組んでいます。ヘルスケアサービスの一つである「ヘルスケアパスポート」は、市民が登録した日々のバイタルや生活習慣など、複数のヘルスケアデータを適切に一元化、共有できるサービスです。また、市民はヘルスケアパスポートを通じて、医療機関での診察情報をスマートフォンでかんたんに閲覧できます。医療従事者間だけではなく、市民も巻き込んで医療情報を共有することにより、市民の健康に対する意識の向上を目指しています。
和歌山県：空き家分布推定モデル
和歌山県には多くの空き家が存在しており、空き家の調査に多くの工数がかかっていました。効率的な空き家調査を行うために、和歌山市が保有する行政データと、国が保有するミクロデータを活用した機械学習モデルを構築し、空き家の分布を推定する取り組みを行いました。このシステムの構築により、93％の精度で空き家を予測できるようになり、空き家の調査にかかる手間を減らすことに成功しました。
現在は、他の自治体のデータ活用を推進するためのツール作成にも取り組んでおり、今後さまざまな自治体における活用が期待されます。
埼玉県戸田市：教育データベース
「誰一人取り残されない、子供たち一人一人に応じた支援の実現」を目指す戸田市は、デジタル庁・こども家庭庁と協力し、市内の子どもに関するデータを一元的に管理・活用する「教育データベース」の構築を進めています。データベースの構築により、不登校・虐待などの問題を抱えており、潜在的な支援が必要な子どもを早期に発見し、必要な支援を提供することを目的としています。
戸田市は、市の広報でデータベース構築の旨や、データの活用方法等を市民に周知するとともに、個人情報保護法に基づく手続きを完了したうえでデータの提供を受けるなど、情報漏洩対策を十分に行い、データベースの構築を進めています。
自治体DXにはRESERVA
自治体DX化を推進するために、予約システムの導入をおすすめします。窓口相談や施設利用の予約管理だけでなく、オンライン決済や顧客管理、集客などの自動化が可能です。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要のため、自治体の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。
現在、多数の予約システムがありますが、なかでも実際に自治体への導入事例のあるRESERVA（レゼルバ）を推奨します。RESERVAは全国30万社という導入数を誇る、国内シェア率No. 1の予約システムです。政府機関・自治体では500以上のプロジェクトで活用されており、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があります。初期費用は無料でかんたんに設定できるため、予約システムの初導入となる自治体にもおすすめです。
まとめ
自治体がデータ分析を活用することで、業務効率化や住民サービスの向上が期待できます。しかし、データ管理やプライバシー保護といった課題も存在します。これらを克服するためには、適切なツールの導入と職員のスキルアップが不可欠です。
また、予約システムを導入することで、自治体DXを効率的に推進できることも示しました。DXを推進するにあたって課題を抱えている自治体の職員は、ぜひ本記事を参考にしてください。
RESERVA lgでは、今後も自治体DXに関する学び、挑戦を取り上げていきます。
