2021年にデジタル庁が創設されたことにより、日本のDX推進政策は大きく前進しました。中でも、デジタル技術を活用し行政サービスに変革を起こす「自治体DX」は急務であり、さまざまな施策が打ち出されています。
地域住民にとって便利で暮らしやすい環境を、デジタル技術を活用して整えていくにあたり、役所の窓口の改善は必須項目です。本記事では、自治体DXの中でも窓口DXに焦点を当て、メリットや具体的な取り組み、導入事例について解説していきます。
自治体窓口DXとは?
デジタル技術やデータを活用し、業務の効率化と住民の利便性の向上を図る取り組みである自治体DXの中でも、窓口業務の変革に焦点を当てているのが自治体窓口DXです。日本政府は、デジタル庁を中心に自治体窓口DXに特に注力し、さまざまな政策を打ち出しています。その背景には、自治体の業務の中でもっとも国民とかかわる部分である窓口業務をDX化することで、国民がデジタル社会の恩恵を受けられるようにするという意図があります。
デジタル庁の考える自治体窓口DXの最終形態は「書かない、待たない、回らない、ワンストップ窓口」であり、それを実現するために「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」が進められています。
具体的には、マイナポータルや地方自治体独自の電子申請サービスの活用によるオンライン申請の推進や、デジタルシステムの導入による窓口業務の効率化といった取り組みがなされています。
自治体窓口DXのメリット
「書かない、待たない、回らない、ワンストップ窓口」が実現すると、国民の利便性は圧倒的に向上します。まず、戸籍謄本や住民票の発行の際、平日の日中に時間を作って市役所まで足を運ぶ必要がなくなります。場所を気にせず自身の端末から申請し、いつでも発行できると、手続きのハードルが下がります。
また、デジタルシステムを用いた業務の効率化で窓口の回転率が上がり、利用者の待ち時間が短縮されます。これにより職員の負担も軽減され、空いた時間で別の業務を進めることが可能です。
さらに、これまでの自治体窓口は、受け持っている業務の幅が広いため、手続きの内容ごとに複数の窓口を回る必要がありました。しかし、デジタルシステムによる国民情報の一括管理や、手続きの流れをデータベース化することによって一度に複数の手続きが済ませられるようになります。
このように、自治体窓口DXには国民生活の向上にかかわる多くのメリットが存在し、自治体の運営の負担軽減にもつながるため、多くの地域で積極的に取り組まれています。
自治体窓口DXに向けた取り組み
自治体窓口DXの推進を目指して、デジタル庁は「自治体窓口DXSaaS」、「窓口BPRアドバイザー派遣事業」の2つの取り組みを自治体に提供しています。
自治体窓口DXSaaS
デジタル庁は、自治体窓口DXSaaSを、「デジタル庁のガバメントクラウド上に、複数のベンダーに『窓口DXに資するパッケージシステム』を支度していただき、そのシステムの機能を『サービスとして自治体に提供してもらう』」システムであると説明しています。つまり、デジタル庁が厳選した窓口DXに役立つサービスを、各自治体がクラウド上から選択し、窓口DXの推進に活用するという試みであり、自治体が窓口DXに取り組む際のハードルを低くすることを目的としています。
この取り組みにより、自治体は、ラインナップされた複数の窓口DXSaaSの中から、自分の地域が抱える課題や思い描く将来の窓口の姿にあわせたサービスを選定することが可能になります。また、ベンダーも自らの提供するSaaSが自治体に選ばれるために試行錯誤し、パッケージの機能やサービスを充実させたり、課題を見つけ迅速に改善したりすることで質を高めることができます。
窓口BPRアドバイザー派遣事業
窓口BPRアドバイザー派遣事業は、自治体窓口DXにおいて欠かせない2つのステップである「業務改革(BPR)」と「システム活用」のうち、業務改革に焦点を当てた取り組みです。具体的には、自治体窓口DXに精通した地方自治体職員等をBPRアドバイザーに任命し、アドバイザーがこれから自治体窓口DXを推進したい他の地方自治体をサポートしていく事業です。窓口DXに積極的に取り組もうとしている自治体を公募し、選ばれた自治体にデジタル庁が旅費や報酬を負担してBPRアドバイザーを派遣します。より多くの地方自治体が窓口DXに向けた取り組みを活発に行えるようにするためのきっかけづくりを目的としています。
自治体窓口DXの先進事例
上記の2つの取り組みを活用し、窓口DXを積極的に推進している自治体の取り組み事例を紹介します。
北海道北見市
北海道北見市は、他の自治体に先駆けて「書かないワンストップ窓口」を実現しました。この窓口は、転居や婚姻など、ライフイベントに付随して発生する様々な手続きについて、カウンターを移動することなくその場で手続きが終わる「ワンストップ窓口」と、住民の書く手間を省略する「書かない窓口」を組み合わせたものです。窓口支援システムを導入して「書かない」を実現したうえで、そのシステムが付随して必要になる手続きを自動判定し提案することで、その場で受付が可能になります。
ただ単にデジタル化を行うのではなく、住民と職員の双方が楽になるサービスを重視することで、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を目指す北見市の取り組みは、先進事例としてデジタル庁からも高く評価されています。
参考サイト:デジタル田園都市国家構想
宮城県仙台市
宮城県仙台市では、自治体窓口DXの実現に向け、2020年にデジタル化ファストチャレンジを開始しました。このチャレンジは、窓口手続きのデジタル化、デジタルでつながる市役所、デジタル化で市役所業務の改善の3項目に分類されています。
窓口手続きのデジタル化では、押印の廃止や添付書類のデータ化、キャッシュレス決済の導入が進められました。さらに、証明書などの交付手続きもスマホから申請可能になり、「行かない窓口」を部分的に実現しました。また、デジタルでつながる市役所では、子育てや介護に関するオンライン市民相談の実施が実現し、デジタル化で市役所業務の改善では、会議へのweb参加の促進などの内部改革が積極的におこなわれています。
このように、自治体独自の目標やアプローチで窓口DXに取り組んでいる仙台市も、成功事例として注目されています。
参考サイト:仙台市 デジタル化ファストチャレンジ
自治体DXにはRESERVA
自治体DXには、豊富な導入実績を持つRESERVAがおすすめです。これは国内No.1予約システムで、26万社以上の企業や500以上の政府機関・地方自治体が利用している実績があります。予約の自動化はもちろんのこと、決済や顧客管理、集客支援など、100を超える多機能性を誇ります。これにより、自治体の業務が格段に効率化されます。また、初期費用が無料で、サポート体制も充実しているため、予約システム導入が初めての自治体にも適しています。
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まとめ
今回は、近年積極的に取り組まれている自治体DXの中から、自治体窓口DXに焦点を当てて詳細を解説しました。デジタル庁は、自治体窓口DXを実現するためにさまざまな施策を打ち出しています。自治体の窓口運営の改善を検討している人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。