日本各地の自治体が直面している膨大な紙文書の管理問題や、市民サービスの向上を目指す中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが急速に進んでいます。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークの推進や業務のリモート化などが急務となったことにより、DX化に向かう流れになったことが主な要因と考えられます。特にペーパーレス化は、DX推進の重要な一手段として、効率化やコスト削減、さらには環境配慮にも大きく寄与しています。
本記事では、ペーパーレス推進による自治体DX化の目指す方向性、そのメリットと抱える課題、そして実際にペーパーレス化に成功した自治体の事例を通じて、その具体的な成果や取り組みについて紹介します。
自治体DXとは
自治体DXとは、行政サービスの質を向上させるために、最新のデジタル技術を活用し、自治体の業務やサービス提供方法を根本から見直し、改革する取り組みです。これにより、住民へのサービスの迅速化、透明性の向上、コスト削減などが期待されます。
加えて、SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)の達成に向けてもDX化は重要な取り組みです。DX化による業務の効率化や省人化は、SDGsの達成にはほとんど必須であると考えられており、同時に日本が直面する人口減少への対応策になっています。そのため、DX化を活発に進めている自治体が増えています。
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、 書類や文書を紙の形式で保持・管理する代わりに、電子データとして管理することを指します。紙消費量の削減または排除によって、業務の効率化を図ると同時に、環境保護にも貢献します。自治体においては、行政手続きのスリム化や情報共有の迅速化が可能となります。
ペーパーレス化のメリット
①環境への貢献
紙の使用量を減らすことで、森林資源の保護や環境保全に寄与します。また、紙の生産から廃棄に至るまでの過程で発生する二酸化炭素量は意外にも高く、ペーパーレス化を進める自治体の環境負荷を軽減できます。
②業務効率化と生産性向上
情報のデジタル化によって、文書の検索や職員同士・部署間での共有が容易となり、業務のスピードが向上します。また、物理的な書類保管スペースが不要になるため、オフィス環境の改善にもつながります。
③コスト削減
ペーパーレス化は、自治体においてコスト削減の重要な要素となります。従来の紙ベースの業務では、紙やプリンターインクの購入費や郵送費など、多くの費用が発生していました。しかし、ペーパーレス化によりこれらのコストを大幅に削減することが可能です。
ペーパーレス化の課題
セキュリティ対策
ペーパーレス化において、セキュリティ対策は極めて重要な課題です。デジタル化された情報は、ハッキングやデータ漏洩のリスクに晒されるため、強固なセキュリティ対策が必要です。総務省は「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和 4 年 3 月版)」を提供しており、地方自治体のデジタル化に伴い、セキュリティ対策を強化しています。
具体的な対策としては、高度な暗号化技術を導入し、アクセス制御や監視システムを強化することで、情報の安全性を確保します。また、定期的なセキュリティチェックや脆弱性診断を行い、セキュリティの脆弱性を早期に発見し対処することも重要です。
職員のデジタルスキル向上
ペーパーレス化を実現するためには、自治体職員のデジタルスキル向上が必須です。デジタル化された資料の扱い方や危機管理は、今まで利用していた紙の資料と根本的に異なります。紙資料は、実際に手に取って読み、棚や箱に保管する一方、デジタル資料は電子機器を使用して読み、クラウドやデータベース内に保管します。そのため、デジタルツールの適切な操作や、情報セキュリティの意識向上が必要です。
職員のデジタルスキル向上には、定期的なトレーニングや教育プログラムの提供が重要です。さらに、デジタル化の専門家の配置や相談窓口の設置も有効です。職員がデジタルツールを効果的に活用できるよう支援することで、ペーパーレス化を促進します。
法的規制や適合性への対応
ペーパーレス化に際しては、個人情報保護法や情報セキュリティ基準などの法的規制や、その適合性への対応が欠かせません。自治体はこれらの規制や基準を遵守するために、適切な情報管理システムの導入や運用を行う必要があります。法律の改定や変更に柔軟に対応する体制も、順次整えていくべきです。さらに、法的リスクを評価し、リスクに対する適切な対策を講じることが重要です。これらの対応策を実施することで、ペーパーレス化の推進を円滑に進めることができます。
ペーパーレス化の具体的な事例
岡山県鏡野町:電子申請アプリ
岡山県鏡野町では、マイナンバーカードとスマートフォンを利用するオンライン申請アプリを運用し、紙の使用量を大幅に削減しました。オンラインシステムを導入することで、住民は自宅から24時間いつでも手続きが可能となり、書類の作成時間や窓口での待機時間が削減されました。また、アプリにキャッシュレス決済も搭載されているため、郵送請求の証明書等の手数料も、クレジット決済が可能となりました。
徳島県議会:会議資料のデジタル化
徳島県議会では、2021年9月にペーパーレスシステムを提供する「moreNOTE」(モアノート)を導入し、会議に使用する資料をデジタル化したことで、年間40万枚の紙を削減しました。同議会は、2019年(令和元年)7月に行った第3回検討会議において、議会ICT化の一環としてペーパーレス化を検討しており、約2年の歳月をかけて、その実用に至りました。議会資料の準備に要する人件費と時間を大幅に削減できた他、会議資料をカレンダーに紐づけて管理することで、資料が必要なときにかんたんに探し出すことが可能となりました。
神奈川県庁:電子文書管理システムの導入
神奈川県庁では、文書の作成から保管、廃棄までを電子的に管理する、富士電機のシステム「e-自治体 文書管理システム」を導入しました。これにより、書庫に持ち込まれる箱が年間で約1割削減され、書庫の物理的なスペース確保と同時に、紙の廃棄量削減を実現しました。
さらに、電子文書は物理的な紙の文書と比べて、火災や水害などの自然災害からのリスクを軽減することができます。実際に同県庁では、2011年3月の東日本大震災で役所が被災し、紙で保管していた公文書が広範囲に滅失・毀損しています。このような事態を回避するためにも、紙文書の電子化は必要不可欠です。
自治体DXにはRESERVA
自治体DX化を推進するために、予約システムの導入をおすすめします。 窓口相談や施設利用の予約管理だけでなく、オンライン決済や顧客管理、集客などの自動化が可能です。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要のため、自治体の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。
現在、多数の予約システムがありますが、なかでも実際に自治体への導入事例のあるRESERVA(レゼルバ)を推奨します。RESERVAは全国27万社という導入数を誇る、国内シェア率No. 1の予約システムです。政府機関・自治体では500以上のプロジェクトで活用されており、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があります。初期費用は無料でかんたんに設定できるため、予約システムの初導入となる自治体にもおすすめです。
まとめ
この記事を通じて、自治体におけるペーパーレス化の重要性を説きました。 ペーパーレス化に向けた取り組みは、セキュリティ対策や職員のデジタルスキル向上、法的規制への対応などの課題も存在しますが、これらを克服することで、自治体の業務効率化が可能です。
また、予約システムを導入することで、自治体DXを効率的に推進できることも示しました。DXを推進するにあたって課題を抱えている自治体の職員は、ぜひ本記事を参考にしてください。
RESERVA.lgでは、今後も自治体DXに関する学び、挑戦を取り上げていきます。