道路交通法の改正により「特定小型原動機付自転車」という区分が新設され、電動キックボードの利用について、16歳以上であれば免許不要、ヘルメットの着用が努力義務となり、2023年7月から新たなルールで利用できるようになりました。
電動キックボードは軽量かつコンパクトで、騒音や排出ガスもなく、便利で環境に優しい乗り物です。駅やバスなど公共交通機関との組み合わせがしやすく、ワンマイルの移動をはじめ、新たな交通手段の選択肢のひとつとして利用できます。また、自動車やバイクと異なり免許が不要なため、都市部の短距離の移動だけでなく、農村部の新たな交通手段や、病院や大学など大規模な施設内の移動手段としても活用の幅が広がることが予想されます。
電動キックボードや自動運転バスといった次世代モビリティは、応用可能性を検討するため、特定のエリアでシェアリングサービスを展開したり、参加者を募って実証実験を行ったりと、新たな移動を実現するための取り組みに注目が集まっています。そして、このようなサービスを無理なく提供するには予約業務の効率化が欠かせません。予約の自動化により、モビリティの選択から利用までの手続きがスムーズに行えるだけでなく、利用データの収集なども可能になります。
この記事では、注目が高まっている電動キックボードの実証実験やシェアリングの予約を行っている事例を紹介します。
参考ページ:警察庁「特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について」
電動キックボードの実証実験とは
電動キックボードの実証実験とは、電動キックボードのシェアリングサービスを含む、試乗の効果や課題を実際の環境で評価するために行われるテストを指します。
実証実験では、電動キックボードを提供する事業者や関係者が協力し、特定の地域や都市において参加者がキックボードを利用します。その際、主催者は参加者の数や利用パターンや移動距離、時間、満足度、安全性などのデータを収集し、サービスの効果や持続可能性を評価します。
実証実験の結果は関係者や公的機関などによって活用され、より持続可能なモビリティの実現に向けた指針や戦略の策定に役立てられます。このような実証実験を通じて、電動キックボードの社会的な有益性や普及可能性について周知していきます。
実証実験の背景と需要
電動キックボードの実証実験は、都市の交通状況や移動手段の変化に対応するために行われています。特にシェアリングサービスの実証実験が行われている背景として以下が考えられます。
- 持続可能なモビリティの需要増加
持続可能性の観点から、より環境に優しい移動手段への需要が増えています。電動キックボードは、ガソリンを使わず電気で動くため、二酸化炭素の排出量を削減することができます。これにより、都市の交通渋滞や大気汚染の軽減に貢献することが期待されます。 - 都市部の短距離移動に関する課題
都市部では、目的地までの短距離移動(ラストワンマイル)の手段が課題となっています。なかでも電動キックボードは、コンパクトで扱いやすく、シェアリングポートで貸出と返却ができるため、短距離移動に適した手段として注目されています。 - モビリティシェアリングの普及
シェアリングエコノミーの広まりにともない、モビリティシェアリングが急速に普及しています。電動キックボードもその一環として注目を浴び、利用者の増加が見られます。 - テクノロジーの進歩と利便性の向上
電動キックボードの技術が進化し、バッテリーの持続時間や速度、操作性が向上しています。これにより、より多くの人々が利用しやすくなっており、需要が高まっています。
実証実験の目的と意義
実証実験の目的は、電動キックボードに関わるサービスの有効性や持続可能性を検証し、運営上の課題や改善点を明らかにすることです。また、結果にもとづいて、サービスの改善や拡大、法規制の見直し、交通政策の立案などにつなげることも重要な目的となります。
電動キックボードシェアリングの実証実験によって、サービスの評価と改善、持続可能なモビリティの推進、都市計画と政策立案、技術革新とビジネスモデルの発展など、幅広い観点からモビリティのあり方を検証できます。
実施地域や期間
実証実験は、地域の交通状況やニーズ、法規制、事業者の計画などを考慮して計画されるため、地域ごとに異なる実施地域や期間が設定されます。また、実証実験の期間もさまざまで、数週間から数ヶ月程度の期間で行われる場合や、年間を通して複数回にわたって行われることもあります。
実証実験に関心がある場合は、自治体や関連する交通機関、電動キックボードシェアリング事業者のウェブサイトなどを参照することをおすすめします。
次世代モビリティの重要性
次世代モビリティの役割とメリット
次世代モビリティは、自動運転に代表される先端テクノロジーを活用した進化型の移動手段を指し、AIを活用したオンデマンドサービスやシェアリングサービスなども含まれます。次世代モビリティの実証実験やシェアリングサービスを利用することで、持続可能な移動手段の実現や交通システムの改善が見込めます。
また、次世代モビリティによって移動手段の多様化が進み、カーシェアリング、バイクシェアリング、ライドシェアリングなどのモビリティサービスの利用が広まります。利用者は自身のニーズや状況に合わせて柔軟に移動手段を選択できるため、経済的なメリットや利便性が増します。
さらに、モビリティサービスやテクノロジーの発展が進めば、新たな雇用創出やビジネスチャンスが生まれる可能性があります。また、モビリティ関連産業への投資が経済成長を牽引することも期待されています。
次世代モビリティの役割とメリットは、環境への負荷削減、交通渋滞の緩和、モビリティの多様化と柔軟性、新たなビジネスモデルと経済成長など、持続可能な移動社会の実現に向けたさまざまな面で影響をもたらします。
モビリティ予約の必要性
このようなモビリティの実証実験やシェアリングサービスを効率化するには、いつ・誰が・どのようにモビリティを利用するのか、スムーズな移動体験を提供するためのシステムが必要です。そのためには予約業務を効率化することが欠かせません。
実証実験という特定の期間に限定する場合は、特に予約システムを活用することで、モビリティと予約者のバランス配分が可能となります。事前に予約をすることで、希望の移動手段や出発時刻を確保することができ、移動計画の柔軟性や時間の節約にも寄与します。
加えて、モビリティの予約には利用データの収集や分析の機会があります。予約システムを通じて得られるデータは需要予測や移動パターンの把握に役立ちます。
次世代モビリティの実証実験・シェアリングサービスの予約システム利用事例
ここでは、電動キックボードをはじめとする次世代モビリティの実証実験やシェアリングサービスに予約システムを導入している事例を紹介します。
愛知県豊田市鞍ヶ池公園「くらモビ」
参考:鞍ケ池公園 公式サイト「くらモビ」
くらモビ乗車で使われている便利な予約ページ:https://reserva.be/kuramobi
くらモビは、歩行による移動をサポートする最新のモビリティです。鞍ヶ池サービスセンター内にある「くらモビSTATION」で無料で貸し出しを行っています。利用時にはインストラクターによるレクチャーがあり、安心して乗ることができます。
予約サイトは1時間単位で乗車の予約ができるようになっています。残席数が表示されているため、家族や友人同士といった複数人の予約計画を立てる際に便利です。また、予約サイト上で注意事項が記載できるようになっているため、予約者への注意喚起をすることもできます。
大阪府大阪市花博記念公園鶴見緑地「つるモビ」
参考:花博記念公園鶴見緑地「つるモビ」
つるモビ乗車で使われている便利な予約ページ:https://reserva.be/mobility
花博記念公園内の移動をスムーズにする「つるモビ」は、歩行による移動をサポートするモビリティです。広大な敷地を誇る鶴見緑地内の散策を多くの方々、特に移動に困り事がある方々に楽しんでもらうため、当面の間、無料で利用することができます。
モビリティは立ち乗りタイプと座り乗りタイプの2種類があり、予約時にどちらかを選べます。また、モビリティの種類ごとに台数と色の区別化がされており、予約時に迷うことなく予約できます。
EVマイモビリティ「FreeMile(フリーマイル)」公道体験会
参考:Free Mile公式サイト
電動キックボードの試乗会で使われている便利な予約ページ:https://reserva.be/freemile
Free Mileは、電気で駆動する、日本基準でつくられたEVマイモビリティです。二酸化炭素の排出や臭いもなく、モーター音も静かなため、乗る人の快適さだけでなく、周囲の人や環境にも配慮しながら走れるサステナブルなモビリティです。
Free Mileは公道での試乗イベントを全国で開催しています。試乗イベントはある特定の期間に実施されることが多いですが、予約サイトを設置することで不定期開催の試乗会の予約をスムーズに受け付けることができます。
兵庫県加東市「SURF THE ROAD ON KICK BOARD(サーフザロードオンキックボード)」
参考:加東市観光協会「SURF THE ROAD ON KICK BOARD」
電動キックボードのレンタルで使われている便利な予約ページ:https://reserva.be/yuranokato
兵庫県加東市にあるレンタルスペース「CATALYST〜語り里〜ゆらの」内では、電動キックボードのレンタル事業を行っています。
予約サイトには電動キックボードのマニュアルのリンクが挿入され、利用希望者は事前に使用説明書を確認できます。また、キャンセルポリシーなど予約時の必要事項はサイト上に集約されており、電動キックボードの情報共有がひとつのサイトで完結できるようになっています。予約は前日の正午まで受け付けています。
HANEDA INNOVATION CITYと羽田空港第3ターミナル間の自動運転実証実験
鹿島建設株式会社はBOLDLY株式会社と連携し、羽田空港に隣接する大型施設HANEDA INNOVATION CITYと羽田空港第3ターミナル間の公道で、2023年1月5日から3月31日にかけて長期実証実験を実施しました。
実証実験は事前予約制でしたが、予約制にすることで運行スケジュールと予約者の管理を効率化することができます。2023年7月現在、自動運転が実際に開始されています。
沖縄県那覇市首里城公園「次世代モビリティ」実証実験
沖縄県の首里城公園では、2023年3月10日から28日の期間、「見せる復興」の一環として体感型の自動運転車両を試験運用しました。実証実験は、国営沖縄記念公園事務所が、沖縄県、一般財団法人沖縄美ら島財団、企業と連携して実施し、VR(仮想現実)やデータを組み合わせて復元した首里城を可視化する試みもありました。
次世代モビリティの実証実験は、1組4人までの定員で、1日8往復のペースで進められました。首里城への次世代モビリティの導入は正式には決まっていませんが、実証実験の結果をふまえて今後改良が進めば、首里城観光の特色のひとつとして次世代モビリティが注目されるでしょう。
栃木県「栃木県ABCプロジェクト」
栃木県では、県内の路線において、2025(令和7)年度に自動運転バスが本格運行し、多くの市民に利用してもらえるよう、2020(令和2)年度から2023(令和5)年度の間、自動運転バスの実証実験を進めています。公式サイトでは自動運転バス走行の仕組みの解説のほか、実証実験の様子等を随時公開しています。
実証実験の参加者の募集は公式サイトで通知され、希望者は予約サイトから申し込むようになっています。予約サイトから乗車希望を募ることで、予約開始から当日までの導線がスムーズとなり、複数回、または別エリアでの実証実験を行う際にも予約サイトが活用できます。
電動キックボードの実証実験、シェアリング予約にはRESERVA
電動キックボードの実証実験やシェアリングサービスの成功において、予約システムは重要な鍵のひとつといえます。予約システムの導入によって、利用者は必要な時に必要なキックボードをあらかじめ確保できるため、利便性が向上します。運営側にとっても、予約情報をもとに必要な数のキックボードが準備でき、キックボードの在庫不足や過剰在庫の問題を軽減し、運営の効率化が図れます。さらに、利用者の予約情報や利用パターンなどのデータを収集することによって、利用者の需要傾向や利用時間帯の把握、サービスの改善点の特定などが可能になります。収集したデータは、将来の運営改善や戦略立案に役立ちます。
電動キックボードのシェアリング、実証実験向けのイベント予約におすすめなのが、実際の現場でも活用されている予約システムRESERVAです。RESERVAは操作性がシンプルでわかりやすいため、どの世代でもスムーズに利用することが可能です。また、人口20万人を超える規模の自治体から人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、安心して利用可能です。
次世代モビリティのシェアリングサービス、実証実験の予約に最適なRESERVAの詳細は、こちらをご覧ください。
まとめ
ある地域や施設、農村部での便利な移動、環境への配慮などの視点から、次世代モビリティの利用が注目されています。今回は、電動キックボードの実証実験、シェアリングに予約システムを利用している事例を7つ紹介しました。今後も新たな移動体験を求めて、シェアリングやそれにともなう実証実験の事例数は増えることが予想されます。
予約DX研究所では、今後も自治体のDX化、官民連携に関する国内事例を取り上げていきます。