共創プラットフォームで対話を促進|アイデアの結集による課題解決

近年、総務省はデジタル社会の実現に向けて、最新技術の活用を通じて地域住民の利便性や行政サービスの質向上を目指す取り組みである、自治体DXを推進しています。そのような中で、地方公共団体と国の関係者が誰でも参加でき、意思の伝達や意見交換を自由に行えるコミュニケーションプラットフォームである、「共創プラットフォーム」が注目されています。

そこで、本記事では共創プラットフォームの概要から、自治体DXにおける課題、共創プラットフォームを進めるメリット、そして自治体におけるその活用事例まで紹介します。

共創プラットフォームとは

2020年に運用が開始された共創プラットフォームは、地方公共団体と政府機関の職員であれば誰でも参加可能な、Slackを活用した「直接対話型」のコミュニケーションプラットフォームです。共創プラットフォームは、誰もが自由に課題やアイデアを投稿できる自由闊達な意見交換の場となることを目指しています。行政は基本的に組織単位でプロジェクトを動かすため、意見交換や提案は、地方公共団体や国などの組織ごとに取りまとめられ、その上で関連する各組織間でやり取りを行うのが通例です。これに対し共創プラットフォームでは、地方公共団体や国の職員同士が個人間でやりとり可能です。このように、意見の交換や課題解決に時間がかかっていた従来の構造に対し、共創プラットフォームを活用することにより、スピーディーかつ対等な関係に加え、個人単位での情報発信や意見交換、提案を実現しました。

画像引用元:デジタル庁ニュース「行政のDXを加速させる「共創プラットフォーム」とは?

また、2025年6月1日時点において、共創プラットフォームには、全国1479の地方公共団体から約11500人、​41の政府機関から約2200人が参加しています。Slack上では「チャンネル」と呼ばれるチャットグループが政策テーマごとに作られており、チャンネル数は130以上に及びます。例えば「ガバメントクラウド」というチャンネルは、政府共通クラウドサービスの利用環境であるガバメントクラウドの回線や構成、利用料、マネージドサービスといった利活用に関する議論の場となっており、活発な情報共有や意見交換が行われています。また「デジタル人材」というチャンネルでは、デジタル人材に求められるスキルや知識について、議論や資料共有などを通して参加者同士で日々学び合い、知識のアップデートが図られています。

画像引用元:ジチタイワークスWEB「「デジタル改革共創プラットフォーム」の歩き方

自治体DXにおける課題

地域住民に対するサービスの質向上や業務効率改善のため、自治体はDX化を推進する必要があるものの、いくつかの課題を抱えています。

対応の後回し

自治体が抱える課題は、少子高齢化やインフラ老朽化、災害対策など、多岐にわたります。加えて、住民へのサービスといった基本業務もあるため、業務のDX化が必要であるとは理解しつつも対応できず、後回しになっているのが現状です。自治体DXの効果はすぐに見えづらいこともあり、ほかの課題が重要視されてしまうケースも珍しくありません。また、日常業務に追われて時間がなかったり、デジタルツールに苦手意識を持つ職員が多かったりすることも、DX推進が進まない要因のひとつです。しかし、共創プラットフォームであれば、導入に時間がかからず、操作も容易なため、DX導入の第一歩として気軽に取り入れることが可能です。

予算の確保が困難

DX推進は、システムの導入や人材育成などにより、多額の費用がかかりますしかし、多くの自治体では財政状況が厳しく、DX推進のための予算の十分な確保が困難な状況となっています。人口減少による財源不足や社会保障費の増加などにより、自治体の財政が逼迫している地方も少なくありません。このような中で、共創プラットフォームは基本的に一切料金がかからず、導入も非常にかんたんなため、はじめやすいDX施策と言えます。

自治体が共創プラットフォームを進めるメリット

自治体が共創プラットフォームを推進することによるメリットを以下に3つ紹介します。

誰もがスピーディーでかんたんに情報共有できる

共創プラットフォームの最大のメリットは、地方公共団体と国の職員であれば誰でも自由でかんたんにやり取りを行えることです。共創プラットフォームが生まれたことにより、さまざまなテーマにおいて、関心や意見、問題意識を持つ全国の職員が議論や意見交換できるようになりました。これにより、自治体が抱える課題解決や行政サービスの質向上に大きく貢献できます。

予想外の斬新なアイデア

共創プラットフォームでは組織や部署の垣根を越えて意見交換が行えるため、異なるバックグラウンドや専門知識、ノウハウを持つ人々が集まりやすくなります。これにより、さまざまな人間が一体となってひとつのテーマにおいて意見を出せるため、自分達では思いつかないような予想外のアイデアが生まれる可能性が高まります。

咀嚼された情報の入手

共創プラットフォームのチャンネル内では、国からの通知に関する意見交換も行われています。従来、国からの通知は自分自身で解釈するものでしたが、共創プラットフォームでは多くの利用者が意見交換をした「咀嚼された情報」を閲覧できます。このように、難解で解釈に時間がかかる情報が、多くの利用者によりわかりやすく正確な内容にかみ砕かれ、それを確認できるため、行政における業務スピード向上につながります。

自治体における共創プラットフォームの活用事例

日野市地域共創プラットフォーム

日野市地域共創プラットフォームとは、まちのさまざまな声やアイデアを集めて見えるようにする日野市のオンラインプラットフォームです。リアルだけでなくオンラインの場も活用することで、アイデアを時間や場所に限定されず、できるだけリアルタイムで人と人が共有できるようになります。また、ワークショップなどを通してテーマごとにアイデアを考え、集まった声やアイデアをシェアすることにより、プロジェクトやアクションにつなげることを目指します。例えば、現在進行中の取り組みとして、「日野市国土強靭化地域計画」や「日野市をバズらせるアイデア大募集」などが挙げられます。

やまがた社会共創プラットフォーム

やまがた社会共創プラットフォームは、さまざまな知的資源を有する山形県内の高等教育機関と、地元の産業界、金融界、医療界、山形県および県内自治体が密接に連携し、地域の課題解決と新たな価値の創出に取り組み、地域の持続的発展を目指すことを目的に設立されました。山形県内大学生の地元定着率向上、山形県内高等学校からの県内大学進学率向上、女性の活躍・地域定着を重点事項として、全加盟機関が総力を挙げて取り組んでいます。

数ある取り組みのひとつの例として、地域おこし協力隊の活動充実に向けた研修会が挙げられます。地域おこし協力隊では、隊員が理想と現実とのギャップに悩み、十分に活動に取り組めず、途中退任してしまうことが課題となっています。そこで本取り組みでは、協力隊員が抱えるギャップの軽減や活動における課題の解決につなげることを目指した協力隊員・行政職員向けの研修会を開催しました。具体的には「協力隊の活動内容とは」「うまくいっていること、困っていること」などをテーマに、それぞれが大切にしているポイントやその理由について、参加者同士で対話を行うワークショップを実施することにより、課題解決に取り組んでいます。

CO-SHA Platform

「CO-SHA Platform(コーシャプラットフォーム)」は、未来の学校施設づくりを支援する共創プラットフォームです。主に小中学校の学校設置者や教職員を対象に、学校施設の整備や活用を進めるための、オンライン・オフラインでの共創・共有の場づくりを支援します。

CO-SHA Platformによる学校の場作りの支援として、主に3つの取り組みが挙げられます。ひとつ目が、イベント&コミュニティづくりです。未来の学校施設のあり方を探るワークショップを開催や関係者の横のつながり作りを支援します。2つ目が、学校施設の整備や活用にあたって参考になる取り組み事例やアイデアの紹介です。「小学校と特別支援学校の併設校」「小学校、公民館、図書館を複合させた学社融合施設」「太陽光発電設備や外壁等の断熱化により、ゼロエネルギー化を実現したスーパーエコスクール」など、全国における新たな学校づくりの取り組み事例が数多く掲載されています。3つ目が、無料相談窓口の設置です。これにより、教職員は、主に初等中等教育段階の学校に関する知見を有する「CO-SHAアドバイザー」に専門的・技術的な相談が可能です。相談にかかる費用は発生せず、構想や具体的な内容まで、どんなことでも相談できます。

自治体の共創プラットフォームにはRESERVA

画像引用元:RESERVA lg公式サイト

DXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらに集客に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。

現在、多数の予約システムが存在している中で、自治体が効率的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAを推奨します。RESERVAは、35万社が導入、800以上の政府機関・自治体も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、自治体の業務プロセスが効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる地方自治体にもおすすめです。

まとめ

本記事では、共創プラットフォームの概要やメリット、自治体における実際の活用事例まで紹介しました。共創プラットフォームは、全国において組織の垣根を超え、スピーディーかつ対等な意見交換を実現します。このように、多様な意見・知識・ノウハウが結集することで、新たなアイデアの創造や新規事業の推進など多くのメリットが期待できます。共創プラットフォームの展開を検討している自治体は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

RESERVA.lgでは、今後も自治体のDX化に関する国内事例を取り上げていきます。

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