現在、地方自治体では若い世代の都心への人口流出が進んでおり、それにともなう少子高齢化や生産性の低下が大きな問題となっています。福岡県北九州市はその課題が顕著であり、近年では毎年5000人近くの人口が減少しています。特に就職による他都市への移住・企業の撤退により生産年齢人口が著しく減退し、政令指令都市の中で最も高齢化が進展している都市となってしまいました。しかし、現在本市は市の特徴と課題を明確にすることで、的確な取り組みを行い、急速に地方創生を進めています。
また、北九州市のDXに関する取り組みは日経デジタルフォーラムと自治体DX白書が共催する日経自治体DXアワードで大賞に選ばれており、同じよう問題を抱え、自治体DXを進めようとしている自治体にとって非常に参考になるでしょう。そこで本記事では課題を的確に捉え、市の特徴にあった方法で自治体DXを進めている北九州市の取り組みについて紹介します。
福岡県北九州市の基本情報
人口 | 92万6179人(2022年6月1日時点) |
面積 | 491.69k㎡(2020年10月1日時点) |
公式サイト | 北九州市 |
市役所住所 | 北九州市小倉北区城内1番1号 |
ご当地グルメ | 焼きカレー、八幡ぎょうざ、海鮮、かしわうどん など |
観光 | 官営八幡製鐵所旧本事務所、森鷗外旧居、北九州市立美術館、河内藤園 など |
北九州市は九州最北端にあり、東京から飛行機で1時間半程度の距離に位置しています。国際産業貿易都市として、日本の近代化を支えてきた都会的な面を持ちながら、初夏の夕暮れにはホタルに出会えるほど、美しい自然に恵まれています。
本市は日経新聞社と日経xwomanが発表する「共働き子育てしやすい街ランキング2021」では5位に入っており、学校や商業施設へのアクセスがよい一方で、自然公園や海水浴場など子どもたちがのびのびと遊べる環境に囲まれてることから、県外からの移住者も増えています。自然と都会を楽しめる本市には他にはない魅力が詰まっています。
DX化推進
行政サービスのデジタル化
本市は「デジタルで快適・便利な幸せなまちへ」を使命とし、役場内のDX化を推進することで業務の効率化と対面サービスの向上を図っています。具体的には以下のような取り組みが実施されています。
⒈「書かない」「待たない」「行かなくていい」市役所実現に向けた取り組み
・証明書のオンライン申請
・案内システムの導入
・窓口の混雑状況配信
・マイナンバーカードの活用
・キャッシュレス決済の導入
・オンライン相談の実施
・デジタル窓口の開設
市民の生活様式を問わず、いつでもどこでも行政サービスを受けられる環境づくりがなされていました。来庁が必要な場合も、待ち時間が発生しないように工夫されており、スムーズな対応を行っています。
⒉「きめ細かく」「丁寧で」「考える」市役所実現に向けた取り組み
・チャットボットによる自動お問い合わせ対応
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用
・クラウドサービスの利用
・オープンデータ化
・職員の知識やノウハウのデータベース化
・ペーパーレスの促進
事務作業や繰り返し作業にはAIやRPAなどを用いて自動化し、職員の負担を軽減しています。そして、効率化したことで生まれた職員のリソースを窓口対応や相談対応、政策の考案など人の手で行う業務に注力し、市民にとってよりよい市役所づくりを進めています。
⒊「働きやすく」「いきいきと」「成果を出す」市役所実現に向けた取り組み
・単純作業にAIやRPAを活用
・テレワークの導入
業務のデジタル化を図ることで職員の負担を減らし、柔軟性のある職場環境を整えています。業務を効率化で生まれた時間を窓口対応や研修などの人間らしい業務に充てることで、職員の働きがいを生み出しています。
参考サイト:「北九州市DX推進計画」
参考サイト:「第2期北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略」
デジタルデバイド対策
行政サービスのデジタル化が進められることで市民の利便性が向上していますが、2019年度に実施された「北九州市情報化アンケート調査」では、10代から50代までのインターネット利用状況はほとんど100%であるのに対し、60代は72.9%、70歳以上は28.3%となっています。また、インターネット未利用者の56.6%は今後も利用するつもりはないと回答しており、このままデジタル化だけが進むと、インターネット利用者と未利用者の間に大きな情報格差が生じてしまいます。
そこで北九州市は、インターネットを利用していない市民にデジタル技術に興味を持ってもうために、市民センターでの初心者向け講座の実施やセミナー・講演会の開催、個別相談会、インターネット接続環境の充実を進めています。
参考サイト:「北九州市DX推進計画」
移住支援
お試し居住
北九州市では、実際に数週間住むことでまちや人の雰囲気や生活環境を確かめられるお試し居住を実施しています。お試し居住には、3日から2週間の間ゲストハウスに宿泊できるライトタイプと、1週間から2週間の間メゾネットタイプ住宅に宿泊できるスタンダードタイプがあります。
ライトタイプは短期間から利用可能で、はじめの3日間は5,000円で泊まれるため気軽に移住体験が可能です。また、地方でのリモートワークに興味がある人にも適しています。スタンダードタイプは1週間からの利用が可能なため、ゆっくりと市の雰囲気を味わうことができます。また、専属の移住コーディネーターによるサポートがあるので、住まい探しや社会活動の見学など希望に合わせて様々な体験が可能です。
バーチャル北九州市
バーチャル北九州市とは、Slack(スラック)というチャットツールを活用した移住のオンラインサロンです。ここでは移住を検討している人と移住者、市民がチャット上で繋がり、気軽に情報交換を行えます。オンライン上でも北九州市での暮らしや人々の雰囲気を感じられるため、移住に対する不安がある人にとって有用です。
参考サイト:移住促進ウェブサイト「北九州ライフ」
子育て応援
北九州市は保育サービスが豊富で、11年連続で待機児童0を達成しています。また、保育サービスコンシェルジュによる相談受付や小児救急医療機関の充実、市内496カ所への授乳・おむつ替えスペース赤ちゃんの駅の設置などが実施されているため、子育てのために北九州市に移住する人も少なくありません。子育てに焦点を当てた移住サイトも用意されており、実際に北九州市に移住して子育てをしている家庭の生の声を聴くことが可能です。
参考サイト:「北九州市移住こどもクラブ」
若い世代獲得
New U
New Uとは「あたらしいことを、はじめやすい都市。福岡県北九州市。」をスローガンに、若い世代の定住・移住の促進、若者の力による市の魅力向上に向けて地方創生の様々な取り組みを集約して発信する都市ブランドです。New Uでは、新しい働き方や新しい挑戦をしている北九州市に縁がある人へのインタビューや、新しい働き方を実現する施設の紹介、移住や起業、子育てなど北九州市で新しいことを始める人向けの情報を掲載しています。
COMPASS小倉
北九州市は日本一起業家に優しいまちを目指し、創業支援施設「北九州テレワークセンター」を国内最大級のコワーキングスペース「COMPASS小倉」としてリニューアルオープンしました。創業支援プログラムの実施や相談窓口の設置、創業に関する情報と人の集約と情報発信だけでなく、フリーランスが気軽に使えるコワーキングスペースの整備、会議室やイベントスペースを提供することで、交流の場を増やし、企業を志す人がチャンスを掴むきっかけづくりをしています。
ウーマンワークカフェ北九州
ウーマンワークカフェは、出産や子育てを経て仕事を辞めたけれどまた働きたいと考えている女性や、仕事と子育てや介護を両立したいと思っている女性をサポートする施設です。この施設では、就職支援・子育てとの両立支援・創業支援・キャリアアップ支援の4つの角度から女性の社会進出を支えています。
参考サイト:「ウーマンワークカフェ北九州」
RESERVAで自治体DXを推進
福岡県北九州市でも精力的に進められているDX化の第一歩としておすすめなのが予約システムの導入です。予約システムを導入すると、電話対応や台帳での予約管理が解消され、業務の効率化と省人化が実現します。無料で利用可能なものもあり、行政サービスに取り入れやすく市民も効果を感じやすいため、役場のデジタル化の手始めに適しています。
当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/)は、26万社以上の事業者や官公庁に導入されている国内最大級のSaaS型予約システムです。人口20万人を超える大規模な自治体から人口5万人以下の小規模な市町村での導入実績もあるため、自治体の規模を問わず、利用可能です。
【地方での新規事業立ち上げへの導入事例】
・RESERVA活用事例|ホタルのさと石原西まちなかキャンプ場【宿泊施設・キャンプ場】
・RESERVA活用事例|サウナンヤルケン【施設・キャンプ場】
【自治体で活用されている予約サイト紹介】
・ワーケーションの予約システム
・コワーキングスペースの予約システム
・宿泊施設の予約
・観光ガイド・ツアーの予約
・公共施設の予約システム
まとめ
今回は、福岡県北九州市の地方創生事例を紹介しました。市内の課題をしっかりと把握し、課題解決に向け最短距離でDX化や移住支援を実施している北九州市は今後ますますの発展が期待されます。
各自治体ではDX化に向けた動きはさらに活発化し、さまざまな業務のデジタル化が検討されるでしょう。時間の有効活用・市民の利便性向上のために、予約システムの導入など分かりやすいところからDX化に着手するのがおすすめです。