北海道札幌市|ICTとデータ活用で取り組む地方創生を紹介!

北海道札幌市|ICTとデータ活用で取り組む地方創生を紹介!

更新

近年、IoTやビッグデータの台頭によって、都市の抱えるさまざまな課題をICTの活用で最適化し、持続可能な都市作りを行う「スマートシティ構想」を進める自治体が増えています。

政府はこのスマートシティを「Society5.0」の先行的な実現の姿として位置づけていることに加えて、新型コロナウイルスでの生活スタイルの変化やSDGsの広がりに伴い、各地方自治体のICT活用やDX化の取り組みは、これからより活性化されていくと考えられます。

本記事では、先進的にICT導入を進め、市民の生活向上に取り組む北海道札幌市の取り組みを紹介します。

Society5.0とは?

 Society5.0とは、1.0(狩猟社会)、2.0(農耕社会)、3.0(工業社会)、4.0(情報社会)に続く新たな社会として、情報社会にAIやIoTが加わったより生活しやすい社会のことです。内閣府はこれを「仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」と定義しています。

北海道札幌市の基本情報

画像引用元:札幌市公式サイト
人口 197万5001人
面積 1121.26km²
公式ホームページ https://www.city.sapporo.jp/index.html
市役所住所 〒060-8611 札幌市中央区北1条西2丁目
主な観光地 札幌市時計台大通公園さっぽろ羊ヶ丘展望台サッポロビール博物館など
本社を置く企業 ニトリホールディングスツルハホールディングスなど
高等教育機関 北海道大学札幌市立大学など

北海道の道庁所在地でもある札幌市は世界的な観光地としても有名な都市で、石狩平野の南西部に位置しています。

市北東部は都市地域で、時計台やサッポロビール博物館など多くの観光スポットがあり、札幌市の人口の約9割はこの地域に集中しています。政令指定都市の中では、横浜市、大阪市、名古屋市に次ぐ人口を有しており、北海道全体の約4割弱を札幌市を占めています。

市南西部は山岳地域で、スキー場や公園が多く、一部は国立公園に指定されているなど、自然豊かな地域です。亜寒帯地域のため年平均気温は9.2度、特に12月から2月にかけては積雪が多く、積雪寒冷地域とされています。

東京からは羽田、成田の両空港から札幌近郊の新千歳空港まで約1時間半で到着します。新千歳空港からはJRやバスを利用して札幌市内に一時間弱で到着できます。昨年度は新型コロナウイルスの影響で大きく減少していますが、例年約1500万人の観光客が札幌市を訪れています。

「札幌市ICT活用プラットフォーム 」

札幌市のスマートシティ化、ICT活用の柱となる取り組みが2017年に構築された「札幌市ICT活用プラットフォーム 」(以下「プラットフォーム」という。)です。

データ活用によってイノベーションの創出につながる先進的、分野横断的な取り組みを「イノベーション・プロジェクト」と位置付け、イノベーションによる札幌の価値創造を目指す取り組みによって、行政や民間サービスの効果の飛躍的な向上、コストの大幅な抑制などによる、社会の最適化が目的です。

同時に、データ活用の価値についての理解を広げ、行政や企業がデータを協調利用できる環境の発展を図ることを目的としています。

DATA-SMART CITY SAPPORO

地方自治体では行政が持つ官民データを誰でも自由に「オープンデータ」として利用できるように「官民データ活用推進基本法」で規定されており、札幌市でも「札幌市オープンデータ推進方針」を策定するともに、積極的な公開を進めてきました。

DATA-SMART CITY SAPPORO」はオープンデータの公開と共に、気軽にオープンデータに触れ、活用できる環境を提供するために開設されました。人口統計データ、学校や施設のデータ、地下鉄の乗車人員データ等を用いた活用事例として、地図やグラフでデータをかんたんに可視化できるダッシュボードも用意されています。

画像引用元:「DATA-SMART CITY SAPPORO

実際のオープンデータ活用例として、石川県金沢市で利用されていた「いつ、どのゴミが収集されているのか?」がすぐわかるアプリ「5374.jp」を札幌版にカスタマイズした「Sapporo.5374.jp」や、スマートスピーカーで利用できる機能としてその日に収集されるごみの種類や出したいごみの次の収集日などを教えてくれる「札幌ごみなげカレンダー」などがあります。

札幌市では、市民、企業、他自治体等との連携を強めるとともに、まちづくりにおけるデータ活用の普及啓発や人材育成等、地域の課題解決に向けたより協調的な連携体制の構築や実効的なデータ活用事例の創出を目指しています。

実証事業の実施

札幌市では、2017年度のプラットフォーム構築に併せて、札幌市の都市課題の解決を目的として、観光、雪対策、健康の3分野5つのICT活用の実証事業をおこないました。

例えば、観光分野では観光客向け交通情報一元化提供サービスとして、各交通機関の運行・遅延情報を収集、一元化した上で、観光客に対してホームページや観光案内所のサイネージを通じて多言語による提供を行い、2021年現在も札幌観光のみなさま向け交通情報案内として確認できます。

雪対策分野では、ごみ収集車に取り付けたセンサーで収集した路面状況や路肩の堆雪状況等のデータから渋滞の発生要因を確認し、スポット的に除排雪を実施するなどの取り組みが行われました。

これらの実証事業をきっかけとして、効果の検証や事業内容の見直しを行い、実用化・社会実装を目指して、それぞれの事業を進めています。

一般社団法人札幌圏地域データ活用推進機構SARD(サード)との連携

官民が保有する様々なデータの協調利用により札幌圏におけるデータの地産地消を実現し、こうした取り組みを先駆的に行うことによって得られるマネジメント基盤の構築・運営ノウハウを全国へ発信、展開することを目的として「一般社団法人札幌圏地域データ活用推進機構」(以下「SARD」という。)が2019年7月に設立されました。

SARDがプラットフォームの運営とともに、行政のオープンデータ整備、公開、活用などを進める「オープンデータ推進事業」、観光事業者等が保有するデータを共有、分析、活用して外国人観光客の消費と周遊の促進を目指す「インバウンドマーケティング事業」、データサイエンティスト等のデータ利活用人材の育成を支援する「データ活用人材育成支援事業」を進めています。札幌市とSARDが連携して官民データを協調利用できる分野の拡大や環境の発展を目指します

スマートシティモデル事業の展開

2018年度からスマートシティ実現に向けた取り組みとして、「市民の健康行動促進」「都心のエリアマネジメント」「雪対策」など複数分野における課題解決とあわせて、そこから得たデータ等を活用したまちづくりを進めるための実証事業を展開しています。

例として、ICTを活用して事業参加者の歩数などに応じたポイントを付与することで、健康行動を促し、健康寿命延伸を目指すとともに、参加者の属性、歩数、移動軌跡などのデータと他のデータを掛け合わせた分析結果をまちづくり施策に活かすなどの取り組みがあります。

事業から得られたデータやその分析結果をプラットフォームに蓄積し、他のデータとの掛け合わせを行うことで、課題解決と新たな気付きを生み出すことを目指しています。

ICTを活用した都心のまちづくり

札幌駅前通地下歩行空間(以下「チ・カ・ホ」という。)を最先端のサービスが集積する「ICT活用のショーケース」として位置付け、人流センサーやデジタルサイネージ、ビーコンなどのICTインフラを活用することで、エリアマネジメントや防災活動支援などを官民連携で進めています。

まち歩きに役立つ情報提供アプリ「さつチカ」を活用することやチ・カ・ホ防災情報共有システムの運用のほか、サイネージを活用した大学との共同研究やセンサー技術に関する民間事業者との共同実験などを展開しています。さらに、蓄積された人流データをイベント情報や気象データと掛け合わせることにより、回遊性向上やにぎわい創出などの施策検討に取り組んでいるほか、2019年度からは、人流データをオープンデータ化し、プラットフォームにおいて公開を始めました。

ICTインフラをチ・カ・ホ近隣の地下空間にも拡張するとともに、都心の人流データなど様々なデータ分析を生かした都心の課題解決の取り組みを進めています。

札幌市ではこれ以外の取り組みも含め、市民生活の向上につながる持続可能な施策、サービスの創出やデータ活用の重要性についての社会的理解の拡大、データ活用人材の育成を通して、札幌圏における官民データの協調利用環境の発展と、Sapporo Value(札幌の価値)の創造に取り組んでいます。

札幌市のICT活用施策

札幌市では、「ICT活用施策」を、「生活」、「経済」、「教育」、「行政」の4分野6項目に分類して、ICTやデータの活用による札幌の価値向上を目的とした取り組みを推進しています。

  • 暮らしの質の向上「生活」
    利便性が高く、快適な生活を実現するためにICTやデータを活用し、生活の満足度を高め、札幌を選び、ここで暮らしたいと考える人を増やす。
  • 安全・安心の実現「生活」
    防災、医療・福祉などの生活の質の向上に資するICTやデータの活用を進め、安全な環境のもと、市民が安心して暮らせるまちをつくる。
  • 産業の振興「経済」
    ICTやデータの活用による既存企業の競争力向上、ICT産業の振興を図るとともに、新規ビジネスの創出や起業、札幌への企業誘致、立地を促進する
  • 多様な雇用と働き方の創造「経済」
    雇用機会の創出及び多様な働き方の普及、定着により、就業率の向上を図るとともに、UIJターン等によるICT活用人材の確保を図る。
  • 人材の育成「教育」
    ICTやデータを活用した学校教育の推進と環境設備、学生や社会人を対象としたデータサイエンティストの育成などを通じて、ICTやデータの活用のリーダーとなる。
  • 効率的で信頼される行政「行政」
    新規事業の実施において積極的にICTやデータの活用を検討するとともに、ICTの効果的な活用や保有する情報・データの提供・公開を行うなど、信頼され、質が高く、低コストな行政運営を実現する。
    札幌市公式サイト「札幌市ICT活用戦略 2020」から抜粋)

これらの施策は、それぞれの項目の具体的な「市民のニーズや課題」を「ICTやデータの活用」によって「こう変える」という流れがまとめられています。SDGsの各目標とも関連付けが行われており、次世代に向けたICTの活用戦略と地域全体の活性化が始まっています。

札幌市における補助金・助成金制度

新型コロナウイルス感染症対策テレワーク導入補助金

札幌市では、新型コロナウイルス感染症対策及びテレワークの導入に取り組む中小企業等を支援するため、テレワークの導入補助を行っています。この補助金は在宅勤務をはじめとするテレワークの導入に取り組む市内中小企業等に対して導入に係る経費を補助することにより、新型コロナウイルスの拡大防止及び多様な働き方の実現、企業のビジネス環境強化を促進することを目的に実施されています。

中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げる会社及び個人事業主と常時雇用する従業員が100人以下の法人等(中小企業基本法第2条第1項各号に掲げる会社及び個人を除く。)が申請可能で、補助の対象となる取り組みに要した経費の4分の3以内で、15万円から60万円の範囲内で交付されます。

詳しい申請方法や書類、補助金の情報などについては、以下の公式サイトをご覧ください。
令和3年度新型コロナウイルス感染症対策テレワーク導入補助金|札幌市

さっぽろ都心みどりのまちづくり助成制度

札幌市では、都心部でみどり豊かな潤いある空間を増やしていくため、「さっぽろ都心みどりのまちづくり助成制度」を運用しています。この助成制度は、札幌都心部で事業者が民有地緑化を行う際、その経費を一部助成するものです。

各種緑化の植栽の設置や管理に係る費用について、対象経費の3分の2(上限:3000万円)まで助成されます。

ごみ処理に関する各種助成

札幌市では一般家庭での生ごみの堆肥化に積極的に助成を行っています。「生ごみ堆肥化機材等の購入助成」では、コンポスターや密閉式容器などの堆肥化機材の購入費用に対して最大2000円、「電動生ごみ処理機の購入助成」では電動生ごみ処理機の購入費用の2分の1(上限:2万円)がそれぞれ助成されます。電動生ごみ処理機の購入助成は定員があり、次回募集は令和4年4月にお知らせされます。

地方創生におけるRESERVA予約システムの活用

札幌市でも行われている、ICT化による利便性の向上や、業務の効率化、省人化をかんたんにできるのが「予約システム」です。当社が提供する予約受付システムRESERVA(https://reserva.be/は、20万の事業者・官公庁に導⼊されている国内最⼤級のSaaS型予約システムであり、人口20万人を超える規模の自治体のほか、人口5万人以下の小規模な市町村でも導入実績があり、最も選ばれている予約システムです。業務の効率化を進めて、よりよい地方創生の仕組みを作りましょう。

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地方創生事業への導入事例(各項目概要ページにアクセスできます)

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自治体で活用されている予約サイト紹介

確定申告の予約システム
公共施設の予約システム

まとめ

今回は、北海道札幌市におけるICT化の取り組みについて紹介しました。ポストコロナ時代に向けて、SDGsの目標達成を進める上でICT化、DX化による各種システムの再構築はもはや必須と言ってよいでしょう。官民合同はもちろん、市民も巻き込んで地域に根差すICT活用の場の構築と実証を積極的に進める札幌市の取り組みは、これからICT化を進める自治体、あるいは企業から見ても参考になると思います。新時代を先駆ける北海道札幌市の取り組みに今後も注目です。

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