選挙は民主主義の根幹を成し、国民の意思を国政に反映させるための重要な制度です。しかし近年では、投票率の低下や集計業務の煩雑さを指摘する声も多く、デジタル技術が急速に発展している現在、こうした課題を抱える選挙制度をデジタル化しようとする動きが高まりつつあります。
本記事では、選挙業務の課題やDX化によるメリット、実際の事例などについてわかりやすく解説します。
選挙業務における課題
現行の選挙システムはコストがかかる

現行の選挙システムでは投票用紙の作成・印刷をはじめ、投票所の設置や運営スタッフの配置、必要物品の準備などに、多大なコストと時間がかかっています。人件費をはじめ、紙資源の大量消費による環境負荷も大きいシステムに税金が投入されており、選挙制度の早急な改善が求められています。
結果の透明性
紙媒体による投票は、集計ミスや不正行為のリスクが常に存在します。選挙の透明性が確保されていない場合、有権者の不信を招き、さらなる投票率の低下や、犯罪のリスクも上昇します。投票方法の見直しと、より安全で確かな方法の普及が重要です。
投票率の低下

選挙における投票率の低下は、特に若年層において顕著であり、大きな課題となっています。総務省による「国政選挙における年代別投票率について」という調査では、衆議院議員総選挙における20代と60代の投票率は、約2倍もの差があります。全体としても、投票率は低下の一途をたどっており、民意の反映が十分になされているとは言えない状況です。
投票率低下の要因として主に挙げられるのが、若者の政治への無関心や、投票方法の煩雑さです。若者の中には、「どの候補に投票すべきかわからない」「投票に行くのが面倒」などといった無気力感が漂っています。ほかにも、インターネットの発展にともない、偏った情報や誤情報に接する機会も多く、正しい情報を得ることが難しくなっていることも考えられます。
選挙をDX化するメリット
利便性の向上
投票をオンライン、あるいは投票所に設置されているデジタルデバイスで行えるようになれば、投票の利便性が格段に向上します。オンラインの場合、投票所の設置が不要となり、これまでかかっていたコストが大幅に削減できることに加え、投票所に行く手間が省けるため、忙しい現役世代や出歩くのが大変な高齢者もかんたんに投票が可能です。
投票所にデジタルデバイスを設置する場合、投票所や投票用紙の準備が不要となり、常駐するスタッフも削減できるため、コストが減少します。有権者は投票所へ行く手間はかかりますが、投票自体はかんたんに行えるようになり、時間もかかりません。
投票用紙の大幅削減

選挙には、大量の投票用紙が使用されています。これらは必要以上の資源の消費であり、処分にもコストがかかります。DX化によって投票用紙が不要になることで、これらの無駄や環境負荷を省き、持続可能な選挙の実現が可能です。
投票率の向上
DX化によって投票の利便性が向上することで、より多くの人が投票するようになり、投票率の上昇が期待できます。投票率が上昇します。特にオンラインで投票ができるようになった場合、リアルタイムでの集計や結果公表が可能になるため、選挙結果に対する国民の信頼性も向上します。
選挙のDX化における注意点
サイバーセキュリティ対策が必須

オンラインでの投票は便利な一方、サイバー攻撃や不正アクセスのリスクがともないます。そのため、データの改ざんや個人情報漏洩などのリスクに対して、万全のセキュリティ対策が求められます。特に国政選挙では、国内外からのサイバー攻撃の対象となる可能性が高いため、政府のみならず民間企業も連携してセキュリティ対策を強化することが必要です。
システム障害対策が必要
投票のためのシステムが、なんらかの理由でダウンすることも考えられます。障害が長く続くと、投票時間内に投票ができない、オンライン投票への信頼が損なわれる、といったリスクがあるため、障害が起きた際の対応を事前に準備しておく必要があります。
デジタルディバイドの解消

オンラインでの投票は、高齢者のようなデジタルデバイスに不慣れな層や、なんらかの理由で端末操作ができない層にとって、利用が困難となる場合があります。そのため、旧来の投票方法でも投票ができるように準備しておく、投票支援体制を構築するなどの対策が求められます。
実際の選挙DX化事例
アンケートフォーム機能を応用した「スマート公共ラボ」

プレイネクストラボ株式会社が提供する「スマート公共ラボ」では、アンケートフォーム機能を応用し、従来は電話で行われていた選挙当日の投票所からの報告を、LINE経由で行えます。すでに複数の自治体で実運用が始まっており、電話業務がなくなり、作業時間を大幅に短縮できるようになっています。
電子投開票システム「デジ選®」

「デジ選®」は、投票機会のバリアフリー化と、開票業務の効率化・確実性を両立し、有権者と自治体双方に、公平で安心な選挙を実現するシステムです。すでに自治体でも導入されており、導入により開票時間が短縮されただけでなく、高齢者や障がいのある人もスムーズに投票でき、職員の心理的・肉体的負担も軽減されています。
電子投票ソリューション
ワコムの電子投票ソリューションは、タッチディスプレイである液晶ペンタブレットを利用することで、従来の記帳台での投票をそのまま電子的に置き換えることができ、紙の投票用紙に書くように液晶画面に手書きで投票できます。無線機能を使わないため、セキュリティ面でも安心して利用でき、多くの自治体で導入事例があります。
選挙業務のDX化なら予約システムRESERVA

ここまで投票業務のDX化について解説してきましたが、急なシステムの導入や環境整備は現場に負担がかかります。そこでおすすめしたいのが、予約システムRESERVAの導入による段階的なDX化です。
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まとめ
本記事では、選挙業務のDX化について、現在の課題やDX化するメリット、注意点などについて解説しました。
選挙業務をDX化することで、選挙管理業務の効率化を図れるのみならず、利便性の向上が可能です。加えて、有権者にとっても投票がかんたんになり、結果として投票率が上がるなど、多くのメリットが存在します。
本記事が、選挙業務のDX化について悩んでいる職員の方の参考になれば幸いです。

