自治体で進められる福祉DX|デジタル化でサービス向上への新たな一歩

自治体で進められる福祉DX|デジタル化でサービス向上への新たな一歩

近年さまざまな分野においてDX(デジタルトランスフォーメーション)化がすすめられ、従来の課題の解決が図られています。一方で福祉業界でのDX化は一部にとどまっており、地方で福祉に関する課題を解決できていない地域も多く存在します。そこで今回の記事では、福祉における課題とそれを解決するためのDXの進め方、自治体での成功事例について解説します。

福祉DXとは

画像引用元:日本福祉大学「『ふくし』ってなんだろう?

もともと福祉という言葉は「幸せ」を意味しています。しかし多くの場合「公的扶助やサービスによる生活の安定、充足」という意味で使われています。

福祉DXとは、デジタル技術を活用して福祉サービスの提供や運営を効率化し、質の向上を図る取り組みです。具体的には、介護記録や利用者情報のデジタル化をはじめとするデジタル技術の導入が中心となります。このようなデジタル化によって、情報の共有が容易になり、サービス提供の迅速化や正確性の向上が期待されます。また、AIなどの先進技術を利用した分析により、利用者1人ひとりに合わせたパーソナライズされたサービスの提供が可能になることも福祉DXの大きな特徴です。

さらに、オンラインでの相談や遠隔医療の支援など、新たな福祉サービスモデルの創出にも寄与します。これらの取り組みは、利用者がより質の高いサービスを受けられるだけでなく、福祉従事者の業務負担を軽減し、業務の効率化を実現することを目的としています。しかし、デジタル化を進める上では、プライバシー保護やセキュリティの確保、従事者のデジタルスキル向上など、さまざまな課題にも対応していく必要があります。

福祉DXのメリット

コストの削減

福祉DXはあらゆる面でコストを削減します。デジタルカルテなどの導入で、紙資源などの消耗品の節約ができます。これはコスト削減だけでなく、SDGs(Sustainable Development Goals|持続可能な開発目標)にも貢献します。データ分析ツールを活用することで、サービスの利用状況や効果を正確に把握でき、不要なサービスの削減や効率的なサービスの展開が可能になります。このような改善は、運用コストを削減し、福祉サービスのクオリティ向上とコストパフォーマンスの両立を実現します。また福祉用具、介護用ロボットを導入することで、人件費の節約につながります。

人材不足の解消

厚生労働省が令和3年(2021年)に発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」によると、2025年時点で約37.7万人もの介護職人材が不足すると予測されています。人手不足問題は深刻で、デジタル技術を用いて人材をカバーする必要があります。また、福祉ロボットによって負担が軽減することで、人間にしかできない仕事に割く時間を増やすことができます。

業務効率化

介護記録や利用状況のDXを進めることで、事務処理の業務効率化を図ることができます。このような効率化がうまくいくと、コストの削減や人材不足の解消にもつながります。

福祉サービスの向上

DXにより業務の効率化を図ることで、福祉サービスに割く時間を増やすことができます。ロボットの活用で福祉サービス自体を向上することもできますし、効率化によって事務手続きを削減しサービスに割ける時間が増え、人間が行うサービスも向上します。

福祉DXの課題

福祉DXのメリットはいくつもあることがわかりました。しかし、福祉のDX化が進まないのには職員のDXスキル、DX運用ノウハウを知らないことが課題に挙げられます。福祉のDXを進めるにも、導入するデジタル技術の運用ができる人材がいなくては進みません。

総務省が発表している「デジタル・トランスフォーメーションを進める上での課題」では、日本はDX人材不足について53.1%の人が悩んでいることがわかります。また、「デジタル・トランスフォーメーションの推進にあたって不足している人材」においては、全体的にどの人材も約60%の人が不足していると考えられています。

福祉DXの流れ

福祉DXは、情報技術を活用して社会福祉分野のサービスや運営を革新し、より効率的で質の高いサービスを提供するための取り組みです。この流れは、高齢化社会の進行、労働力不足、福祉サービスへの需要増加など、社会が直面している複数の課題に対応するために特に重要となっています。

デジタル技術の導入

まずデジタル技術を導入し、サービス提供の記録や管理をDX化することで、紙ベースの作業から電子データの活用へと変化しています。そして、オンライン相談やテレワークを通じて、福祉サービスのアクセス性を高めるとともに、利用者と提供者間の柔軟なコミュニケーションを可能にしています。

業務プロセスの効率化

事務作業の自動化や効率化を図り、福祉従事者が直接サービス提供に集中できるように支援します。収集したデータを分析し、サービスの質を向上させるための洞察を得ることができます。

サービスの質の向上

データを基にした個々のニーズの把握を通じて、よりパーソナライズされたサービスの提供が可能になります。デジタル技術を活用して、従来にはない新しい形の福祉サービスを生み出すことができます。

利用者・従事者のデジタルリテラシーの向上

デジタルツールの効果的な使用方法を学ぶための教育や研修が必要とされます。デジタルリテラシーが低いと、競争性や生産性の低下を招き、自治体の福祉サービスの低下につながります。

セキュリティとプライバシーの確保

個人情報の保護とセキュリティ対策を徹底し、利用者からの信頼を確保します。

福祉DXは、単にテクノロジーの導入にとどまらず、組織文化の変革や利用者中心のサービス設計へのシフトを含む幅広い変化を意味します。これらの取り組みは、福祉分野におけるサービスの質と効率を根本から改善し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

福祉DXの事例

広島県府中市|「Sketter」の導入

画像引用元:Sketter公式サイト

広島県府中市は、介護福祉専門の支援プラットフォーム「Sketter(スケッター)」を展開する株式会社プラスロボと協力し、介護職員の確保に向けた施策を展開しています。この取り組みでは、福祉分野に特化した福山平成大学とも提携し、学生がスケッターを利用して府中市の介護施設でアルバイトとして働ける仕組みを整えています。この経験を通して、学生の介護分野への就職を促し、同時に就職時のミスマッチを減らすことを目指しています。

埼玉県戸田市|オンライン診療

戸田市と医療法人慈公会公平病院は、医療、福祉、地域サービスの無縁化を防ぎ、すべての人に対応した医療提供を目指して、公平病院による医療MaaS(移動支援サービス)を用いたオンライン診療サービスとの統合、および地域医療機関による社会的処方を可能にする体制の構築に向け、包括的な連携協定を結びました。

最近、健康や疾患が社会的、経済的、環境的要因に左右されるという認識が広がっています。社会的処方は、健康の社会的決定要因(SDH)を考慮し、個々に適した介護サービスや地域資源へのアクセスを提供することです。この背景から、戸田市と公平病院は協力し、社会的処方の実施と地域資源の情報提供に関する実証試験を進めていきます。

鳥取県智頭町|コネクテッドカー

智頭町は、谷が多く集落が点在しているという地域特性により、交通基盤がぜいじゃくなエリアがあり、行政サービスが行き届きにくいという課題がありました。そこで、5Gに対応したコネクテッドカーで福祉をはじめとしたサービスの提供を始めました。

コネクテッドカーとは、ICT端末としての機能を有する自動車であり、民間ではその機能を緊急時の通報や車両の追跡などに活用しています。町の場合には、キャリア閉域網を活用し、行政系ネットワークへ接続することで、行政サービスの提供が可能になります。

福祉DXにはRESERVA

画像引用元:RESERVA公式サイト

自治体が福祉DXを推進するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらに集客に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、自治体の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、自治体が効率的に福祉DXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAを推奨します。RESERVAは、26万社が導入、500以上の政府機関・地方自治体も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、自治体の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる地方自治体にもおすすめです。

まとめ

福祉DXは、自治体が持続的に観光事業を実施するうえで不可欠です。この記事では、福祉DXを推進するメリット、自治体の成功事例などについて紹介しました。また、予約システムを導入することで、福祉DXを効率的に推進できることも示しました。福祉DXの進め方に疑問を持っている自治体職員はこの記事を参考にしてみてください。

RESERVA.lgでは、今後も自治体DXに関する学び、挑戦を取り上げていきます。

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