自治体DXの推進における主要な課題と解決策

自治体DXの推進における主要な課題と解決策

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地方自治体の行政運営において、デジタルトランスフォーメーション(以下、DXとする)は避けて通れません。しかし、自治体がDXを推進するにあたって、予算不足、デジタル人材不足、根強いアナログ文化といった多くの課題に直面しています。

本記事では、これらの課題を掘り下げたうえで、それらを克服するための実用的な解決策を紹介します。

地方自治体におけるDX

DXとは

DXは、デジタル技術の活用を通じて社会や組織の根本的な変革を目指す概念です。

2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表したことを契機として、この概念は広く認知されるようになりました。このガイドラインでは、DXの目的はデジタル技術とデータを活用してビジネスモデルを変革し、市場の変化に迅速に対応することで企業の競争優位性を確立することだとされています。また、社会システムと情報技術の融合によって、人々の生活の質を向上させ、新たな価値を創出することも重要視されています。

※DX推進ガイドラインは2023年現在、「デジタルガバナンス・コード」に統合されています。

自治体DXの重要性

自治体DXは、デジタル技術を駆使して行政サービスの質を高め、効率化を図る取り組みです。具体例としては、住民サービスのオンライン化などが挙げられます。これにより、住民は時間や場所に縛られることなくサービスを利用できるうえに、自治体は業務効率化によって限られたリソースを適切に活用可能です。さらに、デジタル技術の導入は新たな公共サービスの開発を促し、地域経済の活性化にも寄与します。

このように、自治体DXは、住民の生活の向上、行政サービスの効率化、地域経済の持続可能な発展のために極めて重要です。

自治体がDXを推進する理由

少子高齢化

少子高齢化は、自治体がDXを推進しなければならない理由の1つです。人口減少と高齢化の進行は、労働人口の減少とサービス需要の増加を同時にもたらし、自治体の行政サービスに多大なプレッシャーをかけています。

このような状況で行政サービスを維持し、さらに向上させるため、自治体はあらゆる業務のデジタル化を行う必要があります。デジタル技術の適切な活用は、少ない人員でのハイクオリティなサービス提供を可能にします。

自治体職員の減少

自治体がDXを推進する背景には、自治体職員の減少も大きく影響しています。総務省が2022年に発表した『地方公共団体定員管理調査結果』「地方公共団体の総職員の推移」によると、1994年以降、自治体職員の数は減少傾向にあり、深刻な人手不足が問題となっています。2022年時点で、職員数はピーク時から約15%減少しており、特にIT人材の確保が困難です。この減少は、職員1人あたりの業務負担増加を意味し、自治体のサービス提供能力に直接的な影響を及ぼしています。

新型コロナウイルス流行によるDX需要の拡大

新型コロナウイルスの流行は、社会のあらゆる面でDXの必要性を急速に高めました。自治体においても、感染リスクの低減という切迫した要請に応えるため、行政手続きのデジタル化が急ピッチで進められています。これは、住民が来庁せずとも必要なサービスを受けられるようにするために不可欠です。

このような背景において、自治体DXの推進はただの自治体の業務効率化の範疇を越え、住民サービスの質の維持・向上と公衆衛生の保護という、より広範な目標を達成するための必須の取り組みとなっています。

自治体DXの主要な課題

予算不足

自治体DXを推進するにあたり、財政的な制約が大きな課題として浮上しています。特に、過疎化が進む自治体では税収減少により財政状況が厳しくなっているため、デジタル分野に十分な予算を割り当てることが困難です。この結果、DXに必要な技術の導入や人材育成など、必要な投資を適切に行えません。

根強いアナログ文化

アナログ文化が根強く残っていることは、自治体DXの大きな障壁となっています。自治体職員と住民が両者共に紙に慣れ親しんでおり、オンライン化への抵抗感があるため、デジタル移行に対する心理的ハードルが依然として高い傾向にあります。

自治体は、紙業務からの脱却を目指し、業務プロセスのデジタル化を進める必要がありますが、それには職員のデジタルスキル向上と住民への周知・教育が不可欠です。

DX人材不足

自治体DXの推進において最も重大な課題の1つがDX人材の不足です。専門的な知識を持ち、DXプロジェクトを牽引する人材の確保は、民間企業でも困難であり、自治体ではさらに難しいとされています。特に地方自治体では、ITスキルを持った人材の採用と育成が急務でありながら、限られた環境と予算内で対応する必要があります。優秀なDX人材を獲得するにあたって、自治体は競争で後れを取っているのが現状です。

具体的なDX推進のための解決策

DXの認識共有・体制構築

自治体DXの成功には、自治体のトップから現場の職員までDXの重要性と意義についての理解を深める必要があります。DXは単なるデジタル技術の導入に留まらず、市民サービスの質の向上と効率化を実現する手段であるという共通認識を持つことが重要です。

さらに、首長や自治体幹部がリーダーシップを発揮し、強いエンゲージメントを示すことで、組織全体の意識改革とモチベーション向上を促進できます。

全体方針の策定

DXは一朝一夕に成果が現れるものではなく、抜本的な改革と持続的な努力を要求されます。そのため自治体DXの推進のためには、長期的な視点で全体方針を策定することが不可欠です。この過程で、市民サービスの質の向上や効率化を目指すビジョンと、詳細な工程表を作成することが求められます。

具体的には、自治体のミッションに基づいた明確な目標設定やKPI(重要業績評価指標)の設定を行い、これらを組織全体で共有し、各部署やプロジェクトの役割分担や連携方法を定めることが必要です。こうした体系的かつ戦略的なアプローチにより、自治体は長期的な視点でDXを推進し、市民への高品質なサービスを持続的に提供できるようになります。

DX人材の獲得

自治体DXを推進する際、最重要な課題の1つがDX人材の不足です。希少価値が高いDX人材を直接採用することは難易度が高いため、多くの自治体にとっては現実的ではありません。DX人材を獲得するためには、自治体は複数のアプローチを検討しなければなりません。

1.既存の職員への教育

まず、既存の職員に対してデジタル技術やデータ分析など専門教育を提供し、内部からDX人材を育成することが考えられます。これには時間と投資が必要ですが、長期的な視点に立つと、デジタルスキルを持つ職員を多く抱えることで、組織は持続的にDXを進める力を身につけることができます。

2.コンサルタントの協力を仰ぐ

外部のコンサルタントの協力を仰ぐことも有効です。これにより、短期間で高度な専門知識を取り入れることができ、DXプロジェクトの初期段階での加速が可能になります。しかし、この方法は外部依存度が高くなるため、既存の職員への教育と並行して取り組む必要があります。

3.民間企業との連携

民間企業との連携も検討すべきです。民間のIT企業と協力することで、最新の技術やアイディアを取り入れ、効率的にDXを推進できます。ただし、これには適切なパートナーシップの構築とプロジェクトの精密な管理が重要となります。

これら3つのアプローチはどれも多くの投資が必要です。そのため自治体は組織の現状と目標を踏まえ、予算の範囲内で最適なアプローチを選択してDXを進めていくことが不可欠です。

地方自治体が進めるべきDXの具体策

来庁窓口のDX化

来庁窓口のDX化により、証明書交付や住民異動の入力作業の一部が自動化され、業務効率化が実現します。さらに、押印の廃止、紙の申請撤廃、電子決済の導入などにより、住民に対してスムーズなサービスと外出不要の手続きを提供できます。

ここで重要なのが、予約システムの導入です。オンライン予約システムを利用することで、住民は自分の都合の良い時間に手続きが可能なうえ、自治体は窓口の混雑を緩和できます。また、事前に来庁者の情報が分かるため、職員はより効率的に対応することが期待できます。

テレワークの推進

新型コロナウイルスの流行は、テレワークの必要性を浮き彫りにしましたが、その効果は感染予防に留まりません。テレワークの普及によって、職員の多様な働き方が可能になります。育児や介護などで時間に制約がある職員でも能力を発揮できることは、従来の自治体において実現しなかった幅広い人材の登用にもつながります。

マイナンバーカードの普及強化

マイナンバーカードは、オンライン上での信頼性の高い本人確認を可能にします。そのため、自治体は、より多くの住民がこのカードを申請し利用できるよう、申請の促進と交付プロセスの強化に注力することが求められます。この取り組みは、住民サービスの利便性向上だけでなく、自治体のデジタル化推進にも大きく貢献します。

自治体DXの課題解決にはRESERVA

画像引用元:RESERVA公式サイト

自治体がDXにまつわる課題を解決するにあたって、おすすめなのが予約システムの導入です。予約システムの機能は、予約管理にとどまらず、決済から顧客管理、さらに集客に至るまで自動化する機能を持つシステムです。複数のツールやプラットフォームを切り替える手間は一切不要で、これにより、自治体の業務プロセスがより効率的に進められるだけでなく、利用者にとっても一元的で使いやすい環境が提供されます。

現在多数の予約システムがありますが、自治体が包括的にDXを促進するためには、実際に導入事例もあるRESERVAを推奨します。RESERVAは、26万社が導入、500以上の政府機関・地方自治体も導入したという実績がある国内No.1予約システムです。予約受付をはじめ、機能は100種類を超えており、自治体の業務プロセスがより効率的に進められます。初期費用は無料で、サポート窓口の充実やヘルプの利便性が高いため、予約システムの初導入となる地方自治体にもおすすめです。

まとめ

自治体DXは、持続可能な社会の構築と市民サービスの質の向上のために不可欠です。この記事では、自治体DXにまつわる主要な課題、解決策、実施すべき具体策を紹介しました。また、予約システムを導入することで、包括的にDXを推進することが可能であることも示しました。DXを推進するにあたって課題を抱えている自治体の職員は、ぜひ本記事を参考にしてください。

RESERVA.lgでは、今後も自治体DXに関する学び、挑戦を取り上げていきます。

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